Project/Area Number |
23K13951
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 39040:Plant protection science-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鯉沼 宏章 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (00884686)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | ファイトプラズマ / 媒介昆虫 |
Outline of Research at the Start |
ファイトプラズマは植物と昆虫を行き来しながら生活する細菌である。ファイトプラズマに感染した植物はしばしば枯れてしまうため、昆虫を介して他の植物に感染を拡大することはファイトプラズマの重要な生存戦略である。これまでの知見で、ファイトプラズマの媒介昆虫の行動は、ファイトプラズマの感染拡大に有利になるように変化すると報告されているが、そのしくみはほとんど解明されていない。本研究では、ファイトプラズマが媒介昆虫の行動を制御して、効率的に感染拡大するしくみを分子レベルで明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
ファイトプラズマは植物の篩部細胞内に寄生する昆虫媒介性の植物病原細菌で、世界各地の農業生産に深刻な被害をもたらしている。ファイトプラズマは退行的進化を遂げて多くの遺伝子を欠失しているにも関わらず、植物と昆虫を行き来するという複雑な生活環を有している。このような生活環を成り立たせる上で、昆虫を介してファイトプラズマが他の植物に感染を拡大することは、ファイトプラズマが生存する上での死活問題である。本研究では、ファイトプラズマが宿主昆虫の行動を制御するメカニズムの解明を通じて、限られた遺伝子で効率的に拡散するファイトプラズマの巧妙な宿主適応戦略を理解するための基盤的知見を得ることを目指す。 本年度はファイトプラズマが昆虫の行動に及ぼす影響を解析するため、ファイトプラズマ感染植物/非感染植物を媒介昆虫に吸汁させて保毒昆虫と無毒昆虫を作出し、植物への選好性を比較する系の構築を進めた。加えて、保毒昆虫からファイトプラズマを粗精製し、無毒昆虫の昆虫体内に微量注入することで、植物の影響を可能な限り排除した保毒昆虫を作出することに成功した。 また、等温遺伝子増幅技術であるLAMP(loop-mediated isothermal amplification)法を用いた、ファイトプラズマの網羅的かつ特異的な検出技術を開発し、媒介昆虫の個体および後脚一本からファイトプラズマ感染の有無を判別する方法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファイトプラズマが昆虫の行動に及ぼす影響を解析するための系の確立に向け、虫体内注射技術を用いて保毒昆虫を作出することに成功した。加えて、媒介昆虫の後脚一本からファイトプラズマ感染の有無を容易に判別する方法も確立できた。条件検討に少々時間を要したため、当初予定していた次世代シーケンサを用いたRNA-seq解析が実施できなかったものの、今後はスムーズに研究が進捗すると思われることから、全体としてはおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、保毒昆虫と無毒昆虫の植物への選好性を含めた行動への影響を解析するとともに、保毒昆虫と無毒昆虫からRNAを抽出し、次世代シーケンサを用いたRNA-seq解析を実施する。これにより、ファイトプラズマ感染時に顕著に発現が変化した昆虫遺伝子を選抜し、行動への影響が高いと予想された遺伝子について局在解析等を行う予定である。
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