Project/Area Number |
23K13708
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
桶谷 龍成 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (60874956)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | 有機結晶 / キラリティ / 構造転移 / デラセミ化 / キラリティー / キラル結晶 / 光学分割 / 不斉増幅 / コングロメレート |
Outline of Research at the Start |
グリーンケミストリーを指向した合成化学研究が活発な状況に対して、精製手法、中でも晶析による光学分割においてパラダイムシフトを起こす技術発展は長らく報告されていない。この状況を打開するべく、キラル化合物のラセミ化合物結晶を構造転移によって所望のエナンチオマーから成るコングロメレート結晶へと導く「無溶媒結晶化によるデラセミ化」の実現に挑む。キラルな外部刺激をアキラルな結晶性固体に与えることにより構造転移を誘起し、所望のキラルな構造体へと変換する。本手法が実現できれば、溶媒を使わない環境負荷の小さな光学分割プロセスの実現につながる。
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Outline of Annual Research Achievements |
溶媒を介さずアキラルな結晶構造を所望のキラリティをもつキラルな結晶構造へと変換する「無溶媒結晶化によるデラセミ化」の達成を全体の目標とし、今年度は、準安定なアキラル結晶相から安定なキラル結晶相に構造転移する系の探索と構造転移挙動のキャラクタリゼーションを実施した。空間群がP212121の安定なキラル結晶相を与えるナフタミド誘導体をメタノールと水の混合溶媒から結晶化したところ、空間群がP21/cの準安定なアキラル相が析出することを見出した。この準安定なアキラル相を溶媒から取り出して加熱するとキラルな結晶相に構造転移することがわかった。調製した単結晶を用いて温度可変偏光顕微鏡による観察を行ったところ、この構造転移は結晶中の複数の点から同時多発的に進行し、結晶全体に伝搬する様子が明らかとなった。さらにアキラル結晶相に対して示差走査熱量測定を行ったところ、明確な構造転移点は観測されず、アキラルな結晶相の融点のみが観測された。構造転移の速度を調べるため、試料を一定温度に保った状態で粉末X線回折測定を繰り返し行った。70度において約2日かけて構造転移が進行し、融点に近い90度では約3時間で構造転移が完了することが明らかとなった。現在、各温度における組成の変化を粉末X線パターンの定量分析を進めており、構造転移のカイネティクスやエネルギー障壁を詳細に分析している。また構造転移前後の構造を比較することにより、構造転移に伴う分子の運動を推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無溶媒条件においてアキラル結晶からキラル結晶に構造転移する軸不斉なナフタミド誘導体を見出したため。構造転移におけるキラリティの制御を検討する必要があるが、キラリティの収束を伴う構造転移として本研究目的の実証にふさわしい系である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、構造転移におけるキラリティ制御を試みる。特に現在の系は単一の結晶においても複数の核化が確認されており、これを単一のキラリティに誘導する必要がある。構造転移が進行する温度とキネティクスの解析とともに、構造転移の伝搬挙動の制御を行う。具体的にはキラリティが既知の結晶の接触や外部不斉源を検討する。
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