Project/Area Number |
23K13866
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 38020:Applied microbiology-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
森脇 真希 (高野) 富山大学, 学術研究部工学系, 助教 (10444192)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 二形成真菌 / メタボローム解析 / 糖質代謝 / 核酸代謝 / Dimorphism / Mucor / ethanol / continuous culture |
Outline of Research at the Start |
糸状体と酵母体に形態変化するMucor属接合菌(二形成真菌)は、重要な酵素や様々な物質生産に優れた微生物である。本研究では、本菌株の酵母細胞状態を安定的に維持して生産性を高め、かつ二形成能(糸状体と酵母体)を利用して連続的に発酵・分離を制御する、高効率の連続培養プロセス構築を目的とする。そのため、オミクス解析(細胞内や構成分子を網羅的に比較し、形態変化誘導因子を同定する解析法)により、環境変化に左右されず安定的に酵母化できる条件(抗真菌剤等の薬剤添加や培養環境の制御)を決定する。次にその条件を生かし、物質生産を損なわずに酵母化因子を制御できる連続培養プロセスを構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではエタノール生産接合菌であるMucor circineloidesが糸状体と酵母体に形態変化する特性について、環境変化に左右されず安定的に酵母化できる条件(薬剤等の添加や培養環境の制御)を検討するとともに、その条件をを生かした連続培養プロセスを構築することを目的としている。そのためまず完全糸状体および完全酵母体におけるエタノール生産について比較した。その結果、酵母体では糸状体よりエタノールの生産量および生産性が高いことがわかった。また、糸状体では基質グルコースの枯渇後にエタノールを消費していたが、酵母体ではその消費が確認されなかった。糸状体においては基質枯渇後は糖質に限らず自身の生産物でも炭素源として消費する一方、酵母体では糖質以外は消費されにくいことが予想され、物質生産においてもこの特性は有効であると考えられる。 また、両形態における代謝の違いをもとに形態変化メカニズムを明らかにするため、両形態の菌体についてメタボローム解析を行った。この解析では細胞代謝に関わる水溶性・イオン性物質の測定に加え、形態変化にともなう細胞膜組成変化についても解析するため、脂溶性・中性代謝物質についても測定を行った。その結果、多くの代謝経路において両形態における代謝物質の細胞内含量には顕著な差があることがわかった。単位菌体重量あたりの代謝物質量は、解糖経路ではほとんどの物質が酵母体において糸状体より多い一方、その下流のTCAサイクルでは逆に糸状体における蓄積量が多かった。また、補酵素や核酸、アミノ酸などにも差があり、基質消費や増殖速度の差はこれらに起因すると考えられた。さらに、脂肪酸含量においては糸状体で顕著に多くなることが明らかとなり、これらはエタノール耐性や発酵産物の消費の要因となっていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の当初の計画では、1年目においてメタボローム解析を実施することで、様々な代謝経路の解明、代謝産物の蓄積量などの変化を比較・検討し、その結果をもとに形態変化関連分子について、二形成を阻害または促進する薬剤の種類や添加量を検討し、好気的に酵母化する形態変化誘導条件の決定をする予定であった。しかしながら形態変化における代謝の変動は多岐にわたっており、様々な試薬の添加により多少の応答は示すものの、完全な酵母化には至らず、形態制御条件の検討を2年目にも続けている状況である。そのため2年目においても引き続き形態制御に取り組む予定であることから、研究の進行はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目に引き続き、メタボローム解析結果をもとに特定した形態変化関連分子について、二形成を阻害または促進する薬剤の種類や添加量を検討し、好気的に酵母化する形態変化誘導条件の決定をする。このとき、添加した薬剤により増殖や発酵能力が損なわれてはならず、本菌株がもつ物質生産能力(エタノール生産)を維持した状態で形態を制御できる条件を検討する。また、その条件が各種糖質(特にペントース)存在下での酵母化も可能かどうかについて検討する。回分培養にて決定した条件から、さらに連続培養プロセスの構築を行う。連続培養では希釈率など培地の流入によって発酵槽内の成分濃度が変化するため、酵母化を維持できるよう最適化を行う。さらに、セルロース系バイオマスを酵素糖化した様々な糖質や成分を含む基質液を用いた連続培養プロセスを構築する。 回分培養では可能であった酵母化制御が連続培養では維持できなくなることが予想される。形態制御因子や制御薬剤は候補を数種挙げ、それら培養形態の変化に対応できるようフィードバックを行いながら研究を進める。
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