Project/Area Number |
23K14462
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 49010:Pathological biochemistry-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小野木 康弘 富山大学, 学術研究部教育研究推進系, 特命助教 (80801761)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 脂肪細胞 / ペリサイト / シングルセル解析 / 空間情報ラベリング / 肥満 / 細胞間ネットワーク |
Outline of Research at the Start |
近年の単一細胞解析技術と数理解析により、インスリンへの感受性が脂肪細胞ごとに異なり、肥満病態では異なる脂質代謝を有する脂肪細胞で構成されることが推定された。免疫細胞は脂肪細胞機能を低下させることが知られている一方、免疫細胞以上に血管構成細胞が脂肪細胞とコミュニケーションをとっていると推定されている。本研究は、脂肪細胞機能の多様性を生み出す細胞ネットワークにおいて、肥満によりペリサイトの局在が変化することが鍵となると仮説を立てた。本研究は、脂肪細胞機能の多様性がどのように形成されるのかという学術的な問いに対し、ペリサイトを中心とした細胞間ネットワークが関与するか検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
脂肪細胞の多様性を明らかにするため、核の転写産物を標的とした単一核RNA-seq解析の技術基盤を構築した。マウスの内臓脂肪組織から、素早く高収率で損傷の少ない状態の核を単離する方法を確立した。良性および悪性の脂肪細胞の特徴遺伝子が正常マウスと食餌性肥満マウスの脂肪細胞でそれぞれ高発現することを確認した。酵素消化と遠心分離による従来法によって濃縮される脂肪細胞の分画では、脂肪細胞の比率は小さく、脂肪細胞以外の細胞種の混入が顕著であることがシングルセル解析から明らかになった。また、本方法と比較して、従来法によって分画される間質細胞は特定の細胞集団が失われていることが明らかになった。さらに、本方法で得られた転写物ライブラリに比べて従来法により調製された転写物ライブラリでは、ストレス応答・炎症性遺伝子が高くなる傾向があり、このバイアスは細胞機能の多様性を解析する上で、考慮すべき重要な点であると考えられた。現在、肥満による血管からのペリサイトの脱落が生じないモデルマウスからの内臓脂肪組織の採取を終えており、本方法を用いた核ライブラリの調製を行い、シングルセル解析を進める予定である。さらに、Cas9依存的に脂肪細胞特異的に遺伝子組換えを導入可能なアデノ随伴ウイルスベクターを構築し、現在、マウスでの遺伝子組換え効率と表現型への寄与の検証に向けて準備中である。 また、空間解析では、同一切片上に対象とする細胞種が存在する必要があるが、脂肪組織のような、巨大な脂肪滴が切片の大半を占める細胞密度の小さい組織では、薄切切片上で血管ーペリサイトの接着の有無を評価することは困難であると考えられた。そこで、接着と脱離状態の空間情報を検出可能な遺伝子組換えを誘導するアデノ随伴ウイルスベクターを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
核由来の転写物ライブラリを低バイアスで調製する方法を確立し、シングルセル解析について、ライブラリ調製から情報解析まで一貫して実施できる環境が整備された。さらに、情報解析について協力体制が構築されつつある。 また、作製した複数の遺伝子を同時に標的可能な遺伝子組換え誘導アデノ随伴ウイルスベクターは、網羅解析から脂肪細胞の機能解析に結び付ける有用なツールとなる。また、ペリサイトの脱離の有無といった空間情報を細胞表面に記録可能な遺伝子組換えを誘導するアデノ随伴ウイルスベクターを構築できたため、ペリサイトの脱離の有無による機能的差異を解析可能な基盤技術として期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
肥満により脂肪組織でのペリサイト脱離が起こらないモデルマウスについて、脂肪組織のトランスクリプトーム解析を行い、脂肪細胞の多様性を比較する。さらに、シングルセル解析との統合解析により、ペリサイトのトランスクリプトームに基づいて、サブクラスターが接着の有無により分類されるかについて調査する。また、ペリサイト接着の有無により変動する液性因子、シングルセルの細胞間相互作用解析から候補因子を列挙し、脂肪細胞の機能に与える影響を解析する。ペリサイトー脂肪細胞の相互作用を生体で評価するために、脂肪細胞特異的な遺伝子組換えをアデノ随伴ウイルスベクターで誘導し、ペリサイト由来因子の病態生理学的意義を検証する。脂肪細胞を標的としたアデノ随伴ウイルスベクターの効率が悪い場合は、Cas9よりも遺伝子サイズの小さい別の切断酵素を用いたアデノ随伴ウイルスベクターを構築する。
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