Project/Area Number |
23K13956
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 39040:Plant protection science-related
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
小玉 紗代 摂南大学, 農学部, 助教 (10824039)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 植物病原糸状菌 / 病原性 / 細胞外分泌酵素 / ウリ類炭疽病菌 / イネいもち病菌 |
Outline of Research at the Start |
植物病原糸状菌は宿主植物表面に接着した際に劇的な感染器官の形態分化を行い、様々なタンパク質分泌を介した宿主との相互作用を経て感染を成立させる。このような病原菌の侵入過程には植物表層成分に対する応答が重要であることが明らかになってきた。 本研究では、糸状菌類が豊富に持つ糖質関連酵素群(CAZymes)のうち機能未知の分泌性アルコール酸化酵素が植物病原菌にのみ存在し、植物表層の脂肪族アルコールやワックス成分に対して活性を持ち、さらに菌の遺伝子発現および病原性の制御に関与するという観察に基づき、分泌酵素を介した植物への感染適応戦略を明らかにしていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ウリ科植物に感染する炭疽病菌の分泌性アルコール酸化酵素(AlcOx)が感染時に葉表層成分の脂肪族アルコールやワックス成分を基質として長鎖アルデヒドを生成し、本菌の病原性に関与するという観察に基づき、植物病原糸状菌のAlcOxによる長鎖アルデヒド生成と宿主侵入および病原性との関係性を明らかにすることを目的としている。本年度は以下の研究を実施した。 1.AlcOx制御下にある分泌性タンパク質の植物侵入における機能の評価:AlcOxを介した長鎖アルデヒド生成がどのように病原性に影響するのか明らかにすることを目的とし、AlcOx制御下にある植物細胞壁分解酵素および推定エフェクターをコードする遺伝子に着目して、遺伝子破壊株および蛍光タンパク質付加株の作出を行った。それぞれの遺伝子破壊ベクターおよび蛍光タンパク質を付加した各遺伝子の導入ベクターの構築は完了し、ウリ類炭疽病菌の形質転換を進めている。 2.イネいもち病菌AlcOxの機能保存性の検討:イネいもち病菌ホモログの解析を行うため遺伝子破壊株を作出し表現型の解析を行った。その結果、いもち病菌AlcOx破壊株およびその活性化に関与するPerOxホモログの破壊株は侵入の遅延およびイネ・オオムギに対する病原性の低下を示し、いもち病菌においてもAlcOxおよびPerOxは付着器侵入および病原性に寄与することを明らかにした。さらに、蛍光タンパク質付加によりイネいもち病菌におけるAlcOxおよびPerOxの細胞内局在を観察したところ、付着器侵入孔への蓄積が観察され、いもち病菌においてもAlcOxおよびPerOxは付着器侵入時に機能することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画では、1.AlcOx制御下にある分泌性タンパク質の植物侵入における機能の評価および、2.イネいもち病菌AlcOxの機能保存性の検討を行うために研究材料となる菌株の取得と形質評価を行い、基盤的データを得ることを予定していた。AlcOx制御下にある植物細胞壁分解酵素や推定エフェクターをコードする遺伝子の遺伝子破壊ベクターおよび蛍光タンパク質を付加した遺伝子の導入ベクターの構築は完了し形質転換を順次進めており、今後形質評価が可能である。また、イネいもち病菌のAlcOxホモログ遺伝子およびその活性化に関与するPerOxホモログ遺伝子の破壊株取得は完了しており、それらの形質評価を行った。その結果、イネいもち病菌においてもAlcOx-PerOxは付着器侵入および病原性に寄与することが明らかになった。これらの進捗状況から、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
AlcOx制御下にある分泌性タンパク質の植物侵入における機能を評価するため、引き続きAlcOx制御下にある植物細胞壁分解酵素や推定エフェクターをコードする遺伝子の遺伝子破壊株および蛍光タンパク質付加株の取得を完了させ、形質を評価するとともに細胞内局在の観察を進める。また、AlcOxがウリ類炭疽病菌の細胞内シグナル伝達系に与える影響の検証に向けて、研究材料となるNDRシグナル伝達経路関連転写因子MTF4およびPKAシグナル伝達経路上流のGαサブユニットMagAの蛍光タンパク質付加株の作出を進める。
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