Project/Area Number |
23K14327
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 47010:Pharmaceutical chemistry and drug development sciences-related
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
木村 真也 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (10632739)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 超分子ゲル / 光学分割 / 自己集合 / 両親媒性分子 / C2対称 |
Outline of Research at the Start |
医薬品、農薬、香料などの開発において、キラル化合物を効率的に供給する方法が必要不可欠である。本研究では、超分子ゲルが構築する不斉空間を利用した新規光学分割法を開発する。まず、低分子ゲル化剤として分子設計したC2対称キラル両親媒性分子の各種誘導体を系統的に合成する。続いて、各種誘導体のキラル溶媒に対するゲル化能を評価する。最終的に、C2対称キラル両親媒性分子から調製した超分子ゲルの光学分割への応用について検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
医薬品、農薬、香料などの開発において、キラル化合物を効率的に供給する方法が必要不可欠である。キラル化合物を供給する方法として、不斉合成、光学分割などが利用される。中でも、光学分割は操作性の簡便さ、工業規模への展開の容易さなどから、特にキラル原料の供給などにおいて重要な地位を占めている。本研究では、従来法と異なる新たな分離原理に基づく新規光学分割法を開発すべく、超分子ゲルに着目した。 超分子ゲルは、低分子ゲル化剤と呼ばれる低分子化合物が非共有結合を駆動力に自己集合することでナノファイバーを形成し、その内部に溶媒分子を取り込むことで形成する。超分子ゲルは低分子化合物から形成するため、合成や取り扱いが容易であり、調製法も晶析と類似して非常に簡便であり、適切な分子設計により、溶媒に対して必要な低分子ゲル化剤の濃度を極少量に抑えることが可能である。我々は本研究の端緒として、C2対称構造をもつキラルな両親媒性分子が低分子ゲル化剤として機能し、さらには溶媒のキラリティーを識別することを見出した。この知見に基づき、本研究では、C2対称キラル両親媒性分子から形成される超分子ゲルが構築する不斉空間を利用した新規光学分割法を開発することとした。 初年度は、まずC2対称キラル両親媒性分子のアルキル基の長さを変更した各種誘導体を系統的に合成した。また、各種誘導体のゲル化能を評価した結果、アルコール溶媒に対する選択性があり、溶媒のキラリティーが認識されることを明らかにした。さらに、C2対称キラル両親媒性分子から調製した超分子ゲルを用いた光学分割について、予備的な検討を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した計画に沿って研究を遂行し、以下のような研究成果を得ることができており、本研究はおおむね順調に進展している。 まず、C2対称キラル両親媒性分子のアルキル基の長さを変更した誘導体の系統的な合成について検討した。市販のトレハロースから4工程で既知の鍵中間体を大量合成した。ここでは後処理、精製の方法を工夫することで、高収率で鍵中間体を合成する方法を確立した。この合成中間体から、各鎖長のアルキル基をもつウレイド基の形成を鍵工程とする計4段階の変換を行い、各種誘導体へ導いた。本合成経路に基づき、計5種類の誘導体を合成することに成功した。 続いて、合成した各種C2対称キラル両親媒性分子のゲル化能を調査した。まず一般的にゲル化で使用される有機溶媒について検討したところ、アルコール溶媒に対する選択性があることが明らかになった。また、キラルなアルコールに対するゲル化能を評価したところ、R体に対するゲル化能がS体よりも高いことが明らかになり、溶媒のキラリティーが認識されることを見出した。さらに、C2対称キラル両親媒性分子に導入したアルキル鎖が偶数であればキラル認識が起こるのに対し、奇数であればキラル認識が起こらないという、偶奇効果が発現することも見出した。なお、ゲル化に要する時間、形成したゲルの熱的な安定性などを評価し、各エナンチオマーから形成した超分子ゲルの性質の相違についても調査した。 さらに、C2対称キラル両親媒性分子から調製した超分子ゲルを用いた光学分割について、予備的な検討を実施した。キラルアルコールの各エナンチオマーの混合物に、C2対称キラル両親媒性分子から調製した超分子ゲルを作用させたところ、キラルアルコールの光学純度が向上することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、1) 初年度に合成したC2対称キラル両親媒性分子から調製した超分子ゲルを利用した光学分割に関する詳細な検討、2) 置換様式を変更したC2対称キラル両親媒性分子の系統的な誘導体合成とゲル化能・機能評価の2点について重点的に検討する。 1) については、まずC2対称キラル両親媒性分子とゲル化に使用する溶媒の相互作用について考察を深める。初年度はゲルを形成する溶媒を種々検討したので、次年度は形成した超分子ゲル中に取り込まれている溶媒がどのような性質を示すのか調査する。また、超分子ゲル中に溶解している分子の挙動についても追求する。これらの実験で得られた知見に基づき、超分子ゲルを用いた光学分割を実現する上での最適条件を検討する。本項目は超分子ゲルを利用した光学分割法の確立に向けた知見の収集と初年度に開発したC2対称キラル両親媒性分子による光学分割条件の最適化を目的とする。 2) について、次年度はC2対称キラル両親媒性分子のベンゼン環上の置換基の位置の変更について検討する。ベンゼン環上の置換基の位置を変更することにより、自己集合におけるパッキング様式が変化し、ゲル化能や機能が向上することが期待できる。次年度は置換基の位置を変更した各種誘導体を系統的に合成し、そのゲル化能や機能を評価する。本項目はより効率的に光学分割を行うことができる誘導体の探索を目的とする。 次年度から最終年度にかけて、構造を最適化したC2対称キラル両親媒性分子を用いて、各エナンチオマーを任意の割合で混ぜた混合物の光学分割について検討し、超分子ゲルを利用した新規光学分割法の確立を目指す。
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