温水除草技術を応用した薬剤非依存性マダニ防除手法の開発とダニ媒介感染症予防戦略
Project/Area Number |
23K14094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小方 昌平 北海道大学, 人獣共通感染症国際共同研究所, 助教 (60962751)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | マダニ / フタトゲチマダニ / 温水 / 予防 |
Outline of Research at the Start |
温水処理によるマダニ、植物、土壌への影響を調査する。実験室環境下では、1:フタトゲチマダニの温度依存性の生存調査、2:植物の温度変化による発育の違い、除草効果の調査、3:温水の土壌への影響調査を実験室内環境下で行い、野外調査では、1:温水処理による耕作放棄地でのマダニ個体群の変動調査、2:耕作放棄地での温水による土壌影響調査、3:温水処理による放牧地帯でのマダニ個体変動調査、4:温水処理による放牧牛の分子学的調査による感染症の変動調査を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
植生上から採取し、形態学的に鑑別を行ったフタトゲチマダニの若虫および成虫合わせて約700個体に対して温度依存性の生存試験を行った。本実験の温度範囲を決めるため、45℃/120秒、 50℃/5秒、55℃/5秒で若ダニ、成ダニそれぞれに対して温水浸漬実験を行い、本実験の温度範囲を決定した。マダニの各ライフステージを45℃、50℃、55℃、57℃、60℃、62℃、65℃に設定した恒温水に1秒間浸漬し、生存数を評価した。サンプル数は10~200とし、浸漬後のマダニを25℃で7日間飼育し、浸漬日、1日後、7日後の生存数を記録し比較した。フタトゲチマダニの若虫において、45℃/120秒と50℃/1秒の温水に浸漬したマダニの7日後生存率は100%であった。また、50℃/5秒で温水浸漬したマダニの7日後生存率は88%(44/50匹)であった。55℃/1秒の温水に浸漬したマダニの7日後生存率は97%(97/100匹)、57℃/1秒では98%(49/50匹)、60℃/1秒の温水では、6%(12/200匹)であった。62℃/1秒以上の温水では、すべてのマダニが死亡した。フタトゲチマダニの成虫において、45℃/120秒、 50℃/5秒、55℃/5秒の温水に浸漬したマダニの7日後生存率は100%であった。57℃/1秒の温水に浸漬したマダニの7日後生存率は、メスマダニ94%(15/16匹)、オスマダニ87%(13/15匹)、60℃/1秒の温水では、メスマダニ46%(16/35匹)、オスマダニ33%(7/21匹)であった。62℃/1秒以上の温水では、すべての成虫ダニが死亡した。温水浸漬直後、1日後および7日後に調査したマダニの生存率に有意差は見られなかった。本研究では国内のフタトゲチマダニの温水耐性に関する初めての研究を実施し、62℃の温水に1秒以上浸漬することで全てのマダニが死亡することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内のフタトゲチマダニにおける、温水の耐性試験を行いデータを順調に積み重ねることができた。今年度の研究では62 ℃の温水に1秒以上フタトゲチマダニを浸漬することですべての若虫期、成虫期が死亡することが確認できた。マダニの生存数は温水に浸した直後、1日後、7日後ともに有意な変化は見られなかった。このことから、温水によるマダニの死亡は浸漬直後に起こり、その後の生存には影響しない可能性が示唆された。また、マダニの温水耐性試験結果は1秒と非常に短い時間で、マダニが死亡することが明らかになった。この結果は、次年度以降に予定している、野外での温水散布によるマダニ個体数の生存調査を実施する上で有用性を示した。しかし、植物の温度変化による発育の違い、除草効果の調査と土壌への影響調査に関しては、研究が遅れており、実施できていない。以上のことから、これまでの進捗状況はやや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、フタトゲチマダニにおける温水耐性温度の研究を実施した。今後は温水による植物、土壌への影響を評価するため、イネ科牧草、マメ科牧草に関して温湯浸漬法を用いた温度耐性試験を行う。土壌微生物の温水による影響はNGSを用いたメタゲノム解析により評価を行う。野外での温水散布によるマダニ個体群の変動調査では、温水処理区画と非処理区画を準備し、マダニの個体数変動を経時的に確認していく。温水散布のマダニの防除方法候補としての可能性を検証する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)