Project/Area Number |
23K13860
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 38010:Plant nutrition and soil science-related
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
植田 佳明 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 研究員 (70835181)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | イネ / 根 / 栄養 / 成長 / トランスクリプトーム / 品種間差 / 植物栄養 |
Outline of Research at the Start |
植物は養分吸収の大部分を根に依存するため、根系構造と栄養吸収の調節は栄養ストレス耐性と深く関わる。植物は複数の栄養素の条件に応じて根系構造と栄養吸収を調節するが、その制御因子の大部分は明らかになっていない。本研究では、圃場で頻繁に欠乏する重要栄養素であるリン、窒素、硫黄、鉄といった栄養素およびその組み合わせが根端の伸長と栄養吸収に与える影響、およびその制御を司る重要因子を明らかにする。本研究により、多様な環境下における栄養吸収の緻密な制御メカニズムが解明されるほか、栄養欠乏条件において根系構造と栄養吸収、および生育の改善した植物の開発が進められることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
水耕溶液の硝酸イオン、アンモニウムイオン、鉄、リン、硫黄濃度を通常の20%, 5%, 1%に変化させた条件で、indica型イネIR64(栄養欠乏耐性 低)とaus型イネDJ123(栄養欠乏耐性 高)を栽培し、根形態の栄養応答性の評価を行った。IR64ではアンモニウム条件が冠根長に大きく影響したのに対し、DJ123ではリン条件、ついでアンモニウム条件と硫黄条件が冠根長に顕著に影響した。一方で、L型およびS型側根については、密度、長さとも、栄養応答性の顕著な品種間差が確認されなかったことから、冠根に着目した解析を引き続き行った。 上記の栄養条件のうち、特に根発達と関連の強かったリン、鉄、アンモニウムイオン、硝酸イオンの4栄養素を選び、それぞれ通常条件(100%)および低栄養条件(5%)の2通りの濃度を設定した、合計16栄養条件でIR64とDJ123を栽培した。冠根長の解析からは、アンモニウムイオンのみが欠乏した条件で根端伸長の品種間差が最も小さくなった一方で、アンモニウムイオンと他の栄養素、特にリンと硝酸イオンの両方がが欠乏した条件ではその品種間差が大きくなり、根の伸長における栄養素間相互作用およびその品種依存性が明らかとなった。 根端における栄養シグナルの統合メカニズムを解明するため、上記の16条件で育てられた植物の根端2cmを切除した根端サンプルを取得し、RNAシーケンス解析を実施した。PCA解析の結果、栄養素の絶対量よりもそのバランス、特に窒素とリンのバランスが根端での遺伝子発現パターンに大きな影響を与えることが明らかとなった。 加えて、根端の成長の特徴的な、IR64背景にDJ123の染色体断片を含む、染色体断片置換系統をIR64と戻し交配し、根端の成長に影響を与える遺伝子の探索に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、根の成長における栄養素間の相互作用を明らかにし、根端での栄養利用パターンもしくは栄養シグナル統合のメカニズムが品種依存的であることを明らかにした。根端のRNAシーケンス解析からは、個々の栄養素および栄養素間の相互作用により発現調整を受ける遺伝子をDJ123において明らかにし、重要因子の絞り込みを開始した。トランスクリプトームに加えて、遺伝解析(ファインマッピング)による重要遺伝子の絞り込みにも着手していることも考慮し、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度に取得したRNAシーケンスの基盤的データをもとに、共発現解析を行うことで、共通の制御を受ける遺伝子群およびその中心的因子を特定する。加えて、シス配列解析も行い、根端において複数の栄養素により制御を受ける遺伝子群を制御する上流因子に関する知見を取得する。また、根形態の特徴的な染色体断片置換系統の持つ、根の成長に関わる遺伝子の存在する候補領域の絞り込みを進めるほか、候補領域中の遺伝子と、共発現解析から得られる重要因子のリストを比較し、根端での栄養シグナルの統合と根端の成長に関わる因子の絞り込みを試みる。重要候補因子が絞られた場合には、既に研究室で確立しているCrispr/Cas9システムにより、ノックアウト体の作出を試み、機能解析を開始する。 また、根の成長に影響を与える要因として、糖などの代謝物の重要性を仮定し、スクロースなどの糖の品種間差の予備的解析に着手する。
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