Project/Area Number |
23K14198
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石川 瑞穂 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (80966284)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 線維芽細胞 / DNA損傷 / 老化 |
Outline of Research at the Start |
線維芽細胞は、組織幹細胞ニッチとして働く細胞の一種で、組織恒常性維持や再生に重要な役割を果たす。近年の研究から、線維芽細胞が非常に豊かな多様性に富むことが明らかになりつつあるが、異なる線維芽細胞集団が存在することの生物学的意義は不明である。申請者はDNA損傷に起因する皮膚老化の原因が表皮幹細胞自体ではなく、そのニッチとして働く線維芽細胞亜集団にあるのではと考え、細胞種特異的なDNA損傷が誘導可能なマウスモデルや空間的トランスクリプトーム解析により正常または老化ストレス環境下での多様な線維芽細胞集団が持つ機能の解明および表皮―真皮ネットワークを基軸とした皮膚老化メカニズムの理解を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「皮膚に存在する多彩な線維芽細胞集団が、異なる表皮幹細胞集団のニッチ領域を決定し、老化ストレスに対し異なる感受性を示すことで表皮幹細胞の不均一性制御にはたらく」という仮説を細胞種特異的にDNA損傷ストレスを誘導することが可能なマウスモデルや空間的位置情報に基づくトランスクリプトーム解析などにより検証することである。そこで令和5年度は、DNA損傷誘導モデルマウスを使用した線維芽細胞亜集団におけるDNA損傷に対する応答性の違いの検討を行なった。皮膚線維芽細胞全体でCreを発現するCol1a2-CreERマウス、および真皮上部かつ低分裂表皮幹細胞の下に分布する線維芽細胞でCreを発現するLrig1-CreERマウスにタモキシフェン投与によってDNA損傷の誘導が可能なI-Ppo1マウスを交配して得たマウス(Col1a2-CreER/Rosa-I-Ppo1およびLrig1-CreER/Rosa-I-Ppo1)を用いて、Col1a2およびLrig1陽性細胞でDNA損傷が起こった際の老化表現型の違いを比較した。初めに脱毛、白髪などの老化に伴って生じる外見変化の観察を行なったがLrig1-CreERマウスとCol1a2-CreERマウス間に明確な違いは観察されなかった。また、表皮・真皮の厚さなどの組織学的変化やホールマウント染色による高分裂表皮幹細胞が占める領域の縮小を指標とした表現型の評価も行なったが、こちらもLrig1-CreERマウスとCol1a2-CreERマウスにおける差は認められなかった。つまり、Lrig1とCol1a2によって区別される皮膚線維芽細胞集団におけるDNA損傷に対する応答性に差がないことを示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は皮膚線維芽細胞亜集団特異的にDNA損傷を誘導するマウスモデルを使用した線維芽細胞間におけるDNA損傷への応答性の違いを検討した。使用したCol1a2-CreER/Rosa-I-Ppo1およびLrig1-CreER/Rosa-I-Ppo1マウスどちらにおいても外見における老化表現型に違いは見られず、その他の組織学的変化やマーカー染色による表現型評価においても同様に違いは観察されなかった。この原因がタモキシフェンの投与期間にあるのではないかと考え、現在タモキシフェン投与を前回の3週間から2倍に延長した6週間に変更した実験群を設定し、投与終了後1ヶ月後に皮膚組織を回収し、外見観察や組織学的解析を行いCol1a2、Lrig1 陽性線維芽細胞で DNA損傷が起こった時の違いを再検討する。 計画全体に遅れが生じないように、実験計画2に予定されている空間的位置情報に基づくトランスクリプトーム解析に関してはvisiumに関する準備を進め、実験計画3に予定している細胞間コミュニケーションがin silicoで解析可能なデータベースであるNichenetやCellchatの解析方法について既報論文を参考にして習得を始めている。また、培養を行なったヒトケラチノサイトに対する表皮幹細胞のマーカー染色における培養及び染色条件の検討も進めており、全体としては概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後に関して実験条件を一部変更して再検討を始めたCol1a2-CreER/Rosa-I-Ppo1およびLrig1-CreER/Rosa-I-Ppo1マウスはサンプル回収後早急に老化表現型解析を行い、最終的な結果を得る予定である。この再検討を進めている間に、実験計画2に予定している野生型若齢及び老齢マウス皮膚を用いた空間トランスクリプトーム解析系の構築を始め、来年度中にはこのシステムを稼働し、組織内の位置情報に基づいた遺伝子発現データの獲得を目指す。また、空間トランスクリプトーム解析によりデータが得られた時点でin silico解析や培地添加実験、マウスへの候補因子を染み込ませたビーズの真皮内移植といった実験の遂行を通し、最終目的である加齢に伴う表皮幹細胞集団のバランスが崩れる要因となる線維芽細胞集団の同定および表皮―真皮相互作用に着目した分子基盤の解明を達成する。
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