Project/Area Number |
23K14044
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 41040:Agricultural environmental engineering and agricultural information engineering-related
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
斎藤 嘉人 新潟大学, 自然科学系, 助教 (90964990)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
|
Keywords | 豆乳 / コロイド / 凝固 / 散乱 / 蛍光 |
Outline of Research at the Start |
世界的なタンパク質不足を背景として,チーズやヨーグルト,豆腐といったコロイド加工製品の高品質化・安定生産が求められている。しかし,凝固は様々な要因に影響を受けるためその制御は職人の勘と経験に依存しており,凝固前のコロイドの状態で凝固の挙動を高精度に予測する技術が切望されている。 本研究では,蛍光特性および散乱特性に基づくコロイドの凝固挙動予測を目的とする。最先端技術である近紫外レーザを用いた散乱・蛍光の同時計測用の光学系を構築し,光の散乱を加味した蛍光測定手法を確立する。コロイドのモデル試料として豆乳を対象とし,近紫外励起により計測する散乱特性・蛍光特性に基づく豆乳の凝固挙動の予測に挑戦する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,コロイドの凝固挙動予測を目指した「一波長」による光散乱・蛍光の同時計測技術の確立である。検出波長の近さを利用した近紫外単色レーザによる散乱・蛍光の同時計測に新たに挑戦し,精密な制御を要するコロイドの凝固挙動の予測を行う。本年度の進捗は下記の通りである。
[I]近紫外レーザを利用した散乱光学系の構築:近紫外レーザを光源とした散乱光学系の構築を行った。使用した波長は370 nmであり,検出には可視~近赤外帯に感度を持つ分光器を用いた。入射光と平行にファイバを配置し入射点からの散乱光の減衰を空間分解的に測定した結果,試料中を多重散乱した弾性散乱光の検出に成功した。さらに,試験的に豆乳サンプルを測定したところ,波長370 nmで励起された長波長側の蛍光も有意に検出された。現在,豆乳の加熱変性に伴う連続的なスペクトル変化を検証している段階である。
[II]凝固挙動の異なる豆乳の基礎的な蛍光特性の検証:豆乳の凝固速度は化学成分の組成に影響を受ける一方,化学成分組成に変化がない場合にはpHに支配される。そこで,アルカリ電解水を豆乳中に添加し,励起蛍光マトリクスによる基礎的な蛍光特性の検証を行った。その結果,pHが上昇するほど励起波長280 nmにおける蛍光ピーク強度に変化が現れることが明らかとなり,蛍光特性に基づく凝固挙動の可能性を見出した。今後は豆乳のpH・凝固速度・自家蛍光特性の3要素間の関連性を検証する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の独創的な点である,「一波長」による光散乱・蛍光の同時計測技術については,実験系の構築は完了しており,凝固速度の異なる豆乳の基礎的な光学特性の検証も同時並行で進め実現可能性を検証できている。そのため,当初の計画通り1年目の進捗としては順調に進展している。研究実績の概要に示した2点の詳細は下記の通りである。 研究実績の概要[I]に示した近紫外レーザを利用した散乱光学系の構築では,紫外レーザのコリメートに時間を要したものの,光学系の構築は完了させることができた。しかし,標準物質を用いた光学系の妥当性検証は未検証であり,豆乳の光学測定を実施する前に標準品を用いた光学係数の基礎検証を行う予定である。 研究実績の概要[II]に示した凝固挙動の異なる豆乳の基礎的な蛍光特性の検証については,励起蛍光マトリクスを用いた網羅的検証を実施することができ,1年目としては当初の想定以上に進展した。 以上より,本研究の進捗を総合的に判断し,おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
①紫外散乱光学系の妥当性評価 2年目ではまず,1年目のうちに完了できなかった光学系の妥当性検証を行う。波長370 nmにおける散乱光の空間分解プロファイルを取得し,散乱体の濃度と散乱係数との線形性を評価する。また,量子収率が既知の蛍光測定用標準物質を用い,蛍光強度の検出精度の評価を行う。さらに,下記②で実証する励起蛍光マトリクスの結果から,波長370 nm以外にも凝固挙動予測に有効な励起波長を選択し,同様の手順で光学系の構築および妥当性評価を行う。
②豆乳の化学的品質・凝固速度・自家蛍光特性の3要素間における関連性検証 1年目の検証結果から,豆乳のpH変動が自家蛍光特性に影響を与えることを明らかにした。2年目はまず,地元業者の協力のもと,複数品種の原材料大豆を用いて油揚げ用・豆腐用のそれぞれの豆乳を調製し,蛍光特性に基づく豆乳中pHの推定モデルの構築および有効波長の選択に取り組む。次に,豆乳のpHと凝固速度との関連性を検証し,蛍光特性に基づく豆乳の凝固速度の推定に取り組む。そして,選択された励起波長の中から入手可能な半導体レーザを購入し,①で構築している光学系に追加実装する。本研究成果は2024年9月に開催される農業食料工学会にて発表する予定であり,2年目終了時には国際誌へ投稿する計画である。
|