Project/Area Number |
23K14090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
尾針 由真 北海道大学, 人獣共通感染症国際共同研究所, 助教 (00847056)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | フタトゲチマダニ / 倍数性識別 / マイクロサテライトDNA / 倍数体 / マイクロサテライト |
Outline of Research at the Start |
フタトゲチマダニは、重症熱性血小板減少症候群を始めとしたマダニ媒介性感染症(TBD)の媒介者として重要視されている。フタトゲチマダニには両性生殖を行なう系統と単為生殖を行なう系統が存在しており、TBD 病原体を媒介する能力が系統間で異なる可能性が指摘されている。本申請課題では、フタトゲチマダニの系統間における病原体媒介能の違いを明らかにするために、系統を簡便に識別する手法を開発し、日本における分布とTBD 病原体の保有状況およびそれを規定する遺伝的な要因を解析する。また、系統間でTBD 病原体の保有状況とそれに関連した遺伝的要因を特定する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、倍数性の異なるフタトゲチマダニHaemaphysalis longicornisの識別方法を開発し、その系統間における病原体の媒介能力の差を検証することを目的としている。本年度は、2倍体で両性生殖により次世代を産生する系統と3倍体でメスのみが単為生殖により産卵する系統のフタトゲチマダニを識別する方法として、複数のマイクロサテライトDNA領域を用いた手法開発を試みた。開発段階で、これまではデータバンクに登録されているニュージーランド産フタトゲチマダニの卵塊から解読された全ゲノムデータを用いてマイクロサテライトDNA領域の探索およびプライマー設計を行ない、100,000領域以上が発見され200領域ほどについてPCRを行なったものの、系統間の識別に適した領域を見つけることができていなかった。このため、ニュージーランドと日本のフタトゲチマダニの間で、マイクロサテライトDNA領域が異なる可能性が考えられた。そこで、日本産フタトゲチマダニの全ゲノム解析を試みようとしたところ、日本で採集された個体に由来し実験室で継代維持されていた2倍体フタトゲチマダニの全ゲノムデータが公開された。そこで、新たにデータバンクから全ゲノムデータを取得してマイクロサテライトDNA領域の探索を再度実施し、120,000領域以上のマイクロサテライトDNA領域が検出された。 今後は検出されたマイクロサテライトDNA領域を増幅できるプライマーを設計し、系統間を識別可能な領域を探索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで、データバンクに登録されているニュージーランド産フタトゲチマダニの卵塊から解読された全ゲノムデータを用いてマイクロサテライトDNA領域の探索およびプライマー設計を行ない、プライマーの運用試験に日本で採集されたフタトゲチマダニを用いていた。しかし、100,000領域以上を発見し200領域以上のPCRを試みたものの、系統間の識別を目的としたマイクロサテライト解析に有用な領域が発見できていなかった。この結果から、ニュージーランドと日本のフタトゲチマダニの間に遺伝的な違いがある可能性を考え、日本のフタトゲチマダニについて全ゲノム解析を試みようとしたところ、日本で採集された個体に由来し実験室で継代維持されていた2倍体フタトゲチマダニの全ゲノムデータが公開された。そこで、新たにデータを取得し3~5bpのモチーフ配列を対象としたマイクロサテライトDNA領域の探索を行なった。その結果、3 bpモチーフが8,536、4 bp モチーフが112,758、5 bpモチーフが911領域となり、合計122,205領域のマイクロサテライトDNA領域を検出することができた。ただしこの中には、同じ塩基が連続するモチーフも含まれているため、今後さらにフィルタリングを行ない、プライマーの設計および解析に有用な領域の探索を進めていく。 また、手法開発後に用いる野外サンプルを確保するために北海道内においてサンプリングを行ない、100個体以上のフタトゲチマダニを採集した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、研究課題開始以前から発見済みだったマイクロサテライトDNA領域を対象としてプライマーを設計し、日本のフタトゲチマダニを用いて有用性の検証を実施したが、有用な領域およびプライマーは得られていない。そこで日本のフタトゲチマダニの全ゲノムデータからマイクロサテライト領域の探索を行なったところ、多数の領域が得られた。今後は、これらの領域についてプライマー設計を行ない、日本のフタトゲチマダニを用いて有用性を検証していく。また日本のフタトゲチマダニの全ゲノムデータを登録した研究者とは既に協力関係にあり、ゲノム取得に用いられたフタトゲチマダニの実験室株を用いた検証も可能である。さらに、in silicoの解析によりニュージーランドと日本から登録されてるフタトゲチマダニの全ゲノムデータの両方で発見されたマイクロサテライトDNA領域を絞り込むことで、日本だけでなく海外に生息するフタトゲチマダニについても解析可能な手法開発にも着手する予定である。 また日本におけるフタトゲチマダニの系統間における分布の再検討およびマダニ媒介性感染症の病原体保有率を比較するために、日本各地でフタトゲチマダニを採集する予定である。本年度は、北海道においてサンプリングを行ない、フタトゲチマダニが採集できる地点を確保している。さらに採集したフタトゲチマダニについて、マイクロサテライトDNA解析を用いて系統間の識別を行ない、縮約ゲノム解析や全ゲノム関連解析を用いて系統間の病原体保有状況と遺伝的要因の特定を試みる。
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