TRPチャネルと新規温度受容体による温度受容情報の分子生理的処理機構の解析
Project/Area Number |
23K14235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45010:Genetics-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大西 康平 広島大学, 医系科学研究科(医), 研究員 (10912066)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 線虫C. elegans / 低温耐性 / TRPチャネル / GPCR / 温度受容体 / TRP |
Outline of Research at the Start |
温度は生命活動に必須の環境要因であり、温度受容の分子機構としてサーモTRPチャネルが広く知られている。その一方でサーモTRPに依存しない温度依存的な生理現象も存在するため、サーモTRP以外の新規の温度受容体の存在が予想されている。そこで、本研究では新規温度受容体の候補が本当に温度を受容しているのかを調べ、1つの温度受容ニューロンにおいてサーモTRPとサーモTRP以外の新規温度受容体が本当に共存しているのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
温度は生命活動に直接影響を与える重要な環境要因であり、生命は温度を感知して適切な行動や代謝を起こすことで生存している。温度受容の分子機構としてサーモTRPチャネルが広く知られている(2021年ノーベル賞)。一方で、サーモTRPチャネル以外の温度センサー分子も見つかってきており、線虫のサーモTRPが発現する温度受容ニューロンにおいてGタンパク質共役型受容体GPCRが温度受容体として機能する可能性が見つかった。そこで本研究では、GPCR型温度受容体の候補を絞り、その候補が1. 本当に温度を受容しているのか、2. どういった分子経路を介して温度情報伝達が行われているのか、3. 単一ニューロンでサーモTRPチャネルと共存して働くか、という視点で解析を進める。これまでに線虫を用いたスクリーニングで新規温度受容体の候補を同定したので、その中からさらに候補を絞り込んだのちに、その候補遺伝子を線虫の温度上昇に応答しない味覚ニューロンや培養細胞に導入してこれらの細胞が温度に応答するかをカルシウムイメージングを用いて検証し、GPCRであるSRH-40が温度受容体として機能する可能性を得た。変異体を用いたカルシウムイメージング解析を行い、SRH-40の下流で働く分子を同定した。線虫の存在するサーモTRPチャネルとGPCR SRH-40の変異体を用いた遺伝学的優位解析と、サーモTRPチャネルとGPCR SRH-40を同時に培養細胞に導入することでこれらが協調的に機能するかを調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、新規温度受容体の候補を絞り込み、その新規温度受容体の候補を味覚ニューロンに導入して、Ca2+イメージングを用いて味覚ニューロンが温度に応答するようになることを見つけた。味覚ニューロンの情報伝達経路の分子を欠損させた状態で、温度への応答性が変化するかをCa2+イメージングで解析することでGPCRの下流で機能すると考えらえる温度情報伝達経路を同定した。新規温度受容体を培養細胞などに発現させ、温度応答能を生理学的に検証した結果、GPCRであるSRH-40が新規温度受容体として機能する可能性を明らかにした。サーモTRPチャネルとGPCR SRH-40が同一経路で機能する可能性を明らかにした (Ohnishi et al., Nature communications, 2024)。
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Strategy for Future Research Activity |
変異体を用いた遺伝学的優位解析によって線虫のサーモTRPチャネルと温度受容体SRH-40が同一経路で機能する可能性は示唆されたが、同一ニューロンに存在するサーモTRPチャネルとどのように関係して温度情報伝達に関与しているかを知る必要がある。線虫の温度受容ニューロンにおいて複数のTRPチャネルが存在しているが、これらを同時に破壊するとおそらく他の機構に補完されてしまうため異常が消えてしまうことや、SRH-40とTRPチャネルを培養細胞に同時に導入しても相乗的な効果が見られないことから、SRH-40とサーモTRPチャネルが協調的に機能しているかは明らかとなっていない。GPCRの下流では複数の分子が機能することが考えられるため、培養細胞にSRH-40とTRPチャネルに追加でいくつかの分子を導入してカルシウムイメージング解析を行う。また、カルシウムの上昇は細胞活性の一つの指標にすぎないので、カルシウム以外の変化を測定する。例えば、GPCRとその他の分子、TRPチャネルを同時に培養細胞に導入して、GPCRの活性をTGFα切断アッセイやTANGOアッセイや蛍光変化などで調べる、TRPチャネルの活性を電気生理学的に解析する、などの解析が考えられる。その他の解析としてSRH-40以外にGPCR型温度受容体が存在するか調べる。SRH-40以外の温度受容体の候補に関して同様の解析を行うことや、線虫で見つかったGPCR SRH-40に似た特徴を持つタンパク質を様々な生物の中から解析ソフトやデータベースを用いて同定して、そのタンパク質が温度応答性を持つかを培養細胞を用いたCa2+イメージングで調べることが挙げられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)