Project/Area Number |
23K14240
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45020:Evolutionary biology-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田路 翼 日本大学, 文理学部, 助手 (20973994)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 送粉 / 花形質 / 同所的 / 二型 / 自然淘汰 |
Outline of Research at the Start |
進化生物学における重要な課題は形質の進化のメカニズムを解明することである。申請者は3種の植物集団において、一つの集団の中で花サイズの大小が分化している同所的な花サイズの二型を発見した。本申請の目的は、この同所的な花サイズの二型がどのような機構によって維持されるのかを明らかにすることである。本研究では、どのような自然淘汰が花サイズの二型を維持しているのかをフィールド研究から明らかにする。さらに、集団遺伝学的解析によって、二型間の遺伝的分化の実態を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
表現型の同所的な二型に着目することで、生物の形態的多様化や種分化のきっかけとなる現象の理解につながると考えられる。本年度は特に、小石川植物園内のカキドオシに着目した。園内のカキドオシは大きな花からなるパッチと小さな花からなるパッチに大別された。表現型の分布を調べたところ、大きな花をつける個体と小さな花をつける個体の分布は排他的であり共存することは少なかった。全国規模で行われた先行研究によるとカキドオシの倍数体は3パターン存在することがわかっている(Miura and Iwatsubo 2010)。そこで、園内のカキドオシの染色体数をフローサイトメーターにより調べたところ、先行研究で検出された3パターンの倍数体がすべて観測された。フローサイトメーターで解析したサンプルは花後のサンプルであったため、今後は花の形質がはっきりとわかる個体を解析に用いて、倍数体と花形態の大小が一致しているのかを調べていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
花形質のみに着目していた当初はカキドオシでは同所的な二型が見られるという前提であった。しかし、今年度行ったフローサイトメーターによる解析で、カキドオシでは同所的な三型が維持されていることが分かった。この結果は当初の予想を越えている。同所的な三型がなぜ一つの植物園内で維持されているのかを明らかにしていきたいと考えている。 引き続き、花形質の同所的な二型を発見している別の材料(オドリコソウ、ラショウモンカズラ)についての成果も出ているのでまとめていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
小石川植物園内のカキドオシは形態的な側面(外見)では2つのタイプに分けられるが、染色体数などの遺伝的な側面(内面)では3つのタイプに分けられる。今後はこの形態的な側面と遺伝的な側面の対応関係を確認していきたいと考えている。また、どのようにして園内の3タイプが同所的に共存しているのかについて、遺伝解析などを用いて明らかにしていこうと考えている。具体的には三型間の遺伝子流動や交雑の実態が分かるような解析を行いたい。また、相互受粉実験により、三型間の交配の可能性を試していきたい。すでにカキドオシはポットによる研究室内栽培は容易であることが分かっている。そのため、栽培環境で試みやすい、タイプ間の成長率比較や交配実験を行っていきたいと考えている。 カキドオシに先んじて、花形質の同所的な二型を発見している別の材料(オドリコソウ、ラショウモンカズラ)についても野外調査・遺伝解析が終わっているので成果をまとめて、出版できるように努めていきたい。
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