Project/Area Number |
23K14004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
阿部 貴晃 日本大学, 生物資源科学部, 研究員 (90863415)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | マグロ族 / 体温形成 / 代謝速度計測 / 内温性形成 / 適水温 / エネルギー収支 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、マグロ族の温度生理特性と成長に伴う変化過程を明らかにし、現在の適応状況を評価し、将来の適応可能性を考察する。まず、若魚の代謝速度を(1)複数の水温条件で計測することで、温度生理特性の変化過程を明らかにし、(2)野外での若魚の体温・水温時系列を解析することで、熱収支特性を明らかにする。得られた結果から、(3)モデルを構築し、現在の環境への各種の適応状況を把握し、温暖化への応答予測を行う。本研究は、これまで明らかとされてこなかったマグロ族の温度生理についての基礎的知見を提供し、温暖化問題を考慮した資源管理施策の根拠となることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、クロマグロ若魚の代謝速度の計測とアーカイバル・タグによって得られてきたデータの解析を行った。 代謝速度の計測は、当初の予定通り、(株)大阪海遊館以布利センター(高知県土佐清水市)で行った。閉鎖型循環水槽を用いて、合計15個体のクロマグロ若魚の代謝速度を計測した。これまでに得られた代謝計測のデータと併せて、若魚期初期における代謝速度のスケーリング指数を算出したところ、若魚期においては以降の発達段階と比較して、高値を示すことが明らかとなった。 代謝速度のスケーリング指数が高い値を示したことは、若魚期初期において、産熱速度が発達する可能性を示唆している。そこで、アーカイバル・タグによって得られた腹腔内温度と水温との関係から、産熱速度を求め、若魚期初期における産熱速度の発達過程を算出した。その結果、若魚期初期においては、高い産熱速度が保持されており、高い産熱速度の保持が腹腔内温度と水温の差の初期形成性に重要であることが考えられた。 また、本研究の中心的なテーマであるマグロ族各種の水温適応については、呼吸循環の中心である心臓の温度適応も重要であるとされている。そこで、近年発達が著しい心電図記録形について、マグロ類での適応可能性を検討した。長崎県対馬市近海で漁獲されたクロマグロを対象として、心電図記録計の装着試験を行った。その結果、クロマグロの胸鰭基部付近に心電図記録計を挿入することで、明瞭な心電図記録を取得することができることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
扱いの難しいクロマグロ若魚の代謝速度を計測できたことは、国際的にも学術的な価値は高い。また、アーカイバル・タグのデータの解析に着手し、内温性の形成時期だけでなく、その発達過程についての議論まで踏み込めたことは、予想外の成果であるといえる。 一方で、計画段階では、詳細な温度条件やクロマグロ以外の種の代謝計測を予定していたが、実験期間の制約から、多くの計測を行うことができていない。 以上の理由から、概ね順調に進展できているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、クロマグロだけでなく、キハダやスマでも代謝速度を計測することを予定している。アーカイバル・タグのデータ解析についても、現在進めており、スマについては体温の形成過程についてクロマグロと同様に解析を進めている。 令和5年度に得られた結果については、現在、投稿論文としてまとめている他、国際会議・学会での発表を行う。
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