Project/Area Number |
23K14376
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 47050:Environmental and natural pharmaceutical resources-related
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
中村 知世 東京工科大学, 応用生物学部, 助教 (70908714)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
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Keywords | 乳酸菌 / 膜小胞 / ワクチン |
Outline of Research at the Start |
膜小胞(Membrane vesicles)はワクチンとしての有効利用が期待されている。しかし現在検討されている膜小胞は病原微生物由来であり、毒性を有することが実用化に向けた大きな障害となっている。一方で乳酸菌の膜小胞は食品中にも含まれることから安全性が高く、ワクチン抗原に適しているが、少量しか取れないという問題点を有している。そこで本研究では乳酸菌の膜小胞の大量生産系を確立、その膜小胞を使用したワクチン開発へつなげる。乳酸菌の膜小胞大量生産系が確立できれば、乳酸菌の膜小胞の利活用が促進され、さらに乳酸菌膜小胞に導入した病原因子の抗体誘導が確認できれば、安全性の高いワクチンの開発が可能となる。
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Outline of Annual Research Achievements |
膜小胞(Membrane vesicles)はワクチンとしての有効利用が期待されている。しかし現在検討されている膜小胞は病原微生物由来であり、毒性を有することが実用化に向けた大きな障害となっている。一方で乳酸菌の膜小胞は食品中にも含まれることから安全性が高く、ワクチン抗原に適しているが、少量しか取れないという問題点を有している。そこで、安全性の高い乳酸菌を使用した膜小胞ワクチンの開発に向け、膜小胞の大量生産法の確立と、乳酸菌の膜小胞へ病原因子を導入し、その膜小胞が病原因子に関する抗体を生産するかについて確認を行う。 2023年度はまず漬物などから分離されるLactiplantibacillus plantarum を用いて膜小胞の大量調整法を探索した。具体的にはグリシンを添加する方法と、培養時間を延長する方法の2種類を検討した。24時間培養時は、培地にグリシンを添加すると、無添加時と比較して約1.5倍の膜小胞を取得することができた。48時間培養時は、24時間培養、グリシン無添加時の約3倍の膜小胞を取得することができた。そこでグリシンの添加と培養時間の延長を同時に行うことで、膜小胞回収量が増加すると考えたが、48時間培養時のグリシン無添加と同様の膜小胞量であったため、培養時間の延長とグリシンの添加による相乗効果はみられなかった。これらの膜小胞はSDS-PAGEと粒子径測定、FE-SEMでの観察により、タンパク質の構成や、粒子径に大きな変化が見られないことも明らかとなった。 上記の結果より、乳酸菌の膜小胞は、培養時間の延長もしくはグリシンの添加により、従来よりも多く取得できることが明らかとなった。本結果は膜小胞をこれまでよりも多く、簡便に取得できる方法が分かった点で重要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は膜小胞の大量調整法の探索と、膜小胞内の主要なタンパク質の解析及びその主要タンパク質を病原因子に置換し、膜小胞に病原因子を発現させるところまで実施する予定であった。大量調整法についての検討は行ったが、それ以外の部分については遅れが生じている。遅れが生じた理由は以下の2点である。膜小胞の取得には超遠心機を使用する必要があるが、本学の超遠心機の調子が悪く、思うように取得ができなかった。さらに、顕微鏡での観察は外部で行ったため、その調整に時間を要してしまったためである。しかし、主要なタンパク質についてはSDS-PAGEによる確認はできているため、すぐに解析を行うことは可能である。また、今回使用しているLb. plantarum は遺伝子組換えに関する報告が存在する菌であることから、病原因子の発現も実施可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、Lb. plantarum の膜小胞内の主要なタンパク質を解析、同定し、その主要タンパク質を病原因子に置換することで、膜小胞に病原因子を発現させる。その後、マウスを使用した免疫実験を行い、ワクチンとして利用可能かについて判断を行う予定である。 また、上記実験と並行して、2023年度に他の乳酸菌でも膜小胞の取得を行い、Pediococcus pentosaceus とLeuconostoc mesenteroides で多くの膜小胞を取得できることを確認した。これら2菌株は漬物などに存在する乳酸菌であることから、これらの膜小胞も有効利用できる可能性が示唆された。そのため、現在検討している菌株で不測の事態があった場合には、これらの菌株の利用も検討する。
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