Project/Area Number |
23K14242
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45020:Evolutionary biology-related
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
猪飼 桂 東京工業大学, 生命理工学院, 研究員 (60806438)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
|
Keywords | シロアリ / 原生生物 / 共生 / 木質分解 / 進化 |
Outline of Research at the Start |
シロアリは腸内の木質分解性原生生物と絶対的相利共生関係を築くことで、枯死材のみを餌として繁栄してきた。しかしシロアリ腸内原生生物は1.4億年以上も前にシロアリ祖先により獲得されており、その起源や共生系樹立の初期段階については殆ど不明である。申請者らはあるシロアリ系統が全く新しく原生生物を腸内に獲得し、さらに絶対的相利共生関係を再構築していることを発見した。本課題はこの新規共生系を研究対象とし、絶対的相利共生関係樹立の鍵となった因子とその進化の系譜について解析する。シロアリ祖先における共生原生生物獲得の手がかりを得ることを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
シロアリは木質分解性腸内原生生物と絶対的相利共生の関係を築くことで今日まで繁栄してきた。分子系統学的にシロアリ腸内原生生物はパラバサリア門とプレアクソスティラ門のみに限られるが、申請者は予備調査によりあるシロアリ系統(系統X)腸内にこれらの門に属さない全く新規な原生生物が必ず多数生息し、新たな共生系を構築している可能性を見出した。2023年度はシロアリ系統Xを新たに採取し、新規原生生物の詳細な分子系統解析、そして転写産物およびゲノムの取得を計画した。同原生生物は形態学的にも分子系統学的にも独立した小型と大型が共存することをこれまで確認していたが、さらに大型には18S rRNA遺伝子がおよそ1.6K(1600)と2K(2000)塩基の2系統がコロニーまた個体レベルで共存することが明らかとなった。原生生物1細胞レベルの網羅的転写産物およびゲノム取得を試みた。転写産物については申請者が確立した方法で、小型と大型についてそれぞれ高品質なcDNAを取得した。ゲノム取得については新たな方法を立案した。同原生生物細胞内には採餌した木片や有機物が詰まっているため、原生生物の核を識別することができない。また原生生物細胞表面にも細菌が多数付着している。申請者は、マイクロマニピュレータに設置した医療用メスを用いて同原生生物を2つに切断した。同原生生物が単核性であるならば、原生生物ゲノムと細菌ゲノムを含む画分と細菌ゲノムのみを含む画分が取得できるはずである。複数の1細胞サンプルについて実験した結果、同原生生物は単核性であり、いずれのサンプルからも予想した2画分を取得することができた。今後ゲノム解析において、原生生物核と細菌の(メタ)ゲノム情報から細菌ゲノム情報を差し引くことにより、新規原生生物のゲノムの再構築を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
系統Xの採取また研究室内での飼育は容易くないが、今回カウンターパートの協力のもと入手し、数ヶ月以上の期間維持することができた。上述のように原生生物1細胞転写産物については実験・解析系を確立していたが、ゲノム解析ついては、実際どのように高品質な原生生物ゲノムを取得するか、長年懸案であった。今回申請者が想起した方法により、原生生物核ゲノムと混在しうる細菌ゲノム情報をそれぞれ取得できることが確認できた。今後すすめる情報解析においては、転写産物情報も利用できることから、高品質な原生生物核ゲノム情報が取得できることが期待できる。現在までに大型の1.6K系統と2K系統のゲノムサンプルをそれぞれ複数取得できている。小型についても同様の手法が適応可能か、もしくは大型由来の細菌ゲノム情報を利用可能かについては、今後検討する余地がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
原生生物の転写産物解析については、ひきつづきMiSeqによるシークエンスと情報解析をすすめる。ゲノム解析については、原生生物ゲノムが数十Gb以上あることが予想されるため、MiSeqを用いた初期解析を進めた後にNovaSeq6000による大規模シークエンスおよびNanoporeを用いたロングリードシークエンスをそれぞれ実施する。
|