Project/Area Number |
23K14333
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 47020:Pharmaceutical analytical chemistry and physicochemistry-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
緒方 星陵 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10964679)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 新型コロナウイルス / 呼気オミックス / 硫黄代謝物 / ウイルスプロテオーム |
Outline of Research at the Start |
申請者の所属する研究グループでは、これまで「呼気オミックス」とよばれる、無接触・無侵襲に採取が可能な呼気を分析対象とした解析法を開発してきた。そして、開発した本法を用いることで、新型コロナウイルス感染患者の呼気凝縮液からウイルスの検出が可能であることや、呼気凝縮液において、複数の生体代謝物の量が変動していることを明らかにした。そこで本研究では、呼気オミックス法の感染症診断・予防への応用に向けた基礎的検討として、動物モデルを用いた呼気凝縮液回収法の開発を行う。さらに、開発した方法を用いて、新型コロナウイルス感染動物モデルの呼気凝縮液におけるバイオマーカー探索と治療効果判定を実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
呼気エアロゾルによる空気感染により強力な感染力を有するCOVID-19の迅速かつ高感度・高精度な検査法の確立は、極めて重要な課題である。研究代表者の所属する研究グループでは、これまで「呼気オミックス」とよばれる、無接触・無侵襲に採取が可能な呼気を分析対象とした解析法を開発してきた。そして、開発した本法を用いることで、新型コロナウイルス感染患者の呼気凝縮液からウイルスの検出が可能であることや、呼気凝縮液において、複数の硫黄代謝物の量が変動していることを明らかにした。呼気凝縮液は無侵襲に採取が可能であるため、血液等の他の生体サンプルと比較して採取時の患者の負担は小さいものの、ヒトにおいて、種々の基礎的検討を行うには制限がある。したがって、呼気オミックスによる感染症診断を実用化していくためには、動物モデルを用いた呼気オミックス法の開発が必須である。そこで本研究では、呼気オミックス法の感染症診断・予防への応用に向けた基礎的検討として、動物モデルを用いた呼気凝縮液回収法の開発を行った。ハムスターをボックスに入れ、ボックス内の空気を一定時間ポンプにより吸引し、回収した空気を呼気凝縮装置で急速冷却することにより、無接触・無侵襲にハムスターの呼気凝縮液を回収することに成功した。そこで、新型コロナウイルス感染ハムスターモデルを作成し、本モデルから呼気凝縮液を回収し解析を行った結果、qPCRおよびプロテオーム解析において、ウイルスが検出された。さらに、呼気凝縮液の硫黄代謝物解析を行った結果、複数の硫黄代謝物の濃度が感染後の時間依存的に変動することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、ハムスターにおける呼気凝縮液の回収法を確立することができ、本手法を用いて新型コロナウイルス感染ハムスターから呼気凝縮液を回収することに成功した。さらに、回収した呼気凝縮液を用いて、qPCRおよびプロテオーム解析によるウイルス検出と、感染後の時間依存的な硫黄代謝物の濃度変化を明らかにすることができたため、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、呼気オミックスによる新型コロナウイルス治療効果の判定を実施する。研究代表者らは、これまでの研究から、新型コロナウイルス感染細胞において、グルタチオントリスルフィド(GSSSG)が抗ウイルス効果を発揮することを見出している。そこで本研究では、新型コロナウイルス感染ハムスターに対して、GSSSGの投与を行い、本モデルの呼気オミックスを実施する。呼気凝縮液のqPCRおよびウイルスプロテオーム解析を行い、GSSSG投与によりウイルス量の減少がみられるか検証する。また、硫黄代謝物の測定を行うことにより、新型コロナウイルス感染に伴うマーカー分子の変動が、GSSSG投与により抑制されるか検証する。また、開発した動物モデルにおける呼気オミックス法が他の感染症診断にも応用できるかを検証するために、インフルエンザ感染マウスモデルを作成し、呼気凝縮液の回収を行う。本マウスモデルから回収した呼気凝縮液を用いて、qPCRおよびプロテオーム解析によりウイルス検出を行うとともに、硫黄代謝物解析を行い、インフルエンザ感染時の硫黄代謝物変動を明らかにする。
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