パンドラウイルスの全ゲノム比較解析で自然宿主の推定を目指す
Project/Area Number |
23K14167
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 43050:Genome biology-related
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
明石 基洋 成蹊大学, 理工学部, 助教 (70836288)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 巨大ウイルス / ゲノム解析 / 微生物生態学 / 環境ウイルス学 / 環境ウイルス |
Outline of Research at the Start |
本研究では、自然環境より分離された単細胞真核生物感染性の巨大ウイルスの一種であるパンドラウイルスのゲノム解読と比較ゲノム解析を行う。申請者はこれまで、50株以上の巨大ウイルスグループに属するウイルスの分離に成功した。中でも、パンドラウイルスを総計7種を発見した。巨大ウイルスはゲノム中に多様な生物種由来の配列を持つ。特に、パンドラウイルスは巨大ウイルスとしては最長であることが知られている。そこで、申請者の持つパンドラウイルス7種全ての比較解析を行い、それらのウイルスゲノムの特徴を詳細に明らかにする。続いて、生物由来の配列を検証し、宿主由来配列の痕跡から真の宿主を解明することが最終的な狙いである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、2019年から2020年にかけて分離した汽水域沿岸の土壌における巨大ウイルスのタイピング並びに分離頻度の月毎の変動の解析を行なった。その結果、巨大ウイルスの分離頻度は5月と1月で高まることが分かった。加えて、同じ月であっても、サンプル間で分離数は大幅に異なっており、巨大ウイルスが5 m x 10 mという比較的狭いエリアであっても不均一に分布していることが明らかとなった。最も分離数が多かったのはミミウイルスで24株、次いでマルセイユウイルスの23株であった。現在ゲノム解析を進めているパンドラウイルスの株数は全部で6株であったが、これに加え、パンドラウイルスと同じ坪型の形状をした巨大ウイルスであるセドラトウイルスとピソウイルスがそれぞれ1株ずつ分離されていたことも分かった。分離源に着目すると、ミミウイルスは24株中9株、マルセイユウイルスは23株中15株がそれぞれ水試料から分離されており、ミミウイルウスは土壌試料、マルセイユウイルスは水試料から分離される頻度が高かった事が分かった。一方、坪型のウイルスはその殆どが土壌サンプルから分離されており、セドラトウイルスとピソウイルスが土壌から、パンドラウイルスは6株中5株が土壌から分離された。従って、今回分離できた巨大ウイルスのうち、マルセイユウイルスは水環境で、その他の4属は湿った土壌中で増殖することが示唆された。以上の結果は、Frontier in Microbiology(Sec. Virology)に投稿し、受理された(Akahsi et al., in press)。現在、パンドラウイルス8種(今回分離したものに加えて本研究の前日譚となるAkashi&Takemura2019で報告した2株)に加え、同じ坪型ウイルスであるセドラトウイルスとピソウイルスのゲノム解析を進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在進行中の研究は、これまでに分離した巨大ウイルスのタイピングを先に実施することで追加で解析を実施すべき株のスクリーニングを行うことで漏れをなくし、その後に巨大ウイルスのゲノム抽出の方法の検討を行い、解析ゲノムの提出という流れとなっている。研究がやや遅れた原因としては、ウイルスのタイピングで、ピソウイルスとセドラトウイルスがサンプル群に含まれていたために時間を要したことが挙げられる。当初、これらのウイルスは分離されることを全く想定していなかった。しかし、パンドラウイルスを検出するためのプライマーを用いたPCRにより非特異的な増幅が見られたため、増幅条件を検討し、結果的には同じプライマーを用いてDNA断片の増幅と解読に成功した。これら2種類のウイルスはパンドラウイルスとウイルスの科は異なるが、同じ坪型をしている。パンドラウイルスと同じく土壌から分離されたため、ゲノム上の宿主の痕跡を探るためにパンドラウイルスと共にゲノム解析を実施するサンプルに加えることとした。もう一つの要因としては、ゲノム抽出方法の検討に時間が掛かったためである。実験計画当初は、ゲノム抽出には市販のゲノム抽出キットを使用する予定であった。しかし、実際に本品を使用したところ、ゲノムDNAがあまり抽出されず、サンプルの損傷や精製度も低かったため、生化学的なDNA抽出方法に切り替えた。この方法で条件検討を実施し、坪型ウイルス類のゲノム抽出に適した条件を決定した。得られたサンプルによるゲノム解析が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中のパンドラウイルス・ピソウイルス、セドラトウイルスのゲノム解析に先立ち、ゲノムの性状解析に用いるプログラムの開発を先に実施し、データベース上に登録されているパンドラウイルスのゲノム情報を用いて解析テストを進めている。現時点で、他のウイルスと比較した場合におけるパンドラウイルスの特徴が複数明らかとなっている。今後、現在解析中のウイルスゲノムに特徴的な情報を抽出し、宿主の推定につながる情報を集積する。特に、今回分離した株に固有のゲノム領域を重点的に探索して報告する予定である。開発したプログラムは、論文投稿時に合わせて公開する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)