自閉症における感覚モダリティの皮質機能ネットワーク解析
Project/Area Number |
23K14673
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 51010:Basic brain sciences-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中井 信裕 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (00808967)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | バーチャルリアリティ / 自閉症モデルマウス / 皮質機能ネットワーク / 機械学習 / 自閉症 / モデルマウス / 感覚モダリティ / 皮質ネットワーク |
Outline of Research at the Start |
自閉症者では感覚異常が顕著に認められるが、社会的感覚刺激に対する脳内応答機序は解明されていない。そのため本研究では、社会刺激のマルチモダリティを制御可能なバーチャルリアリティシステムを用いて、自閉症モデルマウスの行動異常につながる感覚異常と脳機能ネットワーク異常を明らかにしていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
自閉症は脳神経発達障害のひとつであり、社会性相互作用の低下や知覚過敏・鈍麻などの感覚異常といった行動的特徴を持つ。しかし、個体が受け取る感覚情報の多様性から、どのような感覚モダリティが自閉症の行動異常に関与するのかは、いまだ解明されていない。 社会的感覚刺激情報に基づく行動表現と脳内活動変化を捉えるために、インタラクティブ型ソーシャルバーチャルリアリティシステムを用いた社会性相互作用実験を行った。被験マウスに対して、バーチャル空間の社会刺激条件として視覚(マウスアバター)と嗅覚(他マウスの匂い)情報を提示し、非社会刺激としてオブジェクトモデルと中立な匂い情報を提示した。社会刺激と非社会刺激条件の比較において、社会行動表現と皮質領野間機能ネットワークの統計学的有意差を確認した。これは、マウスの社会的感覚情報がバーチャルリアリティで再現され、社会刺激がマウスに対して誘因性にはたらくことを示すものであり、社会行動と脳ネットワーク動態の関係性を明らかにするための世界にも類を見ない新しい実験系の構築を示している。今後は、自閉症モデルマウス系統を掛け合わせたGCaMPトランスジェニックマウスの実験データを集めていき、社会刺激に対する自閉症モデルマウス特有の機能ネットワーク異常を調べていく。 また、バーチャル空間の自由探索行動中のマウスから得られた大脳皮質カルシウムイメージング画像の時系列データを用いて、画像から直接行動状態をデコーディングする方法を構築した。これには深層学習モデルを使用しており、これまでのサポートベクトルマシンを使った従来の機械学習モデルよりも高精度に行動状態を判別することが可能であった。今後、これらのモデルを自由探索行動中または社会刺激条件の自閉症モデルマウスの大脳皮質イメージング画像に応用し、脳画像情報による自閉症モデルマウス同定のモデル作成を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、社会的感覚刺激情報に基づく脳内活動変化を捉えるために、インタラクティブ型ソーシャルバーチャルリアリティシステムを用いて、GCaMPトランスジェニックマウスの大脳皮質からカルシウムイメージング計測を行い、社会性相互作用時における皮質領野間の機能ネットワーク解析を行った。被験マウスに対して、社会刺激条件となる視覚、嗅覚、触覚情報を提示、また、対照群として非社会刺激条件の感覚情報を提示した。非社会刺激条件に比べて、社会刺激に対する社会的相互作用の回数増加と大脳皮質ネットワークの脱相関シフトとなる変化を確認した。 大脳皮質のカルシウムイメージングによって得られた脳機能ネットワーク動態情報から行動を予測する機械学習法の確立を試みた。コンボリューションニューラルネットワーク(CNN)とリカレントニューラルネットワーク(RNN)を組み合わせた深層学習モデルを使用することで、イメージング画像から直接行動予測するモデルを構築した。また、RNNによる皮質領野活動を利用した行動予測モデルを作製し、CNN-RNNモデルと同程度のデコーディング精度が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに社会的感覚刺激に対するGCaMPトランスジェニックマウス(野生型マウスとして定義)の皮質応答データから機能ネットワークレベルでの統計的有意差を得ることができた。今後、自閉症モデルマウス系統を掛け合わせたGCaMPトランスジェニックマウス(自閉症モデルマウスとして定義)のデータ取得を引き続き行っていき、野生型マウスとの比較から社会刺激時の機能ネットワークの差異を調べる。また、これまでに行動状態判別のために作成した機械学習法を自閉症モデルマウスの大脳皮質イメージング画像に応用し、遺伝子型判別のためのモデル構築を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)