Project/Area Number |
23K14216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 44030:Plant molecular biology and physiology-related
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
金 恩哲 基礎生物学研究所, 環境光生物学研究部門, 助教 (30836359)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 光合成 / 集光 / 光防御 / 光化学系 / メガ複合体 |
Outline of Research at the Start |
植物は安全で効率的な光合成のため、弱光条件では光を効率的に集光し、強光条件では光ダメージを防止し安全に集光する仕組みを持っている。最近、ほうれん草の光化学系がメガ複合体を形成することでその集光機能が調節されることが明らかになったが、このメガ複合体形成の調節因子は不明であり、メガ複合体形成が緑色植物の普遍的特性であるかどうかも明確ではない。本研究は多様な緑色植物の光化学系メガ複合体形成を分析して集光制御における普遍性を調べること、またメガ複合体形成の調節因子を調べることを目的とする。本研究により、超複合体レベルよりも一つ上の階層のメガ複合体レベルでの集光機構調節の実態が明らかになると期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、緑色植物における光化学系メガ複合体の形成とその機能に焦点を当てている。緑色植物は進化の過程で様々な光合成機構を進化させてきたが、特に集光システムの最適化は重要な課題だ。この研究では、メガ複合体の形成が様々な種でどのように調節されるのか、そしてそれが最終的に集光システムの調節にどのように寄与するのかを明らかにすることを目指している。1年目は、オステオコッカス(プラシノ藻類)、クロレラ、クラミドモナス、ゼニコケ、イネ、シロイヌナズナ、ほうれん草など、様々な植物からメガ複合体の形成とその機能の基礎的な分析に焦点を当てた。Amphipolを使用したショ糖密度勾配超遠心分離法とClear Native-PAGEにより、各植物種の特性に応じたメガ複合体の形成パターンを詳細に調査した。緑藻植物門では、メガ複合体が減少またはPSI-PSIIが発達し、ストレプト植物ではPSII-PSIIメガ複合体が発達している傾向が見られた。特に、クラミドモナスとクロレラで異なるパターンを示したことは重要な発見だった。さらに、光条件、温度などの環境条件下でモデル植物であるシロイヌナズナを用いた実験を通じて、これらの環境的要因がメガ複合体の形成にどのような影響を与えるかを調査した。また、ネガティブ染色を用いた電子顕微鏡と単粒子分析を通じて、精製されたメガ複合体の構造を詳細に分析した。これらの分析を通じて、緑色植物におけるメガ複合体の普遍性と調節因子を示す初期データを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ネプロセルミス藻類だけは培養の問題で分析が遅れているが、他の植物種の分析は順調に計画よりも早く進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、まずはさらに多くの植物種に焦点を当て、特に異なる生態系や光環境に適応した種を選定し、熱帯雨林、砂漠、寒冷地など、極端な環境に適応した植物からのサンプル収集を強化する。これにより、メガ複合体形成の多様性と進化的背景を広範囲にわたり調査することが可能となる。また、最新の生化学的および分子生物学的手法を導入し、特にクライオ電子顕微鏡(Cryo-EM)を用いた構造解析や、次世代シーケンシングを活用した遺伝子発現解析でメガ複合体の詳細な構造と機能解析を行う。さらに、光条件、温度、水分といった異なる環境ストレスに対するメガ複合体の応答を詳細に調査し、これによりメガ複合体が植物の環境適応性にどのように寄与しているかを調べる。 メガ複合体形成の調節因子を明らかにするため、メガ複合体の形成に関係する遺伝子発現パターンを調べる。遺伝子発現量を比較するために、基本的に利用可能なRNA-seqデータを使用し、実際に使用したサンプルのRNA-seqデータが必要な際は、RNA-seq解析を行う。 また、光化学系メガ複合体の機能と性質の分析を行う。集光能力を分析するためには、光化学系の反応中心の電子分離によるPSIIの蛍光誘導曲線と光化学系Iの吸収誘導分析方法を活用し、光防御能力を分析するために蛍光寿命分析方法を活用し、エネルギー消去程度を調べる。また、光化学系間の結合性質を分析するために熱力学的解離速度論分析法を活用する。
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