Project/Area Number |
23K13992
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 40020:Wood science-related
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田川 聡美 信州大学, 工学部, 助教(特定雇用) (20911952)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 菌糸 / ハイドロフォビン / 細胞壁 / 培養 / エノキタケ / きのこ / 担子菌 / 組織化学 |
Outline of Research at the Start |
近年、担子菌の菌糸体をバイオベース材料として幅広く利用することが注目され、いくつか先行的な製品開発が始められている。しかし、その基盤を支える担子菌の菌糸の集合過程やその集合体の構造は明らかではない。そこで、本研究課題では、担子菌における菌糸体の形成過程に依存した構造特性と細胞表層のタンパク質の発現量および局在の相関を明らかにすることを目的とする。目的遂行のために、菌糸体全体の顕微鏡観察を行い、その上で菌糸同士の結着性の一因子としてハイドロフォビンの発現量と局在解析を微視的解析として行うことで、菌糸体の構造特性とタンパク質の発現の相関を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
この研究では当初、エノキタケの一核と二核の2種類の菌糸体を使用して、3つの課題に取り組む予定であった。しかし、一核タイプの菌糸体の培養が難しく、2種類の菌糸を同時に調査すると研究が遅れる可能性があると判断したため、2023年度は二核タイプの菌糸体を中心に研究を進めた。気中菌糸はハイドロフォビンが多く含まれる可能性が高く、気中菌糸を定量は、ハイドロフォビンの発現量の間接的な手掛かりとなる。そこで、研究の足掛かりとして、いくつかのエノキタケの品種について液体培養を行い、気中菌糸の形成量を比較した。具体的には、iQ2、GA12、シナノアーリーの3種の培養を行った。初めに最適な培地を決定するためタンパク源や炭素源の異なる培養液を3種類試した。その結果、植物由来のアミノ酸源と酵母抽出液を用いたMYS培地が最も菌体量が多く、最適であることが分かった。気中菌糸の定量法として画像解析を用いたが、正確に測定できていないことが判明したため、現在、適切な気中菌糸の定量方法を検討している。 ハイドロフォビンの直接的な調査としてRNA-Seq解析を行い、ハイドロフォビンというタンパク質の発現量とその配列情報を得た。エノキタケの品種(株)の違いにより、ハイドロフォビン遺伝子の発現量が異なった。まだ試行回数が少ないため、今後リアルタイムPCRを用いて発現量の定量を行う。また、明らかとなったRNAの遺伝子配列から、ペプチド抗体をデザインし、免疫抗体染色用の抗体を作成する予定である。 2023年度の成果は8月にオランダで開催されるIMC12(国際菌学会)と9月に鳥取で開催される日本きのこ学会の年次大会にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の課題であった、課題1) 菌糸の集合構造を明らかにする (2023~2024年度)については、共焦点レーザー走査型顕微鏡を用いた観察方法の確立を目指した。概ね観察方法が定まったため、現在はImage J Fijiを用いた菌糸の集合形態に関する画像解析をすすめている。同時に、菌糸の幅や細胞壁の厚さを光学顕微鏡で観察し計測を行い菌糸の形態に関するデータも取得中である。 課題2)ハイドロフォビンの発現量と菌糸の集合構造の相関を明らかにする(2023~2026年度)については、エノキタケの培養方法の確立とRNAseqによる遺伝子発現量と遺伝子配列の調査を行った。具体的には、iQ2、GA12、シナノアーリーの3種の培養を行った。初めに最適な培地を決定するためタンパク源や炭素源の異なる培養液を3種類試した。その結果、植物由来のアミノ酸源と酵母抽出液を用いたMYS培地が最も菌体量が多く、最適であることが分かった。ハイドロフォビンの直接的な調査としてRNA-Seq解析を行い、ハイドロフォビンというタンパク質の発現量とその配列情報を得た。エノキタケの品種(株)の違いにより、ハイドロフォビン遺伝子の発現量が異なった。 以上のように、課題1と2に関して、観察手法、培養方法が確立されてきており、足掛かりとなるハイドロフォビンの遺伝子発現量の情報も取得できたため、順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1の菌糸の集合形態に関しては、観察画像を元に、集合形態を評価する画像解析手法を構築する。課題2に関しては、気中菌糸の定量方法としてセパレーターを用いた培養方法を現在検討中であり、良好な結果を得ているためこのまま検討を進める。ハイドロフォビンの遺伝子発現量に関しては、RNAseqの情報をもとにハイドロフォビンのプライマーを作成しリアルタイムPCR解析を行う。また、ハイドロフォビン自体の抽出と定量方法も検討を進める。課題3のハイドロフォビンの局在性の観察に関しては、課題2で得た情報をもとに、ペプチド抗体を設計し、免疫抗体染色を試みる予定である。
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