免疫依存性神経変性病態に対するI型インターフェロンの機能解析
Project/Area Number |
23K14553
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 49070:Immunology-related
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
Yeh Tzuーwen 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 免疫研究部, リサーチフェロー (40904389)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | type I interferon / Eomes Th細胞 / 神経変性 / Granzyme B / 神経免疫 / Eomes陽性Th細胞 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、難治性中枢神経疾患に重要な機能をする神経変性病態の機序解明を目指す。私たちが同定したEomes陽性Th細胞は、細胞障害性プロテアーゼGranzyme Bの産生を介して神経変性の原因となる神経細胞障害を引き起こす。これまで、私たちは神経変性病態と密接に関わる慢性炎症の要因の一つであるIFN-Iが、Eomes陽性Th細胞を誘導することを認めた。そこで、IFN-Iを高発現する種々の遺伝子改変マウスを用いて神経変性病態に伴うIFN-Iの意義と免疫依存性神経変性病態の作用機序の解明を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
神経炎症は、典型的な神経変性疾患だけでなく二次進行型多発性硬化症(SPMS)の神経変性病態にも併発するが、病態形成の結果として生じるのか、神経炎症自体が病態形成を促進する働きを持つのか、ほぼ分かっていない。私たちの先行研究から、転写因子Eomesを発現するTh細胞(Eomes陽性Th細胞)が慢性炎症環境下で生成し、SPMSの神経変性病態と、SPMSに相当するマウスモデルEAEの後期病態の病原性細胞であることが示された。また末梢血中の同細胞の多寡が、SPMSの病態進行度と密接に相関し、SPMS患者死後脳にEomes陽性Th細胞が高頻度に分布することが示され、ヒト病態における同細胞の重要性が確認された。さらに最近、 筋萎縮性側索硬化症(ALS)やアルツハイマー型認知症(AD)のマウスモデルでも、Eomes陽性Th細胞が病原性細胞として関与する可能性が示された。Eomes陽性Th細胞は、CNS内の慢性炎症環境下で一定の時間をかけて生成することがわかっているが、神経炎症によるEomes陽性Th細胞の生成機序は不明である。申請者らはこれまでにCNS内の慢性炎症におけるI型インターフェロン(IFN-I)の関与に着目し、全身性IFN-I産生過剰産生マウスやCNS特異的IFN-I過剰産生マウスにおけるEomes陽性Th細胞の挙動を解析し、IFN-I産生が亢進した臓器においてTh細胞のEomes発現が顕著に亢進し、それらの一部はグランザイムBを発現し、神経細胞障害性を獲得していることを明らかにした。多くの神経変性疾患ではグリア細胞由来のIFN-I増加を認めるが、脳実質内のIFN-Iの役割に関する知見はほぼは不明である。そこで本研究では、上に述べた予備解析の結果に基づき、神経変性病態を中心とした神経疾患におけるIFN-IとEomes陽性Th細胞の関係を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者らはこれまで全身性IFN-I産生過剰産生マウス(Trex1 KO マウス)やCNS特異的IFN-I過剰産生マウス(USP18 cKO マウス)におけるEomes陽性Th細胞の挙動を解析し、IFN-I産生が亢進した臓器においてEomes陽性Th細胞の頻度がコントロールより多かったことがわかった。このことから、CNS内に浸潤したT細胞の局在を免疫蛍光染色を用いて検討した。その結果、Trex1 KO マウスの海馬、脈絡層、脳梁、皮質などの部位にTCRβ陽性細胞の存在を確認した。USP18 cKOマウスも同様にTCRβ陽性細胞の存在を確認できた。一方、対照マウスでは、このようなT細胞浸潤はほぼ認められなかった。さらに、IFN-Iの刺激を受けた細胞をCNS内の部位を特定するため、IFN-Iに誘導されるMx1の免疫蛍光染色を行った。その結果、Trex1 KOマウスの皮質、特に5層の部位にMx1を発現するミクログリアの数は対照マウスより有意に多かった。USP18 cKOマウスでも同細胞は対照マウスより多いことがわかった。T細胞が脳実質内に浸潤した結果とMx1染色の結果を合わせると、IFN-Iの刺激を受ける特に皮質にいるT細胞は神経障害を持つEomes陽性Th細胞への分化は可能性が高いと推察する。一連の結果は、当初予想していた結果と相関しており、研究は順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
私たちの先行研究から、神経変性疾患モデルマウスでのEomes陽性Th細胞は、提示された神経細胞由来の抗原による活性化し、グランザイムBを放出し、近くの神経細胞にダメージを与えることで、神経細胞障害が拡大することを明かにした。IFN-I過剰産生環境で生じるEomes陽性Th細胞は神経細胞障害能を獲得するかを解析するため、IFN-I過剰産生マウスのCNSのTh細胞と初代神経細胞とin vitroで共培養し、神経細胞障害の誘導の有無を明らかにする。さらに、in vivoでIFN-I過剰産生マウスの脳皮質に神経細胞死を引き起こす微量な薬剤を投与し、Eomes陽性Th細胞による神経細胞障害の拡大の有無を明らかにする。このような生体のCNS内IFN-I過剰発現を外部から検知することは困難であるが、CNSの病的変化には重要な指標であるため、CNS内のIFN-I過剰産生のバイオマーカーとなる分子を探索する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)