Project/Area Number |
23K14308
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 46030:Function of nervous system-related
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
佐久間 理香 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90780180)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | ペリサイト / pNrf2 / Protein Kinase C / 幹細胞化 / 脳梗塞 / Nrf2 / リン酸化 / カルシウムイオン |
Outline of Research at the Start |
脳梗塞巣に内在的に見いだされる幹細胞(iSC)は、脳ペリサイトが起源であるとされており、そのリプログラミング現象の引き金となる「虚血」には酸化ストレス及び抗酸化応答系が関与していることが示唆されている。しかしながら、リプログラミングの分子メカニズムについては不明である。本研究では、虚血を契機に引き起こされるiSCのリプログラミングの分子機構を解明し、新規治療法に応用することを目的とする。そして、解明した分子機構に基づき、ペリサイトの幹細胞化を促進する薬剤や物質を投与することで、脳梗塞後の症状を改善させることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
iPCsに発現しているNrf2がリン酸化されているものであるかどうかを、抗pNrf2抗体及びpNrf2と交差しない抗Nrf2抗体を用いて検討した。正常脳ペリサイトよりもiPCsにおいて、pNrf2が核内に高発現している様子が見られた。また、Nrf2はiPCsにおいて、小胞体と思しき領域に強く発現していることが分かった。Western blottingの検討においても、pNrf2がiPCsにのみ発現していることが判明した。このpNrf2がProten Kinase Cによってリン酸化修飾を受けたものであるかどうかを、広域のPKC阻害剤(Gouml 6983)を1-50マイクロMの濃度を振って添加し、幹細胞マーカーの発現について検討したところ、50マイクロMの濃度においてiPCsのpNrf2のバンドが減少することが分かった。 そこで、iPCsに発現しているPKC isoformについてRT-PCRにて解析したところ、先にマイクロアレイ解析で判明していたPKCβだけでなくPKCδについても発現していることが判明した。そこで、PKCβ阻害剤(LY-333531)及びPKCδ阻害剤(Rottlerin)をiPCsに濃度を振って添加したところ、PKCδ阻害剤を5マイクロM添加した条件においてのみpNrf2のバンドが減少した。免疫染色においても、PKCδ阻害剤添加によりpNrf2の核内の発現が減少しており、Nrf2の発現が強くなっていることが判明した。また、nestin、Sox2といったiPCsに発現している幹細胞マーカーが減少していた。このことから、iPCsに発現しているNrf2はPKCδによるリン酸化修飾を受けており、幹細胞マーカーを調節していることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
iPCsで発現しているNrf2はPKCによってリン酸化されていることが判明し、仮説通りの結果を得られたが、iPCsにおいてPKCβだけではなくPKCδについても発現していたことが判明した。PKCβにはカルシウムイオン結合領域があるが、PKCδには存在していない。正常脳ペリサイトにカルシウムイオンイオノフォア、iPCsにカルシウムイオン阻害剤を添加してもnestinなどの幹細胞マーカーに変化がみられなかった。このことからもPKCβによる調節を受けていないことを裏付けていた。いずれにしても、iPCsに発現しているリン酸化Nrf2はPKCによる修飾であったという仮説は正しく、PKCδ阻害剤によってiPCsの幹細胞マーカーが減少している結果を得たことから、計画は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
脳梗塞モデルマウスにDMSO、PKCβ及びPKCδ阻害剤を腹腔内注射して梗塞巣内に現れるiPCsに変化がみられるかどうかを検討する。この動物実験計画書は既に「兵庫医科大学動物実験規程」に基づき動物実験委員会の承認を得ており(#23-100A)、現在研究を遂行している。PKCδ活性化剤については情報が乏しいが、PMA(12-O-Tetradecanoylphorbol 13-acetate)というPKC活性化剤が活性酸素に応答してPKCδを活性化させる報告がある。そこで、PMAを正常脳ペリサイトに添加し、幹細胞マーカーに変化がみられるのかどうかを検討する。 もし、PMAの投与で梗塞領域の変化がみられないようであれば、薬剤スクリーニングによるPKCδ活性化剤の選定を行い、正常脳ペリサイトに添加し幹細胞マーカーに変化が現れるのかどうかを検討する。そして、治療薬候補を脳梗塞モデルマウスに投与することで、脳梗塞後の症状が改善されるかどうかを各種行動試験(Open field test、ロータロッド試験など)により総合的に評価し、ペリサイト幹細胞化を利用した新規治療法の臨床応用を目指す。
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