Project/Area Number |
23K13654
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 29010:Applied physical properties-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
増田 英俊 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20849278)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | スピントロニクス / キラリティー / スピン移動トルク / らせん磁性スピントロニクス / らせん磁気構造 |
Outline of Research at the Start |
本研究では「らせん磁性スピントロニクス」の可能性を追求する。らせん磁気構造は磁気モーメントがらせんを描いて秩序化する構造であり、らせんの右巻き・左巻きに対応するキラリティー自由度を持つ。最近我々は、室温らせん磁性体MnAu2薄膜においてキラリティーの電気的な制御・検出ができることを示し、キラリティーを記憶担体として用いるらせん磁性スピントロニクスの可能性を提案した。本研究では界面スピントロニクス機能を活用することでより効率的なキラリティーの制御・検出手法を追求するとともに、高温動作、低電流動作が可能な物質開拓に取り組み、らせん磁性スピントロニクスの有用性を実証することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではらせん磁性体が持つ右巻き・左巻きに対応するキラリティー(ヘリシティー)自由度の制御・検出手法を実証、高度化し、キラリティー自由度を記憶媒体として用いるらせん磁性スピントロニクスの可能性を追求する。本年度は主に以下の2つの内容を進めた。 1. らせん磁性薄膜MnAu2における室温キラリティースイッチング:らせん磁性合金MnAu2の薄膜試料を用い、キラリティーが室温で制御・検出できることを示した。特に弱磁場中で電流パルスを印加することで、キラリティーを繰り返し反転できることを示した。これにより、キラリティーの制御・検出手法を大幅に簡単化し、室温動作を実証することでらせん磁性スピントロニクスの可能性を拓いた。 2. らせん磁性キラリティーのゼロ磁場検出:らせん磁性金属MnAu2と、スピンホール材料であるPtの2層構造を作製し、その輸送特性を詳細に調べた。その結果、らせん磁性MnAu2において電流によって非平衡な伝導電子スピン偏極が生じること、これがPt層へのスピン拡散と逆スピンホール効果を通じて、2層膜デバイスの横抵抗として検出できることを明らかにした。この横抵抗の符号はキラリティーに依存し、ゼロ磁場でも発現することから、この効果を用いてキラリティーがゼロ磁場においても検出可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心課題は、らせん磁性体におけるキラリティー自由度の制御、検出手法を確立、高度化することである。この点で、キラリティーの室温での制御・検出、電流パルスによる繰り返しキラリティー反転、らせん磁性/スピンホール材料2層膜におけるゼロ磁場キラリティー検出は、スピントロニクス応用に向けた大きな進展である。このことから研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
MnAu2/Pt 2層膜デバイスにおけるゼロ磁場キラリティー検出の成功から示唆されるように、らせん磁性体と他の物質の界面効果を利用することでさらなる機能化が期待できる。そこで今後はらせん磁性体と強磁性体の2層膜などを作製し、その振る舞いを詳細に調べることで、らせん磁性スピントロニクスデバイスのさらなる高度化を推し進める。
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