Project/Area Number |
23K14625
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
|
Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
鈴木 歩 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (10963423)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2027: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
|
Keywords | 急性骨髄性白血病 |
Outline of Research at the Start |
ATRAを用いた APLに対する分化誘導療法は十分な治療効果があり、さらに抗がん剤治療に比して副作用はマイルドである。しかしながら、ATRAの適応はAPLに限られており、他のAMLに対しても抗がん剤治療に代わる有効な治療法の確立が強く望まれている。 現在、申請者が独自に獲得したChREBP活性阻害剤がATRAとは異なる作用機序で白血病細胞の分化誘導能を有する可能性を見出している。そこで本研究は白血球分化マーカー因子の発現確認による様々なAML細胞株に対するChREBP活性阻害の分化誘導効果の検討に加え、次世代シーケンサー解析によるChREBPを介した白血病細胞の増殖及び分化の機序を解明する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は高齢化社会に伴って増加する白血病患者に対して、既存の大量の抗生物質による治療に替わる、白血病細胞(がん細胞)に特徴的なエネルギー代謝に着目した治療薬の開発を目指した新たな角度からのアプローチによる研究である。 本研究では所属研究室にて所有する様々なヒト白血病細胞株を用いて糖質応答性転写因子ChREBP発現の有無から検討を行っている。これまで複数の白血病細胞株を用いてChREBPやその標的遺伝子発現について、高血糖刺激も合わせた検討を行ってきた。いずれの細胞においても高血糖刺激に伴って細胞増殖が促進される様子が観察されたが、ChREBP遺伝子発現レベルはベースの発現量や刺激に伴う活性化は遺伝子発現が検出できないものも含め、細胞株によって大きく異なっていた。このことは高血糖刺激に伴う細胞増殖に対してChREBP以外の因子による影響が存在することを示している。 また、ChREBPは転写因子であり活性化に伴う標的遺伝子発現調節による下流経路活性の変化の白血病細胞に対する影響を、東北大学化合物ライブラリーより取得したChREBP活性阻害能を有する1, 3-ジオキソラン誘導体を用いて検討した。白血病治療では抗生物質による治療の他にも分化誘導療法と呼ばれる治療法があり、本治療では未熟な分化段階でがん化した白血病細胞を成熟した白血球へと分化させる。分化誘導療法は急性前骨髄球性白血病(APL)に対する全トランス型レチノイン酸(ATRA)のみが適応となっているが、ATRAでは分化誘導が観られなかった一部の非APL細胞株において、1,3-ジオキソラン誘導体によって分化誘導効果が確認された。 以上の結果は、白血病細胞株においてChREBP活性が細胞の増殖や成熟に関与する可能性を示しており、白血病細胞における新たなエネルギー代謝調節機構や新規治療法の開発へと繋がり得ることを示していると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに本研究では複数の白血病細胞株を用いて、主にPCRやフローサイトメトリー、形態学的な解析を行ってきた。白血病細胞株におけるChREBPの遺伝子発現レベルは、ChREBP研究で用いられる肝臓や脂肪組織に対しては非常に低発現であり、さらに白血病細胞株の種類によってその発現の程度も大きく異なることが確認されている。しかしながら、一部白血病細胞株において既存薬のATRAでは分化誘導が認められなかったのにもかかわらず、ChREBP活性阻害剤の1,3-ジオキソラン誘導体の添加により分化誘導が認められた。この結果は白血病細胞においてChREBPが下流経路を介して白血病細胞の分化を抑制していた可能性を示している。1,3-ジオキソラン誘導体の効果について、フローサイトメトリーによる分化誘導の確認ができた一方で、1,3-ジオキソラン誘導体の白血病細胞株での作用機序については不明である。1,3-ジオキソラン誘導体は腎臓由来培養細胞を用いた検討により、ChREBPに直接結合しChREBPの標的遺伝子へのリクルートを阻害することが確認されている(unpublished data)。その際には代表的な標的遺伝子の1つとしてTXNIP遺伝子発現の抑制を確認している。しかしながら、TXNIPについては、その遺伝子発現増加による白血病細胞の分化誘導が報告されており、1,3-ジオキソラン誘導体によるChREBP活性阻害がどのような経路で白血病細胞の分化誘導をもたらしたのかを明らかにする必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果と過去の報告されている論文を踏まえて、白血病細胞におけるChREBPの機能解析が必要であると考えている。そこで、複数の白血病細胞株を用いて、それぞれに対して遺伝子同士によるChREBPの過剰発現実験や、CRISPR-Cas9システムやsiRNAを用いたChREBP阻害実験を実施し、以下の検討を実施していく予定である。 白血病の病期や種類毎におけるChREBPの有無による細胞増殖や分化能などへの影響について、WST-8 assayやフローサイトメトリー、メイギムザ染色を用いた形態学的解析などにより評価する。これらの解析においてChREBP発現の有無によって変動が大きかった複数の白血病細胞株を用いて、ChREBPの白血病細胞における機能を明らかにするためにRNA-Sequence解析による網羅的な遺伝子解析を実施する。さらに、ChREBP活性阻害剤である1, 3-ジオキソラン誘導体は現時点で一部白血病細胞株において分化誘導能を示している。この白血病細胞株は既存薬であるATRAが効かないことから、ATRAとは異なる作用機序によって機能したと考えられる。この結果を前提として、1, 3-ジオキソラン誘導体による白血病細胞における遺伝子発現の網羅的解析を上記RNA-Sequence解析と並行して実施する。これらから得られる結果は、1, 3-ジオキソラン誘導体による分化誘導能がChREBPを介した作用であるのかの判断にも繋がり、ChREBPの白血病細胞における機能に加えて、新たな作用機序による分化誘導療法の開発へと繋げていく。
|