Project/Area Number |
23K13763
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊豆 仁 京都大学, 化学研究所, 助教 (10896393)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
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Keywords | 二酸化炭素還元 / 金属錯体 / 金属-硫黄クラスター |
Outline of Research at the Start |
本研究では、金属用の配位子を規則配列させたメソポーラス有機シリカに、「触媒」と「電子伝達物質」を兼ねる多核金属錯体を担持した固体触媒を合成し、二酸化炭素還元反応へ展開する。金属錯体とメソポーラス有機シリカを複合化させることで、「多電子移動の制御」及び「反応中間体などの物質拡散の制御」を両立させ、高選択的な炭化水素への変換を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、金属錯体を多孔性材料に規則配列させた複合化触媒を創出し、その複合化触媒を用いて二酸化炭素(CO2)を還元し化学燃料として利用可能な炭化水素の生成を目指すものである。初年度である本年度は、細孔壁面に2,2’-ビピリジンを規則配列させたメソポーラス有機シリカ(bpy-NT)への[Mo3S4Fe]錯体の担持手法の確立及び合成した複合化触媒のCO2還元能の調査を行った。 複合化触媒の合成は多段階な合成戦略を用いることで達成し、bpy-NT上に[Mo3S4Fe]骨格が形成されていることはX線吸収微細構造(XAFS)測定によって確認した。また、反応に用いる金属錯体の量を変えることで、bpy-NTへの担持量を自在に制御可能なことも見出した。 複合化触媒のCO2還元能の調査は、化学還元剤を用いた反応系を利用し行った。その結果、CO2還元によるメタンの生成が確認でき、さらに炭素生成物はメタンのみが観測され、反応中間体と考えられるCOは観測されなかった。比較実験として、多孔性材料に担持されていない[Mo3S4Fe]錯体を用いて同様な反応条件で検討を行ったところ、メタン及びCOの生成が観測され、メタンの生成量を比較すると複合化触媒の方が多かった。これらの結果は、[Mo3S4Fe]錯体を多孔性材料に担持することで、基質や反応中間体などの物質拡散の制御ができ、反応性が向上したことを示唆する。 よって今後の研究では、これらの知見を踏まえ、電気化学的アプローチを用いたCO2還元反応による炭化水素生成系の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は金属錯体を多孔性材料に規則配列させた複合化触媒の合成及び化学還元剤を用いたCO2還元反応への展開に取り組んだ。 金属錯体は生体内の電子伝達物質を模倣した[Mo3S4Fe]錯体に着目し、多孔性材料には細孔壁面に2,2’-ビピリジンを規則配列させたメソポーラス有機シリカ(bpy-NT)を使用した。Bpy-NTへの[Mo3S4Fe]錯体の導入は多段階な反応によって達成した。具体的には、まず金属頂点が1つ欠損した[Mo3S4]錯体をbpy-NTに担持し、bpy-NT上の[Mo3S4]錯体に対して反応点であるFeイオンを導入することで目的の複合化触媒を得た。1段階目の反応でMo3S4骨格を維持していること及び、2段階目の反応によってFeイオンが導入されMo3S4Fe骨格が形成されていることはX線吸収微細構造(XAFS)測定によって確認した。また、Mo3S4Fe錯体の導入量は元素分析によって確認をし、おおよそ30mol%以下の範囲で任意の量を担持可能なことも見出した。 合成した複合化触媒のCO2還元能を調査するために、化学還元剤を用いたCO2還元反応を行ったところ、CO2還元によるメタンの生成が確認できた。また、炭素生成物はメタンのみが観測され、反応中間体と考えられるCOは観測されなかった。比較実験として、多孔性材料に担持されていない[Mo3S4Fe]錯体を用いて同様な反応条件で検討を行ったところ、メタン及びCOの生成が観測され、メタンの生成量を比較すると複合化触媒の方が多かった。これらの結果は、[Mo3S4Fe]錯体を多孔性材料に担持することで、基質や反応中間体などの物質拡散の制御ができ、反応性が向上したことを示唆する。 以上より、初年度は複合化触媒の合成及びCO2還元能の調査に成功しており、順調に研究が進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果により、本研究の要となる金属錯体触媒を多孔性材料内に規則配列させた複合化触媒の合成及び、その化学還元剤を用いたCO2還元によるメタン生成に成功している。そこで今後は、複合化触媒を用いたCO2還元による炭化水素生成反応に重点を置き研究に取り組む。 具体的には、引き続き化学還元剤を用いたCO2還元能の調査を行い、より高い触媒能を発現可能な反応条件を見出す。現状でメタンの生成が確認できているので、より高い選択性でのメタン生成を目標とする。 化学還元剤を用いた検討に加えて、2024年度からは電気化学的手法によるCO2還元能の調査も並行して取り組む。反応条件は化学還元剤を用いた検討で良好な結果を示した条件を優先的に採用する。その際には、複合化触媒を電極上に固定することで作用電極とし、CO2及びプロトン源などを十分に溶解させた有機溶媒中で電解反応を行う。また、複合化触媒は固体触媒であるので、その利点を最大限に活かせる気相セルを用いての反応性の検討も行う。 2024年度は上述のように、初年度に合成した複合化触媒によるCO2還元反応に取り組み、本研究の目的である高選択的なCO2還元による炭化水素生成を達成する。
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