Developments of anhydrous superprotonic conductors based on proton tautomerism in molecular crystals
Project/Area Number |
23K13715
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 32020:Functional solid state chemistry-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
出倉 駿 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80837948)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
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Keywords | 水素 / 固体電解質 / 無水プロトン伝導体 / 分子性固体 / プロトン互変異性 / アゾール / リン酸塩 / プロトン伝導 |
Outline of Research at the Start |
水素燃料電池の次世代型固体電解質として、加湿不要かつ環境調和型の有機分子性結晶からなる無水超プロトン伝導体(伝導度 σ > 10^-2 S/cm)が求められている。先行研究では分子内プロトン移動を担う機構として分子運動が注目されてきたが、結晶中分子運動は活性化障壁が高いため10^-2 S/cmを超える無水超プロトン伝導には至らなかった。本研究では、分子再配向運動を不要とする新機構としてプロトン互変異性を活用することで、分子内プロトン移動を低障壁化・高速化する。種々のプロトン互変異性分子を用いた単結晶の伝導度調査と伝導機構解明を通して、プロトン互変異性に基づく無水有機超プロトン伝導体の設計指針確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機分子性単結晶におけるプロトン互変異性を活用して、伝導度が10^-2 S/cmを超える無水超プロトン伝導を実現する物質設計指針を得ることを目的とする。プロトン互変異性とは、分子内のプロトン位置が異なる異性体同士が、π電子の柔軟な組み換えを伴い高速に相互変換する現象である。これを用いることで分子再配向運動を不要とし、はるかに低障壁に分子内プロトン移動が達成され、高速プロトン伝導の実現が期待される。 当該年度においては、予備的検討段階で等方的かつ低障壁な無水超プロトン伝導が観測されていたリン酸1,2,3-トリアゾリウム(= 1)を対象に、第一原理計算および単結晶中性子回折によって伝導機構を詳細に調べた。第一原理計算の結果から、有効なプロトン輸送には少量のプロトン欠陥(過剰または欠損)が必要であるものの、1,2,3-トリアゾリウムの互変異性を伴う伝導経路における活性化障壁が、実験的に観測されたものと整合することが明らかになった。一方、単結晶中性子回折実験の結果から、1,2,3-トリアゾリウムの2位の窒素原子上にプロトンを有する異性体の存在が示唆された。 また、1と同様に互変異性部位を有するリン酸5-アミノテトラゾリウム(= 2)の単結晶の作製に成功し、単結晶交流インピーダンス分光測定の結果、1と同様に低障壁な無加湿プロトン伝導性を実現していることを明らかにした。さらに、カルボキシル基を有するテトラゾリウムおよびピラゾリウム誘導体の単結晶作製に複数成功し、これらが互変異性部位のみからなるプロトン伝導経路を有することを見出した。 上記の結果は、低障壁な無水プロトン伝導の実現にプロトン互変異性の有用性を示す決定的な証拠であるとともに、プロトン互変異性による伝導性が期待される多彩な物質系での系統的な伝導機構の理解に繋がる重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては、これまでに伝導性が明らかになっている単結晶性物質に対して最先端の実験的・理論的手法を駆使してその伝導機構に迫っており、その結果、プロトン互変異性が単結晶中で生じている証拠を得ることに成功しており、本研究の目標の一つである「低障壁な無水プロトン伝導性獲得に対するプロトン互変異性の有用性の実証」が達成できている。また、類縁体を用いたリン酸5-アミノテトラゾリウム塩でも、活性化エネルギーが約0.7 eVと、1,2,3-トリアゾリウム塩よりもさらに低障壁なプロトン伝導性の実現に成功している。加えて、当該年度では互変異性部位のみからなるプロトン伝導経路を有する単結晶およびその構造情報を複数得ることに成功した。これらの物質を対象に次年度における伝導性調査、実験・理論両面からの伝導機構解明、外場印加による伝導性変調に取り組むことで、低障壁かつ高伝導性の物質の設計指針に繋がると期待できる。以上のことから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、昨年度で得られた物質を対象に良質な単結晶を作製し、無水プロトン伝導性およびその異方性を詳細に調べる。加えて、現在主に得られているアゾリウム類縁体のみならず、メリト酸やクロラニル酸などの異なる官能基を有する物質の単結晶を作製、比較することで、互変異性部位の構造と伝導性の相関を明らかにする。 加えて、2H、13Cおよび15N核の固体NMR測定、放射光を用いた単結晶X線構造解析、中性子散乱実験および第一原理計算により、互変異性が関与したプロトン伝導機構を明らかにし、低障壁かつ10^-2 S/cmを超える無水プロトン伝導度の実現を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(56 results)
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[Journal Article] Metallic State of a Mixed-sequence Oligomer Salt that Models Doped PEDOT Family2023
Author(s)
Kota Onozuka, Tomoko Fujino*, Ryohei Kameyama, Shun Dekura, Kazuyoshi Yoshimi, Toshikazu Nakamura, Tatsuya Miyamoto, Takashi Yamakawa, Hiroshi Okamoto, Hiroyasu Sato, Taisuke Ozaki, Hatsumi Mori*
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc.
Volume: 145
Issue: 28
Pages: 15152-15161
DOI
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