Project/Area Number |
23K14581
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
奥村 元紀 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 外来研究員(特別研究員PD) (20913304)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 腫瘍内不均一性 / 空間的トランスクリプトーム解析 / 次世代多重免疫染色 / 分子標的薬 / 甲状腺未分化がん / 薬剤耐性 |
Outline of Research at the Start |
甲状腺未分化がんは、甲状腺がん全体のうち1~3%を占める希少がんである。生存期間の中央値が4~6ヶ月で、病期分類では、乳頭がんや濾胞がんではI, II, III, IVの4段階に分類されるが、未分化がんの場合は全てがIV以上に相当するほど、極めて予後が悪い。希少であるがゆえに、腫瘍内不均一性及び腫瘍微小環境の詳細な解析が不足している。本研究は、病理組織標本を用いた革新的な多重免疫染色技術を利用し、腫瘍免疫微小環境を可視化することで、甲状腺未分化がんの本態解明の一助となることが期待される。さらに、Lenvatinibに対する治療耐性化メカニズムを解明することにより、新規治療法の樹立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
甲状腺未分化がんは、診断後の平均生存期間3〜6ヶ月と、極めて予後不良の希少がんであるが、希少であるがゆえに患者検体を用いたトランスレーショナルリサーチが乏しい。分化癌の未分化転化により発生すると考えられており、そのメカニズムを解明するため、米国を中心に遺伝子変異に着目した研究が行われている。しかしながら、有効な治療法は確立されておらず、基礎研究において、詳細な腫瘍微小環境の解析、新規標的因子の探索が急務である。 本研究では、分化成分と未分化成分が混在する病理組織標本を用いた網羅的解析により、未分化転化に伴って変化する腫瘍免疫微小環境の詳細を明らかにすることを目的とする。さらに、国内で唯一承認されている分子標的薬であるLenvatinibに対する抵抗性メカニズムの解明にも取り組む。 申請者はこれまでに、甲状腺未分化癌の病理組織標本を用いた空間的トランスクリプトーム解析Visiumを行い、さらに次世代の多重免疫染色CellDIVEにより、同一切片上で32種類のマーカーの染色パネルを構築した。これにより25種類以上の細胞サブセットの数や局在の解析が可能となり、各細胞における機能マーカーの発現レベルなど、計100以上の項目が解析可能となった。VisiumとCellDIVEの統合解析の結果、未分化転化に伴い、免疫抑制因子である因子Xの発現が上昇すること、因子X高発現領域では制御性T細胞の活性化やM2マクロファージの浸潤が亢進することを見出した。 今後は、症例数を増やして、より詳細な未分化転化メカニズムの解明及び、因子Xを含む免疫関連発現変動因子の発現制御メカニズムの解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫関連分子32種類の多重免疫染色技術の確立に時間を要したものの、非常に高い感度で各マーカーの発現を検出することが可能となり、100を超える項目の解析が実現できた。さらに、画像データ解析ソフトであるHALOと、フローサイトメトリーデータの解析に用いるソフトウェアであるFlowjoを応用することで、より効率的に数値化、比較解析を実現できた。 また、甲状腺専門の病理医と連携することで、分化成分と未分化成分が混在する切片を選出することができ、その空間的トランスクリプトーム解析から、未分化転化に関与するとされる候補因子の絞り込みまで進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍内不均一性に着目し、未分化転化に関与すると予想される候補因子を同定したが、その機能及び発現メカニズムの解明には至っていない。今後は症例数を増やし、解析の精度を上げるとともに、甲状腺専門の伊藤病院と連携することで、Lenvatinib耐性化メカニズムの解明に取り組む。
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