Project/Area Number |
23K14484
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 49020:Human pathology-related
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
横井 愛香 北里大学, 医学部, 助教 (90907148)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | 子宮内膜癌 / morule / PTEN / β-カテニン / EBP50 / PTEN過剰発現 / 転位分化 |
Outline of Research at the Start |
進行期子宮内膜癌の5年生存率は17.2%と極めて予後不良で、これらの症例に対する新たな治療法の開発は喫緊の課題である。この解決策として、約30%の子宮内膜癌症例で認められる予後良好因子:転位分化(癌細胞が桑実胚様形態で低増殖能を示すmorule細胞へ分化)の治療への応用がある。本研究ではこの転位分化の分子機構を、細胞極性制御因子のEBP50とその関連分子であるPTENとβ-カテニンからなるシグナルカスケードを中心に解析する。転位分化の分子機構が解明されれば、それを応用した進行期子宮内膜癌に対する新規治療法の開発や有益な予後予測因子の確立に発展させることが可能となる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細胞極性制御因子のEBP50とその結合(関連)分子であるPTENとβ-カテニンからなるシグナルカスケードを中心に、子宮内膜癌細胞からmorule細胞への転位分化の分子機構を解明することを目的としている。 子宮正常内膜検体では、エストロゲン高値を示す増殖期でEBP50発現は高く示した一方で、子宮内膜癌臨床検体では特にmorule巣で、ERα及びEBP50発現低下、PTEN発現増加、β-カテニン核内移行を示していた。さらには、周囲の癌組織よりもmorule巣において、CD44s/CD44v6/細胞質CD133/Twist1の発現増加、Ki67の低下を示しており、morule巣では幹細胞化、EMT化、増殖能低下の可能性が示唆された。 子宮類内膜癌細胞Ishikawaを用いたLuciferase assayよりERα濃度依存性にEBP50の転写活性は増加し、エストロゲン依存性にEBP50発現が制御されていることを示した。PTENは免疫沈降法より、EBP50との結合を示し、β-カテニンではPull-down assayより、EBP50のドメインPDZ2に結合することを確認した。 ここで、morule巣ではPTEN高発現を示していたことから、内因性PTENが欠如している子宮類内膜癌細胞Hec6を用いてPTEN過剰発現細胞株(H6-PTEN)を作製し機能解析を行った。H6-PTEN細胞は、p-GSK3β、Slugの発現増加、p-AKT、p-β-catenin、E-cadherinの発現低下を示し、線維芽細胞様への形態変化を認め、EMT化が示唆された。Spheroid assayやALDEFLUOR assayにおいてCSC様特徴を示し、さらに、は増殖能の低下と老化細胞の増加を確認した。更なる検討のため、PTEN knockout細胞を作製し、現在解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床検体においてER、EBP50、β-カテニン及びPTENの分子動態を免疫組織化学的に検証し、morule細胞の生物学的特性を解明するために上記分子に加えて、癌幹細胞マーカー及びEMTマーカーについて検討した。さらに、子宮内膜癌細胞においてERα/EBP50/PTEN/β-cateninの直接的な関連を確認し、moruleの分子機構を検討するため、PTEN過剰発現細胞株を作製し、分子生物学的特徴は傾向をおおむね解析した。今後、相反する結果が得られるか検討するためPTEN knockout細胞機能解析、さらには、morule細胞にてEBP50発現欠如を示したことからEBP50 knockout細胞株を作製し検討中である。さらにEBP50の恒常的過剰発現の細胞株作製による検討によって、EBP50の機能を明らかにし、PTEN/EBP50/β-catenin経路の分子機構解明に繋ぐ。よって、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
作製した細胞株(PTEN恒常発現系,、PTEN knockout、EBP50 knockout、EBP50恒常発現系)においてERα/EBP50/PTEN/β-カテニン発現動態、並びにEMT/CSCの検証を行う。臨床検体の次の段階としては、子宮内膜癌組織内のmorule巣をmorphometry等でサイズを計測、更に、その分布や個数を計測し、細胞増殖能、各種臨床病理学的因子、予後との関連性を検証する。上記結果を総括して、子宮内膜癌細胞の細胞増殖能を欠いたmoruleへ転位分化を促進するシグナル系を構築して、子宮内膜癌の有益な新規分子標的治療法確立のために基礎データを集積する。更に、病理組織標本上、morule巣での様々な分子発現と予後との関連性から新規予後予測システムの基盤を構築する。
|