Project/Area Number |
23K14648
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
張 今陽 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座助教 (90869124)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | すい臓がん / 乳がん / 大腸がん / ワクチン / 癌ワクチン / 免疫治療 / ガンワクチン / ガン免疫治療 / 細胞療法 / ガン再発 / ガン転移 |
Outline of Research at the Start |
がん治療が終了しても再発することが珍しくなく。その場合には、治療がより難しく死亡率も高い。再発予防という観点において、患者から摘出したがん組織から調整した全細胞がんワクチンの開発が行われている。そこで本研究では、①患者から摘出したがん組織から摘出したがん細胞をワクチン抗原として使用することを目的とした抗原性を高める処理方法、②全がん細胞ワクチンの投与方法、③全がん細胞ワクチンに適したアジュバントの選択、の3方向から網羅的に研究を実施し、次世代型個別化全腫瘍細胞ワクチンの製剤基盤の確立を行う。そして、近い将来に患者の治療後の再発防止法として標準治療法に組み込むことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の今年度の進捗状況は以下の3つに分けられる。 1. 全がん細胞ワクチンの細胞不活化処理と免疫原性の相関を明らかにする。今年度は予定通り、3種類のがんモデルMC38(大腸がん)、4T1 (乳がん)、Pan02(すい臓がん)で放射線照射と熱処理(特許申請中)を組み合わせた検討を行った。その結果、両手法を組み合わせることで、効率的にがん細胞を不活化し、がん特異免疫も増強することが分かった。このメカニズムは、放射線処理または熱処理の単独処理よりも、複合的な処理の方が細胞の免疫原性を高め、獲得免疫を促進することが分かった。また、処理の条件も効果に影響を与えるが、現在は最適な処理条件を確立した。 2. 新規デバイスによる免疫増強原理を明らかにする。新規デバイスの注射により、ワクチン効果を増強する原因は、細胞が破片化された。細胞の破片化により、細胞内または表面の抗原が外部に放出される。その結果、抗原提示細胞が効率的に貪食作用を行い、ストレスタンパクと細胞破片の刺激により免疫応答が増強される。この効果はFACSで証明された。 3. adjuvantによる免疫増強原理を明らかにする。従来のadjuvantとしてはGM-CSFまたはG-CSFが利用されてるが、それ以上の効果を求めて、T細胞活性化における副刺激伝達分子の機能性ペプチドを開発し、新規adjuvantとしての可能性を探索している。この部分は、研究予定外の新規開発研究のため、申請書の予想よりも進展が遅れてるが、機能性ペプチドの配列は特定された。これから、効果を実証する予定である。順調に進めば、特許の申請も検討される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の進捗状況は以下の3つに分ける。 1. 全がん細胞ワクチンの細胞不活化処理と免疫原性の相関を明らかにする(予想以上進展)。3種類のがん種における最適な複合的な処理条件が確立された。そして、その処理によって獲得免疫が増強される原因が明らかになった。現在は動物実験に移行し、注射条件などの来年度の目標に向けて進行している。 2. 新規デバイスによる免疫増強原理を明らかにする(予想以上進展)。この部分では、細胞破片化によるワクチン効果の増強が確認された。現在は1と併用し、動物実験に進行中である。 3. adjuvantによる免疫増強原理を明らかにする(当初の研究提案とは異なる方向に修正されたが、順調に進行中)。細胞ワクチンにおいて、一般的なadjuvantとしてはGM-CSFやG-CSFがよく使われるが、全細胞ワクチンに適合するadjuvantは存在しない。そのため、新しいadjuvantを開発し、さらなるワクチン効果を期待している。現在はペプチドの配列が確立され、動物実験の実証実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進計画は下記に記載する。 1.全がん細胞ワクチンの細胞不活化処理と免疫原性の相関を明らかにする。将来的には臨床試験が必要な情報を収集する(動物実験による安全性や、注射回数と注射量の検討)。また、最初の研究提案書には記載されてなかったが、今後は多発性骨髄腫にも応用できる可能性を考え、この領域における研究を進め、将来的な臨床応用に向けて準備を行う。 2.新規デバイスによる免疫増強原理を明らかにする。この部分は既に解明されており、現在は論文の作成に取り組んでいる。 3.adjuvantによる免疫増強原理を明らかにする。今年度の最も重要な部分である。既存のadjuvantも利用可能だが、創発的な研究として、新規adjuvantの開発に挑戦している。新しいadjuvantを開発するために、T細胞活性化における副刺激伝達分子の機能性ペプチドを開発した。これまで開発した機能性ペプチドは抗腫瘍効果が確認されている。つまり、機能性ペプチドには効果がある。しかし、ワクチンに対するadjuvantの効果はまだ確認中である。今後、その効果や適量を検証する予定だ。
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