Project/Area Number |
23K13853
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 37030:Chemical biology-related
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田口 純平 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (50865855)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | ホウ素 / アジド / クリック反応 / トリアゾール / 近接効果 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、近接効果により反応が促進される新規分子連結法を開発することである。ボロン酸構造を有するアジドとジオール構造を有するアルキンを原料として用いると、ボロン酸とジオール間の可逆的な錯形成によりアジドとアルキンが近接し、不可逆的にトリアゾール環が形成される。すでに進行を確認している本反応について、アジドとアルキンの構造の計算科学に基づく設計と、それら候補分子の合成、反応性の評価を行うことで反応性の向上を目指す。また、本分子連結法と他のクリック反応を組み合わせた逐次連結を行うことで、多機能分子の合成や生体分子の修飾への応用を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機ホウ素化合物とジオール間の錯形成を利用した新規分子連結法の開発に取り組む。具体的には、まず、(1)予備的に見出していた近接効果促進型アジド-アルキン環化付加反応についてDFT計算に基づくクリック反応素子の設計、合成を通して反応性の向上を達成する。次に、(2)本反応の官能基許容性の評価と逐次クリック反応への応用に取り組む。最後に、(3)本反応のタンパク質の化学修飾への応用を検討する。 本年度は実施計画に従い(1)に取り組んだ。初めに溶媒の検討をしたところ、非プロトン性極性溶媒であるジメチルスルホキシド中での反応が最も高い反応速度を示した一方で、非極性溶媒中では反応が遅く、プロトン性溶媒中では反応が進行しなかった。プロトン性溶媒での反応の進行は、今後本反応をタンパク質修飾へ応用する上で不可欠である。そこで、基質への置換基導入による反応性の向上に取り組んだ。DFT計算の結果から高い反応性が示唆された基質を実際に合成し反応性を評価したところ、それぞれの構造改変により反応加速効果が確認された。それらの構造改変による反応性向上は加成性を示し、構造改変を組み合わせた基質を用いることでより高い反応速度が確認された。反応性向上の結果、プロトン性溶媒であるリン酸バッファーとジメチルスルホキシドの混合溶媒中でも反応が進行することを確認した。加えて、本手法を分子連結へ適用する上で不可欠な、連結用官能基を有するクリック反応素子の合成にも成功した。(639)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先にも述べた通り予定していた(1)の目標を達成したことから、現在までの進捗状況を「おおむね順調に進展している」と評価する。具体的には、予備的に見出していた近接効果促進型アジド-アルキン環化付加反応の反応性の向上を目的として、DFT計算を用いて30種類以上の基質のボラート形成時の安定化エネルギー、およびトリアゾール形成時の活性化エネルギーを計算した。それらの内、高い反応性を示すことが示唆された基質を中心とした基質の合成に取り組んだ結果、13種類の基質の合成を達成した。最後に、それらを用いて反応性を評価したところ、おおむねDFT計算と矛盾のない結果を示し、反応速度の向上が達成された。その結果、従来適用できなかったプロトン性溶媒であるリン酸バッファーを溶媒に用いても反応が進行することが確認された。また、得られた成果について学会での発表を2件行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度も実施計画に従い(2)および(3)を進める。 2024年度前半は、開発した反応の官能基許容性の確認や逐次修飾への応用に取り組む。具体的には、求核性のペプチド側鎖に含まれる官能基などに対するクリック反応素子の安定性や反応の阻害効果を確認する。加えて、本反応とCuAACやSPAACを組み合わせた逐次修飾に取り組むことで、他のクリック反応素子との直交性の評価を行う。 2024年後半は、本反応の実用性の確認を目的として、HaloTagタンパク質の化学修飾に取り組む。具体的には、標識用分子としてHaloTagリガンド構造を有するボロン酸-アジドと、蛍光団やビオチンなどの検出用構造を有するジオール-アルキンを合成する。その後、それらクリック反応素子を生物系の共同研究者に提供し、タンパク質の標識に本反応を適用することで、各クリック反応素子の安定性や他のクリック反応に比べた本修飾法の特徴を明らかにする。
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