結合開裂反応を利用した積層高分子材料の接合界面における解体機構の解析
Project/Area Number |
23K13808
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 35030:Organic functional materials-related
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
相沢 美帆 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (30849948)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
|
Keywords | 複合材料 / コーティング / 界面 / 刺激応答 / 刺激応答性分子 / 接着 / 高分子 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,高分子を材料表面に修飾するポリマーコーティング技術を対象として,「異種材料界面においてどのような力が接着性に影響を与えるのか」という点に着目し,ポリマーコーティング技術が抱える課題を解決しうる効果的な界面設計指針を獲得することを目的とする。表面の強化などの材料特性向上を見据えて用いられるポリマーコーティング技術においては,界面からの剥離の進展が機能発現を阻害する一因となる潜在的な課題がある。本研究では,刺激に応じて化学結合が変化する界面をポリマーと基材の間に創出し,界面の化学結合が接着性に与える影響を明らかにすることで,積層高分子材料において効果的な接合界面の設計指針を探究する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高分子を材料表面に修飾するポリマーコーティング技術を対象として,「異種材料界面においてどのような力が接着性に影響を与えるのか」という学術的な問いを追求することで,ポリマーコーティング技術が抱える課題を解決し,効果的な界面設計指針を獲得することを目的とする。表面の強化などの材料特性向上を見据えて用いられるポリマーコーティング技術において,界面からの剥離の進展が機能発現を阻害する一因となる潜在的な課題がある。本研究では,刺激に応じて化学結合が変化する界面をポリマーと基材の間に創出し,界面の化学結合が接着性に与える影響を明らかにすることで,積層高分子材料において効果的な接合界面の設計指針を探究することを目的としている。目標達成に向けて,令和5年度は,エポキシ樹脂もしくはシリコーン樹脂とガラス基板を積層した高分子材料の力学試験に取り組んだ。それぞれの樹脂について,バルクの力学強度を引張試験にて調べたほか,本研究コンセプトの刺激応答性分子層の特性も考慮に入れながら硬化条件を検討した。なお,本研究では,複合材料界面に配置する刺激応答性分子層の官能基を,各成分と接着するように設計することが重要となる。それぞれの樹脂と結合を形成する官能基を含む分子を設計・合成し,接着界面に分子層として配置することで,より高強度に接着した複合高分子材料の作製に成功した。得た結果について,査読付き論文発表1件を行ったほか,学会等での発表(招待講演も含む)を6件行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,今回の申請内容の肝となるポリマーの選択から合成,それに適した刺激応答性分子層の設計に注力することを当初の計画としていた。本年度は,これまでに獲得した知見も十分に活かしながら研究を遂行することによって当該目標を達成したことに加えて,実際に力学試験を行い結合形成の有無による接着性への影響を調べるという次段階の研究にも検討にも着手した。これらの理由から,現在までの進捗状況として当初の計画以上に進展していると考えている。具体的に本年度は,まずエポキシ樹脂についての検討から取り組んだ。エポキシ樹脂の合成については二液混合系により比較的低温(刺激応答性分子層の開裂反応を引き起こさない程度の温度)で重合反応を進行するものを選択した。また,用いる試験方法に応じて樹脂の力学特性についても考慮した。ひとまずこれまで実施している剥離試験にて接着性を評価するため,弾性接着剤を使用した。シリコーン樹脂についても同様の検討を行い,ガラス基板との接着性を評価した。刺激応答性分子層について,基板側およびポリマー側の官能基をそれぞれに適したものとなるよう分子設計から取り組んだ。分子層内で光二量化し,両末端に異なる官能基を付与することができる分子層作製方法の確立に成功した。さらに,90°剥離試験により接着性を測定した結果,刺激応答性分子層を形成した基板を用いることで,いずれのポリマー複合材料においても接着性が向上することを明らかにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は,現在までに刺激応答性分子層の効果が確認できている材料について,実際に界面での結合がどのように変化しているかという測定を行う。具体的には,透過型の赤外分光測定を行い官能基のピーク変化を追跡することで,刺激応答性分子層内の官能基とポリマー成分との反応の進行について調べる。また,剥離後の基板表面についても反射型の分光法や顕微赤外分光法を用いて調べ,実際にどの部分から剥離が進展したのかを明らかにする。そのように,作製した積層材料の接着強度の向上が刺激応答性分子層とポリマー成分との結合に由来するものであるかについて明確にしていく。令和7年度は,異なる種類のポリマー材料についても接着性の評価を行い,界面設計についての知見を集積していく予定である。さらに,接着性の評価方法として引張せん断試験にも取り組み,刺激応答性分子層の効果が引張せん断応力に対しても働くのかについての解析を進める。
|
Report
(1 results)
Research Products
(9 results)