Project/Area Number |
23K14244
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45020:Evolutionary biology-related
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
中村 亮太郎 沖縄科学技術大学院大学, 進化神経生物学ユニット, 技術員 (90974783)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 進化発生 / 神経ペプチド / ペプチドホルモン / 内分泌系 / 刺胞動物 |
Outline of Research at the Start |
内分泌系は神経系と協調しながら環境に応じてホルモンを産生し、種々の生理応答を起こす事で内部環境の維持を図る。こうしたホルモンを介した生体恒常性を維持する機構は、左右相称動物で広く存在している。一方で、原始後生動物における内分泌現象についての知見は少なく、進化の初期段階における内分泌系の様態は未知であった。 本研究では、様々な動物門で保存されている PRXamide 神経ペプチド群 (PRXa) に着目し、左右相称動物に最も近い姉妹群である刺胞動物ネマトステラを用いた機能解析を通じて PRXa の祖先的な機能を明らかにする。これにより、ペプチドホルモンと内分泌系の発生学的起源解明が期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
ペプチドホルモンは進化的に保存されている生理活性物質であるが、神経内分泌細胞が動物進化の初期にどのような役割を担っていたのかはほとんど理解されていない。申請者らは原始後生動物における新規神経ペプチドを多数同定し、これらの神経ペプチドを発現している細胞のいくつかは神経内分泌型である事を報告してきた。本計画では、C 末端に “Proline + Arginine + amino acid X” というモチーフを含む PRXamide アミド化ペプチド群 (PRXa) に着目し、左右相称動物に最も近い姉妹群である刺胞動物を用いた機能解析を通じてペプチドホルモンによる生体恒常性維持に関わる普遍的な原則を知ることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は単一細胞トランスクリプトーム(SCT)のデータを用いて、PRXa が発現する細胞群の特徴を明らかにすることを目的とした解析を行った。PRXa が幼生期に顕著に発現している神経細胞クラスターに共発現する遺伝子を対象に、幼生の反口側で高く発現する転写因子を探索した結果、41 の転写因子を特定し、この中で PRXa と同様の細胞クラスターで特異的に発現する転写因子が 4 遺伝子含まれることを明らかにした。これらの転写因子は PRXa の上流因子である可能性が考えられる。 さらには、PRXa の機能解析を行いネマトステラの行動および発生に関する表現型を複数見つけるに至った。この中で少なくとも一つの表現型に関しては、アミド化ペプチドをリガンドとする受容体を明らかにした。興味深いことに、同一の前駆体由来のアミド化ペプチドの間でも表現型の有無に差があり、さらには発生段階によって量比が変化するという知見が得られた。 以上のように、PRXa の発現を調節する候補遺伝子を見出したことと、今後の研究の方向性に関わる重要な表現型を特定するに至ったことから、本研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は生体における機能がまだ明らかになっていない PRXa に関して解析を続けると共に、PRXa の個体における局在を細胞レベルで明らかにする。加えて SCT で見出した転写因子の PRXa 発現量への影響を調べ、PRXa の発現を規定する遺伝子の同定を行う。さらには PRXa 分泌がどういった短期的要因によって調節されるのかを明らかにする為に、飼育培地の組成を含む環境の変化による影響を調べることを予定している。
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