シロチョウが食草の化学防御に応じて解毒遺伝子を発現し分ける機構の解明
Project/Area Number |
23K13961
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 39050:Insect science-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡村 悠 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員 (30974042)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
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Keywords | 生物間相互作用 / シロチョウ / 食草適応 / 植食性昆虫 / 進化 |
Outline of Research at the Start |
シロチョウの幼虫はアブラナ科草本を主要な餌資源として用いる。アブラナ科草本は多様なグルコシノレートと呼ばれる二次代謝産物を化学防御として保有している。一方で、シロチョウの幼虫は食草の持つグルコシノレートの組成に応じて、nitrile specifier protein (NSP)とMajor allergen (MA)と呼ばれる2つの近縁な解毒遺伝子を使い分けることで、多様なグルコシノレート組成に適応している事がわかっていた。本研究では、シロチョウの幼虫がどのような分子機構でNSPとMAという2つの解毒遺伝子を食草に応じて発現しわけているのかについて、RNA-seqやATAC-seq等の手法を組み合わせて解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
植食性昆虫は食草を利用する際に食草に含まれる毒性物質を解毒する機構を進化させている。シロチョウはNSPとMAという2つの解毒遺伝子を食草の化学防御組成に応じて使い分けるが、その使い分けの機構は解明されていない。そこで本研究ではそれぞれの解毒遺伝子の発現調節機構を解明することで、解毒遺伝子の使い分け機構を解明することを目指す。 初年度となる本年度はシロチョウの幼虫の中腸サンプルを用いてRNAseqとATACseqを行うことで、シロチョウの幼虫において発現している食草適応に関わる遺伝子の発現制御に関わる遺伝的な領域の同定を目指した。特にNSPとMAに注目し、ことなる食草を摂食したさいの幼虫サンプルからデータを得ることで、これらの遺伝子の発現動態がどのように変化するのかを確認することが目的である。本年度はゲノム支援によるサポート受けることができ、当初予定していたバルクの解析ではなく、シングルセルレベルで2種類の食草を摂食した幼虫サンプルに対してRNAseqとATACseqを行うことができた。シロチョウの幼虫を用いたシングルセル解析は先行研究が少なく、また幼虫の中腸というサンプルの特性上、多くのデブリが混入し、サンプルの調製が困難であったが、無事予定していた解析を行うことができた。現在、得られたデータを解析中であり、今後はこのデータを足がかりに注目する遺伝子の発現制御領域の絞り込みを行うことで研究を進めていく予定である。現状注目する遺伝子の片方について、近傍のATACピークが認められるため、その領域を転写制御に関わる第一候補として研究を推進していく予定である。一方、ラボで予定していた摂食実験は食草の栽培法確立に予定よりも時間がかかった。そのため、摂食実験を主体としたアプローチは次年度に集中して行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予定していたRNAseqとATACseqの解析をおおむね進めることができた。これらのデータをもとに研究を推進し、必要に応じて追加のシーケンスデータを取得する予定である。また、標的となる遺伝子の近傍にATACピークが見られたため、この部位を潜在的な転写制御領域と考え、Y1H法による解析を進める準備を行っている。予定していた摂食実験は食草栽培条件の調節に時間がかかったため、予定を変更して次年度に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で得られたシングルセル解析の結果をもとに、標的遺伝子の転写制御領域の絞り込みを行う。くわえて、摂食実験をもとにした発現パターン解析とATACseqをおこなうことで更に追加の情報を得て、これらをもとに転写制御領域の推定を行い、Y1Hによってそれを確認する。また、注目する遺伝子の野外における発現パターンを、異なる食草を用いている幼虫サンプルから得ることで、実際に注目する遺伝子の発現動態を確認する。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)