Project/Area Number |
23K14107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 42030:Animal life science-related
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
Bai Lanlan 岩手大学, 理工学部, 助教 (30839717)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 牛伝染性リンパ腫ウイルス / レセプター / エンベロープ / 結合 / 中和抗体 |
Outline of Research at the Start |
牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)は悪性Bリンパ腫である牛伝染性リンパ腫の原因ウイルスである。ウイルス表面糖タンパク質 Env gp51が宿主膜表面上のウイルスレセプターカチオン性アミノ酸トランスポーター1(CAT1)に結合すると、ウイルス膜貫通タンパク質 Env gp30 が活性化し、ウイルスと宿主標的細胞膜が融合する。これにより BLV のコアが宿主細胞に侵入すると考えられている。本研究では、Env gp51と感染レセプターCAT1との相互結合部位を同定し、中和抗体の作製および感染レセプターの干渉機序を明らかにし、BLVの侵入機構の解明および感染防御ワクチン開発への貢献が考えられる。
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Outline of Annual Research Achievements |
牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)は、ウイルス表面糖タンパク質 Env gp51 が宿主膜表面上のウイルスレセプターカチオン性アミノ酸トランスポーター1(CAT1)に結合すると、ウイルス膜貫通タンパク質 Env gp30 が活性化され、ウイルスと宿主細胞膜が融合し、 BLV のコアが宿主細胞に侵入すると考えられている。CAT1 は14回膜貫通タンパク質であり、細胞外ループ(ECL)が Env と結合し、細胞膜融合を誘導すると考えられている。そこで、本研究では、CAT1 の各 ECLの発現プラスミドを構築し、CAT1 非発現型 CHO-K1 細胞に発現させ、BLV の感染を調べたところ、 BLV の感染を誘導しなかったことが確認された。mCAT1-3ECLにおける2つのアスパラギン酸(N)がマウス白血病ウイルスのEnvと結合し、細胞侵入することが報告されている。そこで、これらの N にアラニン置換をしたところ、BLV の感染が促進された。この結果は、Nが BLV と結合しない可能性が示唆された。 先行研究では、CAT1 は BLV 感染に対する種特異性がないことが明らかにされた。そのため、ECL の高度に保存された領域のアミノ酸が BLV Env と結合すると予測される。そこで、BLV 感染が可能な 18 種の動物由来の CAT1 のアミノ酸配列をデータベースから取得し、保存性を解析した。高度に保存された 63 個のアミノ酸に、単一のアラニン置換を施し、BLV の感染を調査したところ、6 つの変異体では BLV の感染が観察されなかった。さらに、タンパク質構造解析ソフトウェア PyMOL を用い、これら 6 つのアミノ酸変異が構造に与える影響を解析したところ、大きな変化は観察されなかった。以上の結果から、これらの 6 つのアミノ酸が BLV と結合している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)のEnv gp51と感染レセプターCAT1との相互結合部位を同定し、中和抗体の作製および感染レセプターの干渉機序を明らかにすることであり、これによってBLVの侵入機構の解明、Env gp51機能阻害薬剤の産生、感染レセプターの干渉薬の産生およびBLV感染防御ワクチン開発などを実現することを目指している。本研究では、CAT1の細胞外ループの高度に保存されているアミノ酸にアラニン置換を施した発現プラスミドを用い、BLVの感染を調べた。詳細な実験手順は、「研究実績の概要」で説明済みである。現在までの成果として、BLVと結合可能な候補アミノ酸を同定し、そのタンパク質構造解析を行った。CAT1の結合部位の変異体の解析結果から推測されるタンパク質構造には影響がほとんど見られないが、タンパク質表面のチャージには影響がある可能性がある。今後は、結合部位の変異体CAT1のチャージへの影響を解析し、BLVの粒子との結合性を調べ、CAT1のBLVとの結合する部位を再確認する予定である。また、BLV側のCAT1と結合する部位も同定する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、BLV Envと感染レセプターCAT1との相互結合部位の同定することを目的とする。そこで、CAT1の結合候補部位の変異体のBLVとの結合する部位の再確認を行う。また、BLV側のCAT1と結合する部位も同定の研究において、まず、Env配列のシングルアラニン置換発現プラスミドの構築を行う。①Envのアミノ酸配列の保存性を分析する。②保存されているEnv由来の共通B細胞エピトープおよび予測される部位の各アミノ酸残基に変異を入れたEnv-RFP融合発現プラスミドを構築する。次に、EnvとCAT1との結合性および膜融合性による結合部位の同定を行う。その詳細としては、③Envの変異体がEnv-RFP蛍光融合タンパク質の発現に影響しないことを確認する。④Envの変異体を発現させた細胞をCAT1発現細胞と共培養し、CAT1発現細胞と結合しているEnv-RFP発現細胞を測定し、候補結合部位を同定する。⑤同定した候補Envの変異体を発現させた細胞をCAT1発現細胞と共培養し、BLV感染の膜融合によりその結合部位を同定する。さらに、BLV Envの結合部位の変異体の構造を以下のステップで解析を行う。⑥既知のレトロウイルス表面糖タンパク質の構造をモデルとして、Envのアミノ酸配列を用い、タンパク質構造解析ソフトウェアによりEnvの可視化立体構造を作成する。⑦EnvのCAT1との結合部位の変異が構造やチャージ変化へ与える影響を解析し、EnvがCAT1と結合し、膜融合するまでの構造変化を解析する。もし、BLV Envの感染レセプターCAT1との結合部位に変異が入れば、CAT1との結合性と膜融合性が低下あるいは失うため、変異体を細胞に発現させ、Envの結合部位を同定する。さらに、Envの立体構造を作成し、BLVの感染侵入のシミュレーションを行う予定である。
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