Project/Area Number |
23K14045
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 41040:Agricultural environmental engineering and agricultural information engineering-related
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
今泉 鉄平 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (30806352)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
|
Keywords | 細胞壁多糖類 / 原子間力顕微鏡 / ナノ構造 / 農産物 / ペクチン / ポストハーベスト処理 / 酵素反応性 / ナノインデンテーション |
Outline of Research at the Start |
本研究では、軟化現象への寄与が大きいと予想される細胞壁多糖類について、①収穫後青果物における細胞壁多糖類における個性の把握、②ポストハーベスト処理に対する細胞壁領域における応答の解明、③細胞壁ネットワーク構成が酵素反応性に及ぼす影響の解明を試みる。①では細胞壁の化学構造の詳細な解析とともに、原子間力顕微鏡を用いたナノインデンテーションによる物性評価を行い、個体ごとの変動について解析を行う。②ではこれらの特徴について温湯処理などのポストハーベスト操作による変化を明らかとしていく。③では細胞壁多糖類における化学的特徴の違いが酵素による作用の受けやすさに影響を及ぼし得るか明らかとする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
青果物の組織は多種多様な要素から構成され、組織変化の過程が不透明となっている。それ故に、収穫後の青果物における軟化予測は難しく、フードロスを生み出す要因の一つにもなっている。軟化現象への寄与が大きいと予想される細胞壁多糖類について、初年度は収穫後青果物における細胞壁多糖類における個性の把握と、ポストハーベスト処理に対する細胞壁領域における応答の解明に焦点を当てて研究を遂行した。 青果物から粗細胞壁を抽出し、化学的・物理的側面からの個性の把握を試みた。特に、温湯処理に対する細胞壁性状の変化を中心に解析を進めた。処理後の青果物から得られた粗細胞壁より、水溶性ペクチン、キレート可溶性ペクチン、希アルカリ可溶性ペクチンを抽出し、ガラクツロン酸当量での組成分析を行った。ここから、温湯処理による不溶性画分の増大を確認した。また、FT-IRを用いた化学構造解析を行うことで、処理によるメトキシル化度の変動を明らかとした。さらに、原子間力顕微鏡(AFM)を用いることで、各ペクチン画分のネットワーク形成を可視化し、その分岐程度からネットワーク形成能の評価を行った。AFMはナノインデンテーション試験にも用い、粗細胞壁に対してカンチレバーを押し込むことで、弾性曲線の取得を行った。計測された物性挙動に対してモデルを当てはめヤング率の決定を行った。このとき得られた値は、無処理群と温湯処理で顕著な差として現れ、ネットワーク形成能の違いによってもたらされたものと推察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度には青果物細胞壁における個性把握を中心に進行する予定としており、当初予定していたAFMナノインデンテーションなど十分な成果が得られたと判断した。化学構造解析においては側鎖構造の分析についても検討事項として挙げていたが、既に分析手法についてはほぼ確立できており、引き続き順調に評価を進められると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目には細胞壁ネットワーク構成が酵素反応性に及ぼす影響の解明を中心に進めていく。初年度の実験においてポストハーベスト処理による細胞壁の多様性形成については十分な知見が得られたため、これによって作成された数パターンの細胞壁物質に対してペクチナーゼなどの酵素を作用させる。このとき、分解に伴う化学構造・物性の変化の程度を比較することで酵素反応性について考察を行う。評価手法としては、分子量分布やFT-IR分析を行うほか、物性計測ではレオメーターを用いた評価を行っていく予定である。
|