Project/Area Number |
23K13827
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 36020:Energy-related chemistry
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
桑畑 和明 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科(八景キャンパス), 客員研究員 (30843362)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 水素貯蔵材料 / 金属有機構造体 / 量子効果 / 経路積分 / 機械学習 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、MOF(金属有機フレームワーク)の水素吸蔵量を指標に、効率的に新規構造を探索する手法を提案する。まず、過去のスクリーニング研究から水素吸蔵量が高いMOF構造を選び、原子間ポテンシャルの作成と物理量の計算を行う。次に、経路積分法を改良し、量子効果を考慮したMOFの水素吸蔵シミュレーションを行い、MOFの吸蔵量と性能指標の関係を多変量解析によって調べる。最後に、MOFデータベースから新たに高性能構造を取得し、研究(a)、(b) を再度実行し、性能指標の向上と高性能MOFの絞り込みを行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では水素吸蔵能力が高い新規の金属有機構造体(MOF)構造を提案するために、既存の経路積分分子動力学(PIMD)法と機械学習ポテンシャル法を融合し、水素原子の量子効果を厳密に考慮したシミュレーションにおいて最大規模計算スケールの実行を目指す。 初年度はPIMD法と機械学習ポテンシャル法を融合した新規プログラムの作成に着手した。機械学習ポテンシャル法はすでに第一原理計算ソフトであるVASPに実装されているので、PIMDプログラムとVASPを仲介するモジュールを新たに作成した。これにより、VASPを経由することで、PIMDプログラムから機械学習ポテンシャル法を呼び出すことを可能とした。プログラム作成後には、計算サイズの小さい氷モデルに対して新規PIMDプログラムと従来のPIMDプログラムを実行し、両者の結果を比較することで、十分な計算精度が得られていることを確認した。 本研究ではPIMDプログラムを用いて、高圧氷における相転移の研究にも取り組んだ。その結果、水素原子の量子効果により相転移が促進され、相転移圧力が大きく減少することを明らかにした。これにより従来のシミュレーションでは相転移圧力を過大評価していたものが、量子効果を考慮することで計算結果が大きく改善することが示された。 また、VASPを経由せず直接に機械学習ポテンシャルを実行するために、無償で利用可能な機械学習ポテンシャルプログラムであるAENETもPIMDプログラムへの実装を開始した。これにより、より高速に機械学習ポテンシャルを呼び出すことで計算シミュレーションの効率化が見込まれる。 これらの研究に加えて、J. Chem. Phys.などの国際論文を計4報報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度としてPIMD法と機械学習ポテンシャル法を融合した新規プログラムの作成に着手し、VASPプログラムを介することで、これを達成した。新規PIMDプログラムと従来のPIMDプログラムを氷系に対して実行した結果、誤差の範囲で両者が一致し、その有用性を示すことができた。また、高圧氷に対してPIMDシミュレーションを実行した結果、量子効果により相転移が促進するということを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに開発したPIMD法を用いて、水素貯蔵システムの計算に着手する。具体的には過去のスクリーニング研究の結果から水素貯蔵能力が高いと予想されるMOF構造を100個ほど抜き出し、水素分子を加えた系に対してVASP計算を実行する。これを教師データとして機械学習ポテンシャルによる学習をおこなう。学習完了後は新規PIMDプログラムを用いて、量子効果を考慮した水素貯蔵量を計算していく。
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