Project/Area Number |
23K14222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 44040:Morphology and anatomical structure-related
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
大野 良和 北里大学, 海洋生命科学部, 特任助教 (30814298)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | サンゴ / 骨格形成 / 造骨組織 / 蛍光イメージング / pH制御 / 形態形成 / 石灰化 / 造礁サンゴ / 炭酸カルシウム |
Outline of Research at the Start |
サンゴ礁の基盤形成種である造礁サンゴ(以下、サンゴ)の骨格の形成メカニズムは不明な点が多い。具体的には、サンゴ造骨組織の液胞が周囲の環境海水よりもアルカリ化し、骨格形成が促進されると考えられているが、その分子メカニズムの詳細については分かっていない。本研究では、サンゴ稚ポリプの造骨組織を非破壊的に観察する顕微鏡技術を用い、造骨組織の様子をより詳細に可視化する。また、遺伝子発現解析や機能解析を組み合わせ、サンゴの骨格形成メカニズムを明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
サンゴ礁は、地球上でも最も多様性が豊かな生態系である。サンゴ礁の基盤形成種である造礁サンゴ(以下、サンゴ)の骨格は炭酸カルシウムが主成分であるが、サンゴの骨格形成メカニズは完全には解明されていない。具体的には、造骨組織の機能や形態も生体内で可視化した例は少なく、どのような細胞プロセスでサンゴの骨格形成が進むのか不明なままである。また、骨格形成に関与するイオン濃縮のメカニズムも詳しくは分かっていない。 本年度は、サンゴ造骨組織の動的機能を明らかにするため、主に生体観察を用いた研究を実施した。偏光顕微鏡によるタイムラプス撮影を実施したところ、直径数μmの微結晶が造骨組織に多数出現した後、それらを起点にアラゴナイト結晶が伸長する様子を記録することができた。画像解析を進めたところ、この現象は、サンゴの隔壁が形成される部位に特異的に見られることが分かった。隔壁はサンゴ体内で立体構造を形成している部分であり、微結晶はサンゴポリプの全体的な骨格形成に関係しているようである。 二光子励起顕微鏡によりサンゴ稚ポリプの口腔側から隔壁の観察を行ったところ、骨格の蛍光染色によって隔壁形成の様子を可視化が可能で、造骨組織内で直径1μm未満の粒子が隔壁に付着する様子も明らかにすることができた。これまで、生体を用いたサンゴの骨格観察は、ガラス基板上に限定されていたが、口腔側より観察領域を広げることができた。前述の観察結果について、隔壁の形態形成メカニズムと関連付け、英文査読付学術誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大型台風がサンゴ産卵の時期と重なったが、計画通りにサンプルの採集を行うことができた。しかしながら、採卵時に海水より微生物が混入してしまったためか、サンプル飼育中に食害が発生してしまい、遺伝子解析は遅れてしまった。 サンゴ造骨組織の可視化技術に関しては、前述した隔壁の形成過程の様子を記録することができた。また、本年度より先端バイオイメージング支援プラットフォーム(ABiS)の支援を受け、生体内で骨格形成に関与する微細構造を識別可能な観察手法が確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
隔壁形成といったサンゴ骨格の立体構造の形成メカニズムについても、今後は研究できそうである。また、本年度はサンゴ骨格の成長界面といった、微小領域についても観察が行えたため、画像解析を実施する。遺伝子解析については、サンゴ初期ポリプが食害を受けないような実験条件に注意しながら研究を進めたい。
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