Project/Area Number |
23K14118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 42040:Laboratory animal science-related
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
名倉 悟郎 宮崎大学, フロンティア科学総合研究センター, 助教 (50823423)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 休眠 / 食糞 / マウス / 生体制御機構 / 適応行動の相互関係 |
Outline of Research at the Start |
自然界を生きる野生動物は、気候変動や生息地環境の変化、競合他者の存在などにより、必ずしも安定したエネルギーが得られるわけではない。エネルギー不足に適合するために、あるものは糞から栄養素を獲得する食糞を行い、またあるものは休眠や冬眠でエネルギー消費を抑える仕組みを持っており、マウスはその両方を備えている。通常、休眠は絶食や低温で誘導されるが、我々は通常食および常温で飼育しても、食糞を阻止されたマウスが休眠することを突き止めた。この結果は、食糞による栄養素や代謝の変化が休眠のスイッチに影響する可能性を示唆している。本研究では、食糞と休眠のリンケージを起点に、休眠を誘導する新たな因子の同定を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
我々が生命現象を維持するためには、エネルギーの獲得と消費を繰り返し、生体の恒常性を保つ必要がある。しかし、自然界を生きる野生動物は、気候変動や生息地環境の変化、競合他者の存在などにより、必ずしも安定したエネルギーが得られるわけではない。エネルギー不足に適合するために、あるものは糞から栄養素を獲得する食糞を行い、またあるものは休眠や冬眠でエネルギー消費を抑える仕組みを持っており、マウスはその両方を備える動物として知られている。休眠は絶食や低温状況で誘導されることが報告されているが、我々は通常食および常温で飼育していても、食糞できない環境下のマウスが休眠することを突き止めた。この結果は、生体の恒常性維持のために、食糞による栄養素や代謝の変化が休眠のスイッチに影響を及ぼしている可能性を示唆している。本研究では食糞可と食糞不可の環境で飼育したマウスを用いて、休眠の頻度や持続時間を解析するとともに、消化管ホルモンや腸内細菌などを中心に休眠のスイッチに関する新たな分子メカニズムを明らかにする計画である。 本年度は、食糞できない環境下のマウスの生体内で起こっている現象の理解を深めるため、血液生化学特性の解析をおこなった。また、食糞そのものが有する栄養補給以外の生物学的意義を明らかにするため、食糞の行動様式を「従来の食糞(肛門から糞を取り出してそのまま食べる)」と「拾い食い(落ちていた糞を拾って食べる)」に再分類して、行動学的評価をおこなった。さらに、メインテーマである食糞と休眠の関係については、メスのみの検討であった予備試験の結果をもとにして、オスでの再検討を実施した。これら食糞と血液生化学特性の関係、食糞の行動様式の再検討に関しては論文投稿をしているが、前者の食糞阻止の方法について追加情報が必要と指摘を受けたため、その検証を急いでいるところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、食糞できない環境下のマウスの生体内で起こっている現象を明らかにし、食糞阻止により誘導される休眠の理解を深めることを目的に実験をおこなった。はじめに、動物の生体機能の恒常性維持に食糞がどのように関係しているのかを精査するため、食糞可と食糞不可の実験群を設定して血液生化学特性の変化を比較解析した。その結果、食糞阻止群で肝機能とタンパク栄養の指標が悪化していることが明らかになった。この成果を論文投稿中である。続いて、動物にみられる食糞の行動学的特性に関して、肛門から直接糞を取り出して食べる行動と、一度落とした糞を拾って食べる行動の違いをハムスター類を使って観察した。その結果、前者は概日リズムにおける休息時間帯に多いが、後者は一日中観察されることが明らかになった。さらに、拾い食いする糞の選好性に関して、別個体の雌雄の糞をそれぞれ提供してみたところ、オスはオス、メスはメスの糞を選好して食べることが明らかになった。この成果も論文投稿しているところである。さらに、食糞阻止が休眠を誘導するのかに関して、先行研究ではメスのみの検討であったが、オスを使った検討を実施中である。加えて、より長期的な食糞阻止が動物に及ぼす影響を検討するため、食糞阻止方法の改良をおこなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、現在投稿中の論文掲載に向けて引き続き執筆をする予定である。実験に関しては、オスで検討中の実験結果を解析して原著論文としてまとめる予定である。その後、雌雄両方の動物を使って、食糞できない環境下での基礎代謝量の計測と、メタボローム解析用のサンプル数が集まってきたため、次年度中に消化管内の微生物叢と代謝産物の解析を外部委託する予定である。
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