Project/Area Number |
23K13764
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
森田 能次 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 講師 (40795308)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
|
Keywords | 人工金属酵素 / 蛋白質 / 合成高分子 |
Outline of Research at the Start |
多様な物質を高効率に変換する人工生体触媒の開発は、持続可能社会に始まり、センサー素子や酵素補充療法まで人類社会全体のQOL向上に貢献する。そのため、特に、非生物的かつ生体直交型反応を促進する人工金属酵素の開発が幅広く進められている。本研究は、合成高分子をタンパク質に部位特異的に結合することで、分子の揺らぎに摂動を加え、人工金属酵素の安定性や触媒活性を制御する手法を開発し、使用環境を問わない堅牢な人工金属酵素の構築を目標とする。合成高分子を用いることで、タンパク質骨格の運動制御、さらにはそれによる金属中心の配位構造や金属イオンの異方性への影響を解明し、新規な人工金属酵素の修飾法開発に挑戦する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
金属錯体と精密かつ多様な反応場を提供するタンパク質を組み合わせた人工金属酵素は、新たな分子変換を担う触媒として期待されている。さらに、プロドラッグの変換などに代表される細胞内や生体器官内での化学物質合成への展開も活発化している。一方で、ポリエチレングリコール(PEG)などの水溶性高分子とタンパク質のハイブリッド化は、タンパク質の安定性向上や生体内における免疫寛容の惹起など分野を問わず多くの利点がある。しかしながら、未だに反応性の低下などが見られることが多く、自在な修飾方法が存在しない。そこで、本研究では、中分子から高分子までの種々のPEGを利用することで、タンパク質骨格の運動制御、さらにはそれによる金属中心の配位構造や金属イオンの異方性への影響を解析し、高分子修飾と酵素活性の相関に関わる学理解明に挑戦する。 本年度は、(PEG-人工金属酵素)複合体の合成を行った。人工金属酵素のモデルとして、Cupinタンパク質を用いた。結晶構造解析およびMD計算から揺らぎの大きな箇所を特定し、PEGとの結合点とし、マレイミドとCysの選択的マイケル付加反応を利用して、PEGを連結した。具体的には、結合部位をCysに置換した変異体を調製し、片末端にマレイミド基を有するPEGと反応させ、PEG修飾を行った。PEGの結合位置が異なる(PEG-人工金属酵素)複合体のライブラリーを作成した。次に、モデル反応として生体直交型の不斉マイケル付加反応の活性評価を行った。部位特異的なPEG修飾を行っても、収率および立体選択性が維持されることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、PEGの結合位置が異なる(PEG-人工金属酵素)複合体のライブラリーを作成することができた。得られた複合体のライブラリーを用いて、不斉マイケル付加反応の反応性および立体選択性の評価も行った。部位特異的なPEG修飾を行っても、収率および立体選択性が維持されることが明らかとなった。さらに、PEG修飾により収率が向上するいくつかの変異体を見出した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、様々な反応条件で触媒反応を実施し、反応性と立体選択性を評価する。安定性と触媒活性(反応性、選択性、耐久性)の関係性を明らかにし、PEG修飾による触媒機能の向上を実証する。また、円二色性(CD)スペクトル測定により、タンパク質の2次構造を解析し、変性中点温度を明らかにする。また、UV-visスペトル測定から、配位環境の変化について詳細に分析する。次に、有機溶媒と緩衝液の混合比を変えて、同様に構造解析を行い、有機溶媒耐性を評価する。得られる結果から、安定性に対するPEGの分子量、結合位置、結合数、結合様式(修飾体、架橋体)の最適値を明らかにする。 優れた安定性や活性を示す変異体については、X線結晶構造解析により、PEG結合前後の立体構造変化を明らかにする。全体構造については結晶構造に基づいて(PEG-人工金属酵素)複合体のMD計算を再度行い、PEG結合前後でのタンパク質の揺らぎや構造変化について詳細に解析する。
|