トリパノソーマ科原虫に対する顕著な抗原虫活性を持つ天然物の全合成と構造活性相関
Project/Area Number |
23K13892
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 38040:Bioorganic chemistry-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
目黒 康洋 東北大学, 農学研究科, 助教 (10912157)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 天然有機化合物 / 全合成 / 抗原虫活性 / 抗リーシュマニア活性 / 抗トリパノソーマ活性 / 有機合成化学 |
Outline of Research at the Start |
最近発見された顕著な抗リーシュマニア活性ならびに抗トリパノソーマ活性を持つ天然物(isatropolone類ならびにphytohabitol類)を起点とし、それらの全合成、構造活性相関、化学生物学的方法論を総合したアプローチを展開することで、両疾病の画期的新薬開発の突破口を開きたいと考えた。本研究では、まず全合成と構造活性相関研究を実施して標的タンパク質同定のためのプローブ合成の基盤を整え、化学生物学研究者と連携しながら標的分子の同定へと展開する。将来的には、リガンド-標的複合体の構造情報を取得して、合理的な薬剤設計に基づく構造最適化/簡略化した新規抗原虫薬の創製に繋げたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題ではそれぞれ抗リーシュマニア及び抗トリパノソーマ活性を持つisatropolone類ならびにphytohabitol類の全合成研究を実施した。isatropolone類の合成については、調製を完了していたE環部分の反応条件を修正することで、安定かつ大量供給する合成ルートを確立した。続くD環部分の構築についてはアルキル化による増炭とアルドール縮合により目的とするDE環部が得られたものの低収率に止まった。本変換では増炭のため強塩基を用いた際にレトロマイケル反応が進行し、E環が開環してしまうことで低収率になった。そこで、現在はカルボン酸を導入してカルボニルα位の酸性度を低下させることで、比較的弱い塩基でのアルキル化や分子内アルキル化による温和な条件での増炭を検討している。phytohabitol類についてはまず、5-hexen-1-olを出発原料に用い、既知の手法により増炭してオキサゾリジノン誘導体を調製した。不斉補助基であるオキサゾリジノン部分を還元条件で除去した後、酸化してアルデヒド体を得た。アルデヒド体に対して、リチウム試薬による求核付加反応を試みたところ望まないFelkin-Anh型の生成物が優先したため、添加剤や基質の保護基の検討を実施したところ、立体選択性を逆転させ、所望のChelation型の生成物を優先して得ることに成功した。続いて保護基の調製を行った後、ジオール部分を酸化してラクトン部分を構築した。以上により、phytohabitol類の下部ユニットの炭素骨格と立体化学の構築を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Isatropolone類についてはアルケンのオゾン酸化でアルデヒドへと変換した後、アセチルアセトンによる増炭と環化によるE環部分の構築をワンポット化することで容易に調製する手法を確立した。E環部分を単工程かつ大量に供給することができたが、D環部分の構築では保護基の変更や別法によるアルキル化を試みているが収率良くD環を構築する反応条件を見いだせていない。phytohabitol類については、下部ユニットの合成に着手した。本スキームの鍵となる立体選択的な求核付加反応において、種々の条件検討を実施したところ、所望の立体化学を有する目的物を優先的に合成することに成功した。その後の保護基の調製やラクトン部分の構築も比較的収率良く反応が進行し、phytohabitol類の下部ユニットの骨格構築を完了することができ、計画通りに合成研究を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
Isatropolone類のD環部分の構築の際に、強塩基を用いるとE環部分が開環する望まない副反応が進行してしまう問題が生じた。そこで現在の方針としてはE環のカルボニルα位にマンダー試薬などでエステルを導入することで、カルボニルα位の酸性度を低下させ、比較的弱い塩基を用いることでレトロマイケル反応によるD環部分の開環を防げると期待している。その他の別法として、E環に存在するヒドロキシ基をカーボネート基に変換して、分子内での求核付加反応により温和な条件で所望の増炭ができると予想している。phytohabitol類の下部ユニットの骨格構築が完了したので保護基を除去することで下部ユニットの合成を完了する予定である。続いて、phytohabitol類の中央ユニットと上部ユニットの合成に着手する。中央ユニットと上部ユニットの合成は既知化合物から単工程で調製可能であると考えているため、短期間で合成を完了する計画である。ユニットの連結工程では非共役ジエン部分の構築において、鍵となるニッケル触媒を用いたカップリング反応を検討する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(20 results)
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[Presentation] 細胞壁多糖α-1,3-グルカン依存的凝集性の評価系構築に向けたα-1,3-グルカノオリゴ糖被膜ビーズの作製2023
Author(s)
竹俣海志, 宮澤拳, 小泉亜未, 吉見啓, 目黒康洋, 佐藤伸一, 岩田忠久, 木村聡, 阿部啓悦
Organizer
日本農芸化学会2024年度大会
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