Project/Area Number |
23K14478
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 49020:Human pathology-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松本 穣 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (30836250)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 胸腺癌 / 胸腺上皮性腫瘍 / 空間的トランスクリプトーム / 空間的シングルセル解析 |
Outline of Research at the Start |
胸腺上皮性腫瘍は胸腺上皮細胞(thymic epithelial cell: TEC)を発生母地とする腫瘍で、胸腺腫と胸腺癌に大別される。正常胸腺ではTECは髄質上皮細胞(medullary TEC: mTEC)と皮質上皮細胞(cortical TEC: cTEC)に明確に区別されるにも関わらず、特に胸腺癌がmTECとcTECのいずれを発生起源とするか、という基本的な問いは未解決のままである。本研究では胸腺癌の組織切片を用いた空間的シングルセル解析を行うことで、胸腺癌のなかに潜むTECとしての細胞特性を明らかにし、胸腺癌の細胞起源を解明することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
胸腺上皮性腫瘍は胸腺上皮細胞(thymic epithelial cell: TEC)を発生母地とする腫瘍で、胸腺腫と胸腺癌に大別される。正常胸腺ではTECは髄質上皮細胞(medullary TEC: mTEC)と皮質上皮細胞(cortical TEC: cTEC)に明確に区別されるにも関わらず、特に胸腺癌という1群がmTECとcTECのいずれを発生起源とするか、という基本的な問いは未解決のままであった。研究代表者は、The Cancer Genome Atlas (TCGA) に含まれる胸腺上皮性腫瘍のRNA-seqデータとTECのシングルセルRNA-seqデータの統合解析、ならびに胸腺上皮性腫瘍の免疫組織化学を組み合わせることで、胸腺癌がmTECとしての性質を反映した腫瘍であることを報告した(Cancer Medicine. 2023)。 本研究ではそれをさらに推し進め、胸腺癌のなかにもmTECという細胞種としての多様性が保持されているのではないかと仮説を立てて、それを検証するためにVisium CytAssist for FFPEによる空間的トランスクリプトーム解析に取り組んだ。結果として、胸腺癌の上皮細胞は遺伝子発現プロファイルに基づいて複数のクラスターに分類され、そのなかにもmTECとしての多様性が反映されていることが明らかとなった。さらに、組織切片上の空間的情報を活用することで、胸腺癌の特定の領域に偏在して発現する遺伝子群を見出すことができた。本研究により、これまで謎に包まれてきた胸腺癌の病態解明や、治療法開発への新たな展望が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
核酸の品質チェックをクリアした胸腺癌2症例のFFPE検体を用いた空間的トランスクリプトーム解析により、2症例ともに良好な遺伝子発現データと染色像を得ることができた。腫瘍組織のクラスタリングには一部でmTECとしての多様性が反映されており、当初の仮説と合致するものであった。また、空間的情報を利用した解析によって、腫瘍と間質の境界領域の一部に特徴的な遺伝子発現プロファイルが明らかとなり、2症例ともに共通して同様の傾向を認めた。以上から、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
癌組織の特定の領域における遺伝子発現プロファイルが、どのような細胞間相互作用によって生じ、腫瘍の増殖にとってどのような意味を持つのか、さらには治療ターゲットとなり得ないかを検証していく。そのために、まずはCellChatというツールを用いて、in silicoで細胞間相互作用を推定しているところである。また、Visiumではキャプチャーエリア内の各スポットのサイズが比較的大きく、10細胞程度の単位で遺伝子発現を検出するため、解像度という点では通常のシングルセル解析に劣る。その点を補うために、凍結保存をしている同一サンプルからのシングルセル解析についても検討していく。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)