Project/Area Number |
23K14261
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
平野 尚浩 琉球大学, 理学部, 助教 (20808654)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 軟体動物 / 進化 / 形態的多様性 / 種分化 / 琉球列島 / 生殖的隔離 / 化石 / 分子系統 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、環境と相関する形質である体サイズの違いが、産卵数の違いという繁殖能力の差となり、それにより生じる配偶者選択による体サイズの同類交配が生殖的隔離を生じさせることを示す。体サイズに関連する繁殖行動という小進化的パターンが反復することで生じる異なる体サイズ・生態の平行進化による種多様化プロセスを解明する。そのモデルとして、体サイズの同類交配や系統樹上で体サイズの平行進化、化石記録から体サイズの不連続性が見られる南西諸島の陸産貝類を用い、体サイズの同類交配が反復平行種分化を生じさせるという仮説を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
多種多様な生物が存在する中で、何故類似した表現型を持つ種が進化するのか。生物進化の反復的な現象を調べることは、進化の再現性や一般性を理解する上で重要なテーマである。本研究では、環境と相関する形質である体サイズの違いが、産卵数の違いという繁殖能力の差となり、それにより生じる配偶者選択による体サイズの同類交配が生殖的隔離を生じさせることを示す。体サイズに関連する繁殖行動という小進化的パターンが反復することで生じる、異なる体サイズ・生態の平行進化による種多様化プロセスを解明する。そのモデルとして、体(殻)サイズの同類交配や、系統樹上で体サイズの平行進化、化石記録から体サイズの不連続性が見られる南西諸島の陸産貝類を用い、「体サイズの同類交配が、反復平行種分化を生じさせる」という仮説を検証する。これまでのところ、オナジマイマイ属では一部分類群で起源の解明が進み、査読付き国際誌に成果が公表された。さらに、体サイズの進化を推定するための系統関係の把握や、体サイズがどのような要因で多様化するかについて解明が進んでいる。これらの成果は今後、査読付き国際誌に投稿予定である。複数分類群において詳細な系統関係の推定を進めており、ゲノムデータをもとに種内、科内レベルで系統関係が明らかになりつつある。また、化石サンプルについても各地から順調に得られている。今後は、ゲノムデータ、化石データ、生態データを用いて陸産貝類の多様化過程を包括的に推定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、対象とする陸産貝類のサンプルを網羅的に琉球列島から得ることができた。得られたサンプルをもとに、MIG-seq法やddRAD-seq法を用いて、集団遺伝解析・分子系統解析を進めた。オナジマイマイ属では、一部分類群で起源の解明が進み、査読付き国際誌に成果が公表された。ヤマタニシ属では体サイズの反復的な進化(巨大化)が確認され、それが島嶼成立以降の比較的最近に生じた可能性が示された。また、体サイズは生息環境との相関があることが示された。これは、島嶼における生物進化の法則(島嶼化)の一例として知られる体サイズの巨大化に関して、そのプロセスの解明に繋がる成果である。得られた成果は、論文としてまとめ査読付き国際誌に投稿予定である。また、化石サンプルについても、各地から順調に得られており、ここまで得られたサンプルを用いてAMS法による年代推定を行う予定であり、過去にどのような集団が生息していたのかの解明が期待される。一部のサンプルではゲノム情報を調べており、複数種でゲノムサイズの推定に成功している。以上の成果より、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、これまでの成果の一部を査読付き国際誌に投稿し、公表を目指す。さらに化石サンプルについての網羅的な年代推定を行う。これまで未調査の地点ではサンプリングと陸産貝類相調査を行い、列島全体における陸産貝類相の把握と多様性・起源の解明を目指す。野外で得られたサンプルの生態観察から、生殖的隔離機構のメカニズム解明を進める。さらに、ddRAD-seq法や全ゲノム情報をもとにしたリシークエンス等を用いて、これまで得られたサンプルを用いた複数分類群の高次レベル・低次レベルでの系統関係の推定を行う。予察的にはすでにいくつかの分類群で系統解析を進めており、引き続き頑健な系統関係の推定を行う。
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