Project/Area Number |
23K14660
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
関 智宏 城西大学, 薬学部, 助教 (20848486)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 刺激応答 / CD44 / がんターゲティング / グルタチオン / エンドソーム脱出 |
Outline of Research at the Start |
ある種のがんなど過剰発現する表面抗原CD44のバリアントアイソフォーム(CD44v)は、細胞内グルタチオン(GSH)の生合成を促進し、形成される高濃度GSH環境により酸化ストレス耐性を生じ、薬物や放射線治療抵抗性獲得の一因となっている。本研究では、CD44vを特異的に認識するペプチドをがんターゲティング素材とし、さらにエンドソーム脱出機能を修飾し、これらに結合したプロドラッグが細胞内GSH濃度を感知することで抗がん薬を放出して殺細胞作用を発現するドラッグデリバリーシステムを確立する。各ユニットの動作原理は他の癌種や疾患治療のシステムへも応用可能であり、広く利用可能な基礎技術として有用である。
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Outline of Annual Research Achievements |
ある種のがんに過剰発現する表面抗原CD44のバリアントアイソフォーム(CD44v)は、細胞内グルタチオン(GSH)の生合成を促進し、形成される高濃度GSH環境により酸化ストレス耐性を生じ、薬物や放射線治療抵抗性獲得の一因となっている。上述の3つの機能性ユニットから構成される本システムは、各ユニットを異なるターゲティングや薬物放出機構に置き換えることで他の癌種や疾患治療のデリバリーシステムへも応用可能であり、広く利用可能な基礎技術として有用である。本研究では、CD44vを特異的に認識するペプチドをがんターゲティング素材①とし、さらにエンドソーム脱出機能②を修飾し、これらに結合したプロドラッグが細胞内GSH濃度を感知することで抗がん薬を放出③して殺細胞作用を発現するドラッグデリバリーシステムを確立する。当該年度は、①の検討と③の検討を主に実施し、ターゲティング素材とプロドラッグの結合状態での抗癌薬の放出性についても検討を進めた。ターゲティング素材として合成ペプチド(APQWPAN, THENWPA , A6 , A6 Cys 計4種)または、比較としてCD44のリガンドであるヒアルロン酸(HA)に蛍光修飾を施し、CD44v陽性のがん細胞内への取り込みを検討した。一方で、モデル薬物としてドキソルビシン(Dox)を用いたプロドラッグの検討は、Doxのアミノ基にニトロスルホンアミド 構造(Ns)を化学修飾したものを基本とし、従来からプロドラッグとしての検討を進めているスルホンアミドに対してp位エステル型のものと、ターゲティング素材への共有結合を目的としたp位アミド型のものを合成し、Doxの活性化を比較した。さらにアミド型のNs-Doxへのターゲティング素材の一つであるHAの修飾を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を進めるにあたり、CD44v発現やGSHの生合成の高い細胞とそうでない細胞をスクリーニングした結果、それらの高い細胞としてHCT116、MKN45、低い細胞としてBT474、MKN74細胞などが挙げられた。CD44v高発現のHCT116細胞への各ペプチドの取り込みを蛍光顕微鏡観察とフローサイトメトリーにより評価したところ、A6Cys-CFペプチドで最も効率的に取り込まれていることがわかった。 プロドラッグへのターゲティング素材修飾には、プロドラッグのNs構造p位がアミド型であるものが血中安定性の点からは好ましく、アミド型の合成を行った。具体的には、Ns-Doxのp位アミドにトリエチレンオキシドを介してアジド構造を導入した。このアミド型と従来のエステル型のプロドラッグのについて、Doxへの活性化をGSH 5mMが共存する緩衝液中で調べると、エステル型は8時間目まで13%活性化されるのに対して、アミド型はDoxの活性化は検出限界以下でありほとんど活性化されなかった。Nsのベンゼン環への置換基導入によりGSHへの反応性を調節可能であり、今後の検討でNsにさらなる電子吸引基の導入で改善できると予想される。 二つの機能性ユニットの結合に関して、アジドが導入されたNs-Doxに対して、アルキンを導入したターゲティング素材をヒュスゲン環化付加反応による合成計画を立て、その一例としてアルキン修飾HAを用いて反応を行った。目的としたNs-Dox-HAは、HA1分子あたり約4.7分子のNs-Doxが結合していることが確認され合成方法を確立できた。 一方、Ns-Dox-HAからのGSH 5mM 共存下でのDoxの放出は、Nsのp位がアミド型であることから、Doxの放出は確認できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
プロドラッグであるNs-Doxとその他の機能性ユニットを結合する際、エステルと比較して血中で安定なアミド結合を用いることを念頭に検討を進めた。結果としてアミド型のNs-DoxはDoxの活性化が乏しく、反応性改変が必要であったため、Nsベンゼン環中に2つニトロ基を有する反応性の高い誘導体を用いてプロドラッグ部分の合成を行う。得られるプロドラッグについて、各GSH濃度でのDoxの放出性を調べ、同時にGSH生合成の異なるがん細胞複数種類中でのDox活性化について定量及び顕微鏡画像解析より評価を行う。 望ましい反応性が得られた場合には、他の機能性ユニットを化学修飾しシステムの構築を目指す。 ②のエンドソーム脱出素材の検討については、ポリアスパラギンを主鎖とするジエチレントリアミンポリマー(DETpAsp)を合成し、その細胞内での挙動を調査中である。エンドソーム脱出素材の検討としてDETpAspを調製しており、側鎖の一級アミンを足場に、ある割合でプロドラッグまたはターゲティング素等の機能性ユニット修飾を試みる。 また、
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