Project/Area Number |
23K14273
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
日下石 碧 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 研究員 (60796150)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | AI / 花粉分類 / 花粉輸送ネットワーク / 送粉ネットワーク / 機械学習 |
Outline of Research at the Start |
訪花昆虫に付着している花粉を判別することで、訪花昆虫の訪花の履歴や植物種の依存割合を知ることがでる。しかしながら、花粉形態からの植物種の同定は専門的な知識が必要で困難である。そこで、花粉判別AIを構築することで、誰でも容易に花粉の判別を行うことができようになる。この構築したAIを用いて、体表に付着した花粉量も考慮した複合的送粉ネットワークを解明する。このネットワークから農作物と周辺環境の往来や訪花昆虫の行動圏が明らかになり、訪花昆虫を維持する下草管理や周辺環境保全についての一助になる。
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Outline of Annual Research Achievements |
顕花植物の多くの種は昆虫や動物に依存して送粉を行います。しかし、近年、生息地の減少や農薬の影響、土地利用の変化により、訪花昆虫の種多様性や個体数が減少し、それに伴う送粉サービスの劣化が懸念されています。この劣化は野生植物の存続や農作物の生産に悪影響を及ぼす可能性があります。したがって、訪花昆虫の生息地を保全し、送粉サービスを維持・強化することが重要です。送粉サービスの評価には、どの昆虫がどの植物を訪れ、どの程度花粉を移動させているか(送粉輸送ネットワーク)を明らかにする必要があります。しかし、これを行うためには、訪花昆虫の体表に付着した花粉の同定が不可欠です。一般的に、花粉の同定には顕微鏡を用いた形態分類が用いられますが、専門的な知識や経験が必要です。そこで、本研究では、AIを用いた画像解析により花粉の同定と計数を同時に行うシステムを構築し、専門知識がなくても花粉輸送ネットワークの評価が可能となることを目指しました。
今年度は5月のカキ(柿)の開花期に、福岡県筑紫野市(カキ園)、広島県東広島市(カキ園とその周辺の棚田)の3か所で、開花植物種の調査と花粉サンプルの採取を行いました。調査はカキの開花状況に応じて移動する必要があり、訪花昆虫の捕獲は予定通りに進まない部分もありましたが、少数の訪花昆虫個体を採取しました。調査の結果、福岡県では42種の開花植物と42個の花粉サンプル、広島県のカキ園では91種の開花植物と31個の花粉サンプル、広島県周辺の棚田では98種の開花植物と85個の花粉サンプルを採取しました。これらのサンプルから花粉標本を作製し、花粉写真を撮影する準備を進めています。調査した3地点での花粉サンプルは重複する植物種もありますが、合計158種の主要な開花植物を網羅することができました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
申請者は2023年9月から2024年6月末(予定)まで体調不良により休職しており、そのため5月の野外調査以降、他の地域で予定していた調査(鹿児島県のカボチャ畑周辺、和歌山県ウメ研究所内)を実施できていません。また、AI学習用の花粉写真の撮影を依頼するパート雇用も行えていない状況です。これらの調査および花粉の写真撮影については、次年度に持ち越す予定です。
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Strategy for Future Research Activity |
復職後速やかに、花粉写真を撮影するパート雇用を行います。主要な植物種の花粉は既に採取済みであるため、これらの花粉写真を撮影し、AIを用いて学習させることで、画像判別AIを構築します。また、10月ごろに鹿児島県のカボチャ畑周辺、2月ごろに和歌山県のウメで同様の調査を行い、作物と周辺開花植物、昆虫との関係を明らかにしていきます。今年度は開花植物調査および花粉サンプルの採取に注力し、学習させる花粉の種類を100種類以上とすることを目標とします。来年度は、1年目、2年目に調査した5地点で訪花昆虫の採取を行い、花粉輸送ネットワークを記述し、どの昆虫が作物と関係し送粉に寄与しているかを質的、量的に議論していきます。
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