Project/Area Number |
23K14185
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 44010:Cell biology-related
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
伊藤 直樹 学習院大学, 理学部, 研究員 (20965834)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | ミトコンドリア / ユビキチン修飾 / ユビキチンリガーゼ / リン脂質代謝 |
Outline of Research at the Start |
ミトコンドリアの機能はリン脂質量の均衡によって保たれている。しかし、その量的制御を担う脂質代謝酵素および輸送タンパク質の活性自体を調節するシグナルの解析は進んでいない。本研究ではミトコンドリア外膜に局在するユビキチンリガーゼMITOLによるユビキチン修飾シグナルに着目し、新たなリン脂質の代謝制御機構の解明を目的とする。さらに、リン脂質の直接的な結合によるMITOLの活性調節機構についても検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ユビキチンシグナルを介したリン脂質代謝制御機構の解明として、MitoPLDおよびMitoPLD活性化因子(MIGA1、MIGA2)へのMITOLによるユビキチン修飾について検討した。MITOL過剰発現細胞において、MitoPLDのユビキチン化は増加しなかったものの、MIGA1、MIGA2では顕著な増加がみられた。よって、MITOLはMIGA1、MIGA2をユビキチン化し制御することで間接的にMitoPLDの活性を調節している可能性が示された。ひとまず2023年度は、申請者による先行研究においてMITOL結合因子として同定されたMIGA1に集中して解析を進めた。Cycloheximide chase assayおよび変異型ユビキチンタンパク質を用いた実験から、MITOLによるユビキチン化はMIGA1の分解には寄与せず、活性制御に働くことが示唆された。 リン脂質によるMITOLの活性制御機構の解析のため、ミトコンドリアへのPA量を制御するRMDN3のノックアウト細胞の樹立をCRISPR-Cas9法により試みた。しかし、原因は不明だが設計した3部位のgRNA全てで欠損細胞を得ることができなかった。 MITOL活性とpiRNA合成の連関解明に関しては、レポータープラスミドを野生型およびMITOL欠損細胞に導入し、各細胞におけるLINE-1の転移活性を検討した。フローサイトメトリーによりレポーターのEGFP蛍光を測定すると、野生型に比べMITOL欠損細胞において10%ほどの増加が認められた。この結果から、MITOL欠損細胞ではLINE-1の転移活性が上昇しており、ゆえにLINE-1抑制性のpiRNA合成量が低下している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ユビキチンシグナルを介したリン脂質代謝制御の解析は予定通りに進捗している。MITOLの新規基質候補として、リン脂質代謝に関与するMitoPLD関連タンパク質が挙がっていた。2023年度の解析により、MIGA1、MIGA2はMITOLによってユビキチン化される新規基質であることが明らかとなった。ひとまずMIGA1の解析を集中して進めた結果、MITOLはMIGA1の活性調節に寄与する可能性も示された。2024年度の解析に向けて、MIGA1のユビキチン化部位候補となるリジン変異体(KR変異体)の作製も進んでいる。 リン脂質によるMITOLの活性制御の解析については、欠損細胞の作製に手間取り2023年度に実施予定だった解析に着手できなかった。 MITOL活性およびミトコンドリア-リン脂質とpiRNA合成の連関解析は順調に進んでいる。レポータープラスミドを用いてLINE-1の転移活性を検出する系を2023年度内に確立できたため、予備実験でのLINE-1タンパク質の増加を裏付ける結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したMIGA1変異体を用いてユビキチン化リジン残基の同定を進める。また、その変異体発現時のMitoPLDとの相互作用およびミトコンドリアのリン脂質量の変化を解析する。さらにGFP-PASSレポーターを用いてホスファチジン酸の細胞内動態の可視化を試みる。MIGA1と同様にMIGA2についても解析を進める。 リン脂質によるMITOLの活性制御の解析は遅れているため2024年度に注力する。RMDN3、MitoPLDのノックダウンおよび、脂肪酸あるいは脂肪酸変換酵素阻害剤の添加を行い、ミトコンドリア内脂質量を変化させた際のMITOLのユビキチン化活性を検証する。 MITOL欠損細胞ではLINE-1の転移活性とタンパク質発現が上昇していることを示唆する結果を得ているが、実際にpiRNAの合成不良が起きているかは証明できていない。piRNAの解析は主にショウジョウバエやカイコで行われている。よって、今後は外部の専門家と連携しながら解析を進めていく。また、ミトコンドリア外膜でのpiRNAの足場となるTDRKHとMITOLの相互作用について検証する。
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