Project/Area Number |
23K14266
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山手 佑太 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 助教 (50964417)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2027: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 繁殖への毒利用 / ヒョウモンダコ / 毒保有生態 |
Outline of Research at the Start |
生物が保有する毒液の主な生態学的機能として、採餌と捕食者防衛が挙げられる。しかし、一部の分類群では、自身の繁殖成功を高めるために、配偶相手や繁殖ライバルに対して毒液を利用する可能性が指摘されている。毒液が自然淘汰(生存)だけでなく性淘汰(繁殖)によって進化するかを明らかにすることは、毒保有生物の進化的背景を理解するうえで重要である。本研究では、配偶相手や繁殖ライバルに対して毒液の利用が推測されるヒョウモンダコが、同種他個体に対して実際に毒液を注入しているか、毒液の注入によってどのような利益が存在するかを水槽実験によって検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究対象種のヒョウモンダコの後部唾液腺に含まれる毒液は、餌から獲得する必要のあるテトロドトキシン(TTX)と体内で生産可能な内因性毒素から構成される。雄は雌よりも後部唾液腺サイズが大きいが、TTX保有量には雌雄差はみられない。しかしながら、後部唾液腺に含まれるヒスチジン・ヒスタミンには雌雄差があり、雄のほうが保有量が多い。加えて、ヒョウモンダコ属では繁殖に関連した雄同士の闘争や雌による性的共食いが観察されている。このような同種他個体との闘争に毒素を使用する場合、TTXは同種他個体には効果がない一方で、ヒスチジン・ヒスタミンは同種にも効果的と考えられることから、同種内での闘争による負傷リスクを軽減するためにヒスチジン・ヒスタミンが使用される可能性がある。 令和5年度では、雄が交接マウント時に、雌に対してどの程度の毒液を注入するかについて検証する予定であったが、ヒョウモンダコの交接行動に関する知見が乏しく、そもそも雄が雌に咬みついて毒液を注入する行動をとるのかは明らかではなかった。そのため、雄が雌にマウントする際の行動を観察し、雌の外套膜に咬みつく行動がみられるかを確認した。その結果、雄がマウント交接した後の雌の外套膜に、腫れのような炎症が確認された。本種が保有するヒスタミンはハチや毛虫などが保有する毒素としても知られ、炎症の原因となる毒素としても知られているため、ヒョウモンダコの雄がマウント時に雌の外套膜に咬みつくことが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は、雄はマウント時に、雌に対してどの程度の毒液を注入するかについて検証する予定だったが、この検証には手術による後部唾液腺の一部を採取する必要がある。また、ヒョウモンダコの交接行動は不明な点が多く、雄が交接マウント時に毒液注入のために咬みつく行動をとるかは未確認であった。令和5年度はヒョウモンダコの採集個体数が少なく、手術による後部唾液腺の採取によって生きたサンプルが減る可能性があるため、今年度はヒョウモンダコの交接行動を観察し、雄が雌に咬みつくかを確認することを優先した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度では、令和5年度に実施する予定であった交接時の毒液使用量を明らかにするとともに、当初の計画通り、雄同士の闘争で毒液をどの程度使用するかを検証する予定である。ヒョウモンダコのサンプル数が十分ではない場合は、採集の回数と場所を増やして対応する予定である。
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