Project/Area Number |
23K13772
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 34020:Analytical chemistry-related
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
稲川 有徳 宇都宮大学, 工学部, 助教 (30828489)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 氷 / ナノ・マイクロ / 相分離 / 低温生物学 / 界面揺らぎ / 固液相転移 |
Outline of Research at the Start |
本研究では相転移が定常的に生じている固液界面がこれらの化学反応に対して与える影響を界面揺らぎ相に存在する「H2O分子」「-OHダングリングボンド」に着目し解明する。そのために、マイクロ流体デバイスや申請者が開発した画像解析を利用する分光法などを利用する。そして、揺らぎ相の空間領域を定義し、上述の化学的な現象が「揺らぎ相で生じているのか」「氷/FCS界面ははっきりしているのか」という学術的な問いに挑む。研究提案終了後は、界面揺らぎだけからなる微小空間を工学的に利用することで、水とも氷とも異なる「第3の相」による化学場の創成を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果を以下に記す。 1)氷内部に生成したナノ・マイクロ構造を利用したバイオ分析法の開発 マイクロ流体デバイス中で水溶液を凍結させ、凍結濃縮溶液によるマイクロ流路を形成した。これにより、リジッドなマイクロ流体デバイスにソフトな分離場を導入することができ、サイズ可変な分離場を用いた新たなマイクロ分析法が可能になる。ここでは、このサイズ可変性を利用し、粒子の細胞分離を行った。マイクロ粒子とナノ粒子のように粒径差が極端に大きい系のみならず、サブマイクロメートル同志の分離も実現した。さらに、細胞とエクソソームの分離を達成した。 2)濃厚溶液における二分子性イオン反応の機構解明 本研究提案でターゲットにしている凍結濃縮溶液では溶質濃度が高いため、通常の希薄水溶液の状態とは異なる。そこで、本研究では濃厚溶液の溶媒構造がその中に存在するイオンの反応に対してどのように影響を及ぼすのかを検討するため、トリス(2,2'-ビピリジル)ルテニウム(II)錯体のフェリシアン化物イオンによる消光反応をモデルに、速度論的解析を行ううことで調査した。媒体は水とグリセロールの混合溶媒を用いた。その結果、グリセロール濃度が60%の時のみ、ルテニウム錯体とフェリシアン化物イオンがイオン会合することが分かった。IR測定の結果から、このグリセリン濃度において、水とグリセリンは複合体を形成しており、それに伴うイオンの溶媒和の弱体化により会合形成が促進されることが見出された。このような状態は凍結濃縮溶液でも同様に起こり得ると考えられ、今後の研究対象となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
氷を用いた分離法の確立では上述の通り大きな進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
氷表面のダングリングボンドが有する化学反応性に関する検討は未だ実験検討の状況であるため、平衡解析をメインに行っていく予定である。その後、イオン種の濃縮場としての利用を検討している。
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