Project/Area Number |
23K14401
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 47060:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
岩尾 卓朗 福岡大学, 薬学部, 助教 (30846374)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 血液脳関門 / 老化 / 脱髄 / 再ミエリン化 / 大脳白質病変 / ペリサイト / 加齢 / DHA |
Outline of Research at the Start |
大脳白質病変は脳小血管病の一つであり、ほとんどの高齢者に見られる加齢現象で あるが、進行例では認知障害、歩行障害を呈し、現状改善法はなく病態形成機構も未だ不明である。大脳白質病変は脳神経線維の束である白質が障害される疾患であるが、白質障害と連関して脳血管の障害を呈する疾患である。本研究では、加齢に伴い脆弱化する脳血管に着目し、DHAによる脳血管の保護が大脳白質病変の病態進展抑制及び治療に寄与しうるか検証する。本研究は「血管を治療し神経を護る」という独自の防御法開発・創薬へと繋がる研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、加齢に伴い脆弱化する脳血管に着目し、脳血管構成細胞である脳ペリサイトの加齢による加齢性病変化が大脳白質病変の起因になると仮設した。本年度は、若年マウス(8~9週齢)を使用したCuprizone (CPZ) 誘発性脱髄疾患モデルマウスを作製し、本モデルマウスにおける髄鞘破壊・再生とBBBバリア機能障害との関連を評価した。そして、老齢マウス(18カ月齢)を使用したCuprizone誘発性脱髄疾患モデルマウスを用いて、加齢によるBBBバリア機能の脆弱化が髄鞘破壊・再生に与える影響について検討し、以下の研究成果を得た。
1)0.2%CPZを5週間給餌することでCPZ誘発性脱髄疾患モデルマウスを作製し、その後3週間は通常飼料を給餌することで、脱髄・髄鞘再生過程を評価した。本モデルマウスは脱髄に伴い白質障害に依存した重度の協調運動機能障害、灰白質障害に依存した軽度の認知機能障害を呈し、これらの障害は髄鞘再生に伴い完全に回復した。BBBバリア機能障害は脱髄過程よりも髄鞘再生過程において強く現れ、協調運動機能及び認知機能障害の回復に比し、その回復は遅延した。これらの結果は、本モデルマウスにおけるBBB機能障害は白質障害との関連が強く、BBBバリア機能の回復には髄鞘再生の完了が必要であることを示唆している。
2)若年マウスを使用したCPZ誘発性脱髄疾患モデルマウスの研究を対照試験とし、老齢マウスを用いたCPZ誘発性脱髄疾患モデルマウスを作製し、BBBバリア機能障害、協調運動機能及び認知機能障害との関連を検討した。老齢のCPZ誘発性脱髄疾患モデルマウスは、若年よりも重度のBBBバリア機能障害及び協調運動機能障害を呈したことから、加齢に伴うBBBバリア機能の脆弱化はより重度の白質障害を招き、BBBバリア機能の回復も若年に比べ遅延することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、加齢によるBBB機能劣化と髄鞘破壊・再生との関連について評価できており、概ね順調に進展していると考える。老齢脱髄モデルマウスは若年脱髄モデルマウスよりも重度の行動・BBBバリア機能障害を呈すると仮説していたが、概ね仮説に沿った研究成果を得られている。若年及び老齢脱髄モデルマウスの組織学・生化学的評価は現在進行中である。一方で、CPZ誘発性脱髄疾患モデルマウスでは脱髄に先行してBBBバリア機能障害が呈するとされていたため、若年のCPZ誘発性脱髄疾患モデルマウスでは髄鞘が再生され協調運動機能障害が改善する前にBBBバリア機能障害が改善すると作業仮説を立てていたが、仮説に反しBBBバリア機能障害は髄鞘再生過程においてもっとも強く現れた。本モデルマウスにおけるBBBバリア機能障害は、白質の障害に依存しているものと推察されるため、髄鞘再生過程とBBBバリア機能障害との関連は検討できるが、BBBバリア機能障害と髄鞘破壊との関連を検証するには不十分である可能性があり、今後の検討課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
CPZ誘発性脱髄疾患モデルマウスは、髄鞘再生過程を評価するには良いモデルマウスであるが、BBBバリア機能障害が招く髄鞘破壊を評価するには不十分である。現在BBBバリア機能障害と髄鞘破壊の関連を評価するために、大脳白質病変の病態に近いモデルマウスである慢性脳低灌流モデルマウスを現在作製中である。このモデルマウスを用いて、BBBバリア機能障害と髄鞘破壊との関連を検証していく予定である。また、当初の計画通り加齢による重度のBBBバリア機能障害及び髄鞘破壊・再生に対するDHAの効果を検証する。
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