ホスト特異的菌類を対象とした植物ー菌類の地理的変異のパターン解明
Project/Area Number |
23K14258
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45030:Biodiversity and systematics-related
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
栃原 行人 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 協力研究員 (50965407)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | ビョウタケ目菌類 / 宿主植物 / 系統地理 / 遺伝構造 / 種分化 / 菌類 / 分布 |
Outline of Research at the Start |
菌類は15万種もの既知種が知られる、きわめて高度に多様化を遂げた生物群である。菌類は胞子による広域分散をするため、同種内で地域に固有の遺伝的多様性をもつことはないとの先入観ゆえ、種内の遺伝構造の実態を解明した研究は極めて少ない。本研究では、菌類の遺伝構造を解明する端緒として、植物遺体上から発生し、宿主植物に強い特異性をもつ「ビョウタケ目菌類」という微小菌類に着目した。対象となるビョウタケ目菌を国内から網羅的に収集し、SNPデータに基づいて種内の遺伝構造を解明するとともに、地史・気候変動・ニッチ・宿主植物の分布変遷等の要因と照合して、遺伝構造がどのような要因に規定されているかを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、国内において特徴ある分布域をもつ植物と、その植物に特異的に生じる微小なビョウタケ目菌類について、宿主植物および微小菌類の系統地理パターンをそれぞれ解明して比較することを目指す。研究の性質上、分布域からの網羅的なサンプリングが必要となるため、初年度である2023年は主に野外での材料収集に努めた。特に、南西諸島にかけて広く分布するヤシ科の樹木ビロウと、その落葉に特異的に生じるビョウタケ目菌であるLachnum palmae(シロヒナノチャワンタケ科)という菌について、同菌が主に子実体形成を行う7月~11月、および2~3月に鹿児島県トカラ列島と南西諸島(八重山諸島、慶良間列島、大東諸島)を訪れて調査を行った。調査では、各島内に複数の調査地点を設定し、各調査地点内から目的菌の子嚢盤を10点以上、あわせてビロウの生葉片も採取した。このうち、与那国島は航空便の欠航のため訪れることができず、また多良間島では極度の乾燥のため菌のサンプルが得られなかったが計9島で両者のサンプルを採取することができた。調査で得られた菌の子嚢盤は、研究室に持ち帰って顕微鏡で正確に種同定を行った後、スカーマン式ミクロマニピュレーターを用いて単胞子分離を行い、単胞子菌株とした。得られた単胞子菌株およびビロウの生葉からは、DNA抽出を進めており、年度内に3割程度が完了した。さらに、一部の抽出済みDNAを用いて、予備的な知見を得るため菌類のDNAバーコード領域(ITS領域)の取得作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
採取許可申請の遅れや飛行機の急な欠航等が重なり、年度内にサンプリング予定だった複数の地点を訪れることができなかった。しかし、これらの箇所を含めて次年度にサンプリングに訪れることができる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
国内において特徴ある分布域をもつ植物と、その植物に特異的に生じる微小なビョウタケ目菌類のペアである、1)ビロウとLachnum palmae、2)寒冷地の湿原に隔離分布するヤチヤナギと、ヤチヤナギに特異的なビョウタケ目菌であるIncrucipulum属、の2つのペアについて、2024年度までに材料の野外採取と、DNA抽出作業の大半を完了させる見込みである。1)のペアについては、2023年度からサンプリングを開始しており、2024年度中には完了できる見込みである。2)のペアについては、本研究課題の開始以前から予備的にサンプリングおよびDNA抽出を進めており、すでに大半のDNA抽出まで終えている。1)、2)ともに2024年度の終盤から2025年度にかけて、MIG-seq法に基づく遺伝解析と、両者の分布形成プロセスを解明するための解析を行っていく。 なお、申請者は2024年度から所属機関が変更となっており、新規所属先において基礎的な研究設備を充足させる必要が生じている。そのため、当初の想定よりも多くの備品・消耗品等の購入が必要となる見込みであり、本研究で扱う植物-菌類のペア数、およびサンプリング地点数は研究の遂行に問題ない範囲で縮小させる予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)